記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(2026/06/09〜2026/06/15)

Pick Up!
- 大手デベ 変わるマンション戦略
- 日本不動研 不動産投資、積極姿勢なお9割超
- 住宅大手、施工力の内製化急ぐ
1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事をピックアップします。まずは、 3位にランクインした「大手デベ 変わるマンション戦略 「量から高単価へ」は必然(2026/6/9号)」になります。首都圏新築マンションの平均価格が2015年比で65%、㎡単価では80%近く上昇している一方、RC造集合住宅の建築費指数は同期間で約36%上昇にとどまります。つまり、価格上昇の主因は建築費ではあるものの、それだけでは説明できません。
追加要因としては、東京23区住宅地の地価上昇、富裕層の購買力、国内外の投資マネー流入を挙げています。特に都心部では、実需の所得水準ではなく、金融資産や投資目線が価格形成を主導している点が重要です。
今後の大手デベの戦略としては、次の5方向が柱になるとみられます。①都心・好立地では、富裕層・投資家・高収入共働き層向けの高価格帯商品を継続する。 ②一般一次取得者向けの大量供給モデルは縮小し、商品企画・立地・販売対象を絞り込む。 ③新築分譲だけでなく、リノベーション、コンバージョン、既存ストック活用を強化する。 ④分譲から排除される中間層に対し、賃貸・アフォーダブル住宅・官民連携型住宅への関与が重要になる。 ⑤住宅単体の販売から、地域価値・街の価値を高める「面」の開発へ事業軸を移す。
要するに、分譲マンションはもはや大衆向け住宅供給の中心ではなく、資産性の高い高価格商品と、街づくりを支える複合住宅事業の一部へ位置付けが変わっています。大手デベロッパーに求められるのは、単に「売れるマンション」をつくることではなく、住宅取得困難層への対応も含めて、都市・地域の居住価値をどう再設計するかだといえます。
次に挙げるのが、5位の「日本不動研 不動産投資、積極姿勢なお9割超 金利上昇でも市場影響『なし』7割弱(2026/6/11配信)」です。今後の不動産投資市場について、投資意欲の高さを背景に底堅く推移する一方、金利上昇やコスト増を受けて物件選別が一段と強まる局面に入るとみられます。
日本不動産研究所の調査では、向こう1年間で「新規投資を積極的に行う」とする投資家が93%に達し、金融政策正常化後も市場の投資姿勢は大きく崩れていません。日銀の政策変更による市場影響についても「変化はない」が68.2%を占め、現時点では金利上昇を吸収可能と見る投資家が多いです。
ただ、リスク要因では「金利の上昇」が最多で、建築費や管理費などのコスト増も重荷となります。今後は取得価格や借入コスト、運営費をより厳しく見極める動きが強まりそうです。アセット別で見ると、都市部の賃貸住宅やインバウンド需要を取り込むホテルで利回り低下が続き、投資需要の強さが目立ちます。一方、オフィスや物流はおおむね横ばいで、価格上昇余地は限定的だ。さらに、ESG対応物件は将来的な賃料上昇期待があり、中長期の競争力を左右する要素となります。総じて市場は急失速しないものの、資金は需要の裏付けがあり、金利・コスト上昇を吸収できる優良物件へ集中する「選別市場」へ移行すると考えられます。
最後に取り上げるのが10位にランクインした「住宅大手、施工力の内製化急ぐ AI時代、技能職の相対価値 大工不足・高齢化に備え社員職人を育成(2026/6/9号)」です。住宅大手の事業環境としては、新築需要の縮小と施工人材の不足が同時に進む局面に入っています。人口減少により、市場全体の量的拡大は見込みにくく、各社は受注量よりも、確実に施工できる体制を持つかどうかで選別されるようになります。
これからの勝ち筋としては、第1に社員職人や技能社員を計画的に採用・育成し、将来の施工キャパシティを自社で読める体制をつくることでしょう。大工不足が進む中では、商品力や営業力があっても「建てられない」ことが最大の制約になるため、施工枠を確保できる会社ほど受注機会を逃しにくくなります。
第2に、技能者に選ばれる会社になれるかです。若年層に建設技能職の人気が高いとは言いにくい中、安定雇用、休日、処遇、教育、キャリアパスをそろえられる企業は人材獲得で優位に立ちます。AIに代替されにくい現場技能の価値を、若者に伝わる形で発信できるかも重要です。
第3に、新築縮小後の収益構造に施工力を結び付けられるかです。今後は新築戸数の減少が見込まれる一方、リフォームやアフターサービスなどストック領域の重要性が高まります。施工力を持つ企業は、建てた後の改修、点検、長期接点まで取り込みやすく、粗利や顧客囲い込みで差をつけられます。
つまり勝ち筋の線引きは、「売る力」中心の会社から、「売れて、確実に建て、長く直せる力」を持つ会社へ転換できるかです。今後の住宅大手は、施工力を内製・準内製化し、人材育成とストック収益を一体で設計できる企業が勝ち残る可能性が高いとみられます。
住宅新報web週刊ニュース記事
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