記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(2026/06/02〜2026/06/08)

Pick Up!
- 2026年春の家賃調査 東京圏
- アフォーダブル住宅の入居者募集開始
- モゲチェック 住宅ローン、変動金利志向強まる
1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事をピックアップします。まずは、3位の「2026年春の家賃調査 東京圏 家賃上昇が止まらない 都心に住めない層が押し上げ(2026/6/2号)」になります。本紙では、毎年春と秋の家賃調査を実施していますが、今年から趣向を変えての初弾となります。1都3県、大阪、名古屋、札幌、仙台、広島、福岡の主要各都市の家賃動向を2020年の新型コロナ過前の1月時点と2026年1月時点をそれぞれの間取り別に比較しています。
調査には、不動産テック企業のestieの協力を経てデータを収集してまとめています。それによれば、家賃は東京23区にとどまらず、全国の主要都市でも上昇トレンドを描いていることが分かりました。特に福岡市においては、東京23区と同様の動きを見せています。家賃の上昇幅が大きいのは、単身向けのワンルームよりも、家族向けやディンクスといった間取りの広い賃貸住宅となっています。
特に家族向けの賃貸住宅の供給が少ないため、分譲住宅に手が届かずに賃貸に一時避難する人や、分譲住宅を諦めた層などが物色していることが要因と思われます。居住費の高騰は、分譲住宅だけでなく、賃貸住宅にも及んでおり、この状況は当面続くとみられます。
次に挙げるのが、2位の「野村不動産など、アフォーダブル住宅の入居者募集開始 まずは2物件・31戸(2026/6/3配信)」になります。野村不動産のアフォーダブル参入は、「低収益の社会貢献」だけでなく、東京都の公的資金を呼び水にした『住宅×資産運用×ESG』の実験的な新規事業領域づくりが狙いではないでしょうか。ただ、他の大手デベが一斉に本格参入するというよりは、行政ファンドや補助、既存ストック活用の枠組みがある案件に選別的に追随する可能性があります。
東京23区ではマンションも戸建ても普通の勤労世帯には手が届きにくくなり、賃貸住宅の家賃も上昇しています。野村不動産の枠組みでは、野村不動産と野村不動産投資顧問がファンド運営事業者で、組合名称は「野村不動産アフォーダブル住宅投資事業有限責任組合」。東京都出資額20億円、ファンド規模40億円以上、期間10年、民間出資者に野村不動産と京王電鉄が入り、家賃は市場家賃対比80%程度、アフォーダブル戸数は約60戸、総供給戸数は120戸以上、対象は世帯年収800万円以内の子育て世帯等となっています。
不動産業界としては、第1に消費者に寄り添う姿勢を示す広報・ブランド上の意味が大きいと言えそうです。特に「子育て世帯」向けであるため、単なる賃貸供給ではなく、住宅会社としての社会的正当性を補強できます。
第2に、賃貸住宅・資産運用事業との接続です。野村不動産は今回、単に物件を安く貸すのではなく、野村不動産投資顧問を通じてファンド運用を担います。野村不動産自身も、東京都のファンドにおいて民間出資を行い、野村不動産投資顧問が運用業務を担うと公表しています。これは、分譲中心の住宅ビジネスから、賃貸・運用・管理・出口戦略まで含むストック型ビジネスへ広げる動きとみられます。
第3に、今後の行政連携ビジネスの布石でしょう。東京都の発表では、アフォーダブル住宅供給は「2050東京戦略」のうち、子育てしやすい環境づくりと生活基盤となる住まいの確保に位置づけられています。つまり一過性の住宅施策ではなく、少子化対策、都市政策、住宅政策、金融政策が重なる領域です。野村不動産にとっては、今後の公共・民間連携型住宅事業で先行ポジションを取る意味があります。
最後に挙げるのは、1位の「モゲチェック 住宅ローン、変動金利志向強まる 固定3%台で金利差拡大(2026/6/4配信)」になります。住宅ローンに関するニュースへの食いつきはすさまじいです。この記事が示唆しているのは、住宅価格と金利の上昇で購入者の余力が細るなか、目先の返済額を抑えるために変動金利・長期ローン・ペアローンなどへ依存する傾向が強まっているということです。
それと同時に、これは単なる「変動金利人気」ではなく、住宅取得のハードル上昇を、借り方の工夫で吸収している構図を示しています。今後、日銀の利上げで変動金利が上がれば、家計負担が増え、借入額の大きい世帯ほど影響を受けやすくなります。端的に言えば、住宅ローン市場は『低金利を前提にした借り方』から『金利上昇リスクを織り込む借り方』への転換点にあるということを訴えています。
住宅新報web週刊ニュース記事
アクセスランキングトップ10 (2026年6月2日~2026年6月8日)

モゲチェック 住宅ローン、変動金利志向強まる 固定3%台で金利差拡大
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野村不動産など、アフォーダブル住宅の入居者募集開始 まずは2物件・31戸
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