酒場遺産 ▶124 神田 樽平 吉野杉の樽で琥珀色の酒
2年ぶりの神田祭を堪能した後、友人たちと「神田樽平」で久しぶりに飲んだ。店の外では気勢を上げる人たちの声が聞こえる。「樽平」は山形県川西町にある「樽平酒造」の酒を供する店である。神田樽平の創業は大正末期から昭和初期に遡り、酒蔵直営店として運…

2年ぶりの神田祭を堪能した後、友人たちと「神田樽平」で久しぶりに飲んだ。店の外では気勢を上げる人たちの声が聞こえる。「樽平」は山形県川西町にある「樽平酒造」の酒を供する店である。神田樽平の創業は大正末期から昭和初期に遡り、酒蔵直営店として運…
散歩がてら神田の活魚料理「浜貞」へ。20年ほど前に前職の先輩と訪れた記憶があるが、ほぼ満席だったのでカウンターの一番端に座った。店主は80歳くらいだろうか、生簀と厨房の間の狭い通路を、忙しなく行き来している。店の正面に置かれた水槽から網で魚…
前回に続き気仙沼である。この町随一の酒場と名高い「福よし」は、1952年(昭和27年)、初代・菅原福吉氏によって創業された、気仙沼の食文化を支えてきた酒場である。2011年3月の東日本大震災では、店舗が津波によって壊滅的被害を受け、一時は再…
「みしおね横丁」は、震災により失われかけたこの町の記憶を継承しようと、奔走してきた人々の思いが凝縮された場である。古い酒場を旨とする「酒場遺産」には当たらないが、ご容赦いただきたい。 昨夏、気仙沼を旅した。土地一面を覆っていた漂流物が自衛隊…
湯島は多様なところだ。本郷に続く住宅地や湯島天神のある高台の土地、そして上野広小路・御徒町へと続く低地の繁華街に分かれる。その高低差は建物の3~4階分ほどあり、2つのエリアは急な坂や階段で結ばれている。そして魅力的な酒場が密集しているのは、…
新宿歌舞伎町「すゞや」は、靖国通りに面したSUZUYAビル5階の老舗とんかつ屋で、数年前に友人Nさんに紹介されてから、新宿に来るとたまに寄る。目の前のアルペンスキービルの電光掲示板が強烈な光を放ち、フルハイトガラスを通して店内を光で満たす。…
巣鴨から湯島へ歩く途中、ジャズ喫茶「映画館」に(多分)10年ぶりに立ち寄った。通りの裏の窪地にひっそりとたたずむ、時代から取り残されたような店だ。そう広くない店内には大きなスピーカーが設置され、素晴らしい音のジャズが流れる。「映画館」という…
御徒町「佐原屋本店」を訪れたのは実に20年ぶりだ。場所はJR御徒町駅南口から徒歩約1分、JR山手線・京浜東北線の高架下にあり、通りを挟み下町スーパーの雄「吉池本店」がある。筆者が40代半ば頃、前職で田原町の建築プロジェクトセンターに半年ほど…
ある夏の日曜夜に、巣鴨「鳥晶」を訪れた。駅北口から歩いて数分の、古い2階建て長屋の一番右の間口の狭い店だ。まだ8時というのに店主が暖簾を下ろしているところだった。「夜11時閉店とありましたが」と聞くと、「申し訳ないね。日曜は早い時間からやっ…
巣鴨はかつて中山道の宿場町として栄え、江戸時代には多くの旅人が行き交い、古くから賑わった歴史の深い町である。「とげぬき地蔵尊(高岩寺)」のある地蔵通り商店街は「おばあちゃんの原宿」として知られている。「千成」はJR巣鴨駅北口からすぐ、幅4メ…
冬はおでんだ。凍える夜に熱燗を傾けつつ、おでんをつまむ幸福は何にも代えがたい。本連載22話では筆者の家から近い「お多幸神田店」を取り上げた。大好きな店のひとつだ。 今回は「お多幸新橋店」。昭和7創業(1932年)、あと7年で創業100年であ…
筆者はサラリーマン時代、30年以上虎ノ門近辺にいたのだが、新橋の古い酒場を探索した記憶があまりない。近くて「いつでも来れる」ということもあり、ことさらに歩き回ることもなかったのだ。虎ノ門近くにあった職場で遅くまで仕事をした後、同僚・先輩・友…
今夕、住宅新報「酒場遺産」でお世話になっている編集長と編集スタッフをお誘いし、八丁堀の住宅新報新社屋からすぐ近くの小料理「かく山」へ来た。裏通りに面したカウンター9席、テーブル4席の小さな店だ。まだ客のいない、日の高いうちから飲むクラシック…
王子駅からほど近い王子駅東口エリア(王子一丁目)には、「山田屋」「宝泉」をはじめ古い酒場が多い。「宝泉」は柳田公園に面した一角にひっそりと佇んでいる。暖簾(のれん)をくぐり、年季の入った木製の引戸を開けると意外な空間が広がる。独特の配置だ。…
自宅のある湯島から最寄りの御徒町駅で京浜東北線に乗れば15分ほどで王子駅に着く。「王子」の名は、鎌倉時代に紀伊熊野から「王子権現」を勧請し、王子神社と名づけたことに由来するという。 王子駅西側にある飛鳥山は江戸時代から続く行楽地で桜の名所。…
角打ち「麹町いづみや」から四ツ谷まで歩き「太平山酒蔵総本店」へ。四ツ谷で最も好きな酒場のひとつだ。しんみち通りの雑居ビル1階の奥まったところに「秋田料理 太平山酒蔵」と堂々と書かれた暖簾がかかる。暖簾をくぐり引き戸を開けると、正面に厨房とカ…
中野では名の知れた人気酒場だ。なんといっても魚が美味い。その日に築地市場(現在は豊洲市場)から仕入れた鮮魚が自慢で、メニューも刺身、煮付け、天ぷらなど様々だ。当然ながら酒も豊富である。全般に安くはないが、すべての料理の鮮度が高く美味しい。早…
中野ブロードウェイ近くの繁華街の角地に「路傍」という古い酒場がある。中野北口の繁華街は独特の猥雑さに満ちたエリアだが、その中でも「路傍」は独自だ。昭和36年創業。北海道・小樽から出てきた店主の母親が、新宿東口のタカノフルーツパーラー裏あたり…
日も暮れて、市ヶ谷から千鳥ヶ淵、半蔵門、そして四ツ谷へと歩いた。途中、半蔵門から四ツ谷へ向かう新宿通りの右側、ビジネス街の真ん中に、間口の小さな角打ちらしき店が目に入った。享保元年創業とある「地酒 いづみや」だ。立ち止まって様子をうかがって…
仕事が思いのほか早く終わり、まだ日の高いうちに、ひとり五反田駅近くの「もつ焼き ばん」に立ち寄った。懐かしいコの字カウンターの酒場である。早い時間からほぼ満席で、幅広い老若男女に愛されていることが見て取れる。「レモンサワー発祥の店」だけあり…