仮設団地を一つの「まち」に 釜石・平田第6仮設住宅 テーマは「居場所づくり」
住宅新報 2016年3月15日 号 3面
同仮設住宅の総戸数は240戸。自力再建や復興公営住宅への移転者と転入者の入れ替えなどで、現在は156戸・324人が生活している。自治会の森谷勲会長は、「外部の人達が数多くイベントを開催してくれる。5年という期間は確かに長いが、ここにきて各地域で復興住宅の建設が進むなど明るい気持ちになれている」と語る。
「日常を楽しく」
同仮設住宅では、設計段階から東京大学などの提案を受けて「コミュニティ形成促進」の仕掛けを施してきた。デイサービスや診療所、生活相談全般に対応する「サポートセンター」を設置したほか、コールシステムを活用しての24時間見守り体制を敷いた。また、美容院、食堂、雑貨販売などの「平田パーク商店街」を敷地内に整備。生活利便性の向上を図った。更に、著名建築家らによる住民交流拠点「みんなの家」も建設された。みんなの家では、昼はカフェ、夜はお酒の提供もあり、「日常が楽しくなるような場所」をコンセプトに、午前10時から午後8時半まで運営されている。
同仮設住宅における一つの大きなテーマとしたのが「居場所づくり」。特に高齢者の孤立をどのように防ぐかに注力した。
「コミュニティは自分のため」
役員任期は半年間
自治会役員の任期は半年だ。通常は1年のケースが多い中、「多くの人に運営に関わってもらうため」(森谷会長)に半年にした。役員になれば、自然と会合に出席するほか、様々な活動に参加する機会が増える。それはそのまま、本人のコミュニティ形成へとつながる。「コミュニティは大切なこと。ただ、自分が率先して行動しなければ形成できない」と話すのは佐々木新治副会長。コミュニティ形成は、自分自身のためになることを意識する必要があると指摘する。
向かい合わせの玄関
仮設住宅の玄関については、共用通路を挟んで向かい合わせに配置することで〝お互い〟を意識する設計とした。月2回の会報誌発行、そして独自のコミュニティ放送なども行っている。また、仮設住宅を中心に「平田公園仮設団地まちづくり協議会」を立ち上げ、新しい公共の場づくりのためのモデル事業に採択されるなどした。
「早くここを出たい」と語る森谷会長だが、復興公営住宅への移転者からは、「またここに戻りたい」という声をよく耳にするという。ハード面での不自由さを補って余りあるだけの、魅力的なコミュニティが平田第6仮設住宅では形成されているようだ。
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