日本不動研 不動産投資、積極姿勢なお9割超 金利上昇でも市場影響「なし」7割弱

日本不動産研究所が5月27日に公表した第54回「不動産投資家調査」によると、今後1年間で「新規投資を積極的に行う」と答えた投資家は93%となり、前回調査から1ポイント低下したものの、引き続き高水準を維持した。日銀の金融政策正常化を受けた金利上昇局面でも、不動産投資家の投資意欲は底堅い。
調査は2026年4月1日時点で実施した。対象はアセットマネージャーやデベロッパー、金融機関、年金基金など171社で、142社が回答した。集計結果は中央値を採用している。
主要アセットの期待利回りは、おおむね横ばいだった。Aクラスオフィスビルでは、東京・丸の内、大手町が3.2%と7期連続で横ばいとなった。東京都心の他エリアや地方主要都市でも大きな変動はみられなかった。
一方、住宅やホテルの一部では利回り低下が続いた。賃貸住宅一棟では、東京・城南地区の期待利回りがワンルームタイプで3.6%、ファミリータイプで3.7%となり、いずれも前回から0.1ポイント低下した。宿泊特化型ホテルでは東京が4.1%と0.1ポイント低下し、名古屋、京都、福岡でも同様に0.1ポイント低下した。インバウンド需要や都市部の賃貸住宅需要を背景に、投資家の取得意欲が強いアセットで利回り低下がみられる。
物流施設は全調査地区で横ばいだった。湾岸部の東京・江東区は3.8%で5期連続の横ばい、内陸部の東京・多摩地区は4.0%で3期連続の横ばいとなった。電子商取引の拡大を背景に物流施設への関心は根強いが、投資利回りの低下は一服している。
商業施設では、都心型高級専門店の銀座が3.3%で3期連続の横ばいだった。郊外型ショッピングセンターの東京は5.0%で横ばいとなった。商業系アセットは立地や業態によって投資家の見方に差が出ている。
今後1年間の投資方針では、「当面、新規投資を控える」とする回答が5%と前回から3ポイント上昇した。「既存所有物件を売却する」は28%で2ポイント上昇した。市場の過熱感や金利上昇への警戒から一部で慎重姿勢もみられるが、同研究所は「緩和的な金融環境は維持されており、不動産投資家の非常に積極的な投資姿勢が維持されている」としている。
特別アンケートでは、日銀の一連の金融政策による不動産投資市場への影響について、「影響はなく、変化は生じていない」との回答が68.2%で最多だった。前年調査から1.8ポイント増えた。一方、「市場はやや萎縮し、停滞の方向へ移行しつつある」は24.2%で、8.7ポイント低下した。
2027年3月末の長期金利見通しでは、「2%超~3%以下」とする回答が61.7%で最も多かった。その水準が実現した場合の市場への影響については、「一時的に停滞するものの、その後は回復に向かう」との回答が37.5%で最多となった。
ESG投資に関する調査では、ESGに適した不動産について、10年後の賃料収入が「1~5%程度高い」とする回答が52.4%で最多だった。現在は「特に違いはない」が79.0%を占めるが、将来的には環境性能やレジリエンスが収益力に反映されるとの見方が強まっている。
不動産投資市場のリスク要因では「金利の上昇」が122社で最多となり、「建築費の高騰、管理費などランニングコストの上昇」が73社で続いた。成長要因では「市場参加者の多様化」が95社、「投資アセットの多様化」が94社と多かった。投資意欲はなお高いものの、金利とコスト上昇への警戒が市場の焦点となっている。
























