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プレミアム会員限定ニュースが分かる! Q&A 「企業価値担保権」の新制度始まる 不動産担保に頼らない融資

住宅新報 2026年8月4日 号 16面

連載: ニュースが分かる!Q&A

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ニュースが分かる! Q&A 「企業価値担保権」の新制度始まる 不動産担保に頼らない融資

 不動産仲介会社A 新たな制度が創設され、5月に施行された「企業価値担保権」が注目されているようだ。

 不動産開発会社B 担保とはいっても、従来のように、土地や建物などの個別資産だけを評価するのではない。企業の技術力やブランド、顧客基盤などを含めた「事業全体」の観点から融資を受けられるための制度となる。

 A これまでの一般的な抵当権とは、どのように異なるのだろうか。

 B 従前の抵当権は、土地や建物など、特定の不動産に設定される。一方で、企業価値担保権は、会社の総財産に及ぶ。将来取得する財産や営業活動から生まれる収益も含め、事業全体の価値に着目する点で、考え方が異なる。これまでの企業への融資では、不動産関連の担保や、経営者保証に依存しやすいとの指摘があった。

 A 不動産として資産を持たない企業でも今後は、融資を受けられやすくなりそうだな。

 B 企業の事業内容や将来性を評価することになるからな。成長企業やスタートアップにも資金が流れやすい環境を整えることが同制度を創設した目的にあるようだ。

 A 優れた技術や新しい事業を仮に持っていても、不動産などの担保に乏しければ資金調達が難しかったからな。しかし、スタートアップだけを支援する制度なのか。

 B 対象は、スタートアップだけに限らないだろう。会社全体を一つの事業体として評価するため、売掛金や知的財産、将来取得する資産、事業から生まれる収益力などを含めた企業価値全体に着目して融資を受けられる。

 A 従来は、不動産担保を重視する融資が多かった。金融機関側のメリットは、どこにあるのだろうか。

 B 企業の成長性や事業全体を踏まえた融資に取り組みやすくなる。一方で、融資後も企業価値を維持・向上させる必要があり、融資先の経営状況を継続的に把握し、支援する姿勢が求められる。

 A 企業価値担保権があれば、今後、抵当権は不要になるのだろうか。

 B そうとは限らないだろうな。不動産開発融資などでは、今後も個別不動産への抵当権が重要な役割を担うと思う。どちらかと言えば、企業価値担保権と抵当権は、各社の目的に応じて使い分けられる可能性が高いだろう。

 A 会社が所有する土地や建物を売却する場合には、制限が掛かるのだろうか。

 B 通常の事業活動の範囲内であれば、原則として処分できる。ただ、「通常の事業活動」に当たるかどうかは、事業内容や取引規模によって異なる。事業の継続に重大な影響を与える重要な財産の処分の場面では、企業価値担保権者の同意が必要になる場合があるようだ。

 A 不動産会社が制度を利用する場合にも、実務上の確認事項は多そうだな。

 B 不動産業は、物件の取得や売却を繰り返しながら事業を展開する。事業全体を評価して融資を受けられる可能性が広がる一方、大型案件などは通常の事業活動の範囲を超える可能性がある。既存の抵当権との調整や金融機関との契約条件など、実務面で検討すべき事項は少なくない。

 A 自社ではなく、例えば取引先が企業価値担保権を設定している場合も、今後、注意を要しそうだな。

 B 「企業価値担保権登記簿」の確認が重要になる。企業価値担保権は、不動産登記簿には記載されず、企業価値担保権登記簿に登記される。不動産登記簿だけでは確認できない。取引先が企業価値担保権を設定しているのかどうかも併せた確認が必要になる場面が増えそうだ。

 A 抵当権との優先順位はどのような扱いになるのか。

 B 原則として、抵当権といった、ほかの担保権の登記などの対抗要件と、企業価値担保権の登記の先後によって決まるということだ。先に対抗要件を備えた担保権が優先するのが原則で、売買や融資の際には登記の内容や時期を確認することが重要になる。

 A 実務で判断に迷う場面もこれから出てきそうだ。

 B 同制度は始まったばかりだ。実務を積み重ねながら運用ルールも整理される。不動産取引への影響が徐々に明確になっていくだろうな。

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