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酒場遺産 ▶122 気仙沼 福よし 震災から復活、刺身盛りは絶品

住宅新報 2026年2月24日 号 21面

連載: 酒場遺産

総合
酒場遺産 ▶122 気仙沼 福よし 震災から復活、刺身盛りは絶品

 前回に続き気仙沼である。この町随一の酒場と名高い「福よし」は、1952年(昭和27年)、初代・菅原福吉氏によって創業された、気仙沼の食文化を支えてきた酒場である。2011年3月の東日本大震災では、店舗が津波によって壊滅的被害を受け、一時は再開が危ぶまれた。しかし翌2012年4月、仮設店舗として営業を再開、2014年11月には現在の店舗が新築され完全復活を果たした。

 災禍を越え暖簾が再び掲げられたことは、この町の復興の象徴ともいえる。店の目の前には気仙沼漁港が広がる。フェリーほどの大型漁船が何隻もぎっしりと停泊しており、気仙沼船籍のみならず、南三陸、岩手県釜石、富山県魚津、北海道根室など、太平洋沿岸各地からの船が集まる。その光景は、気仙沼が日本有数の水産都市であることを改めて実感させる。

 筆者は前職の大上司に誘われ、震災直後からほぼ毎年続けられてきたという「気仙沼 志の輔落語ツアー」に初めて参加した。立川志の輔による「三方一両損」「壺算」は、落語の形式に収まりきらない、笑いと迫力に満ちた圧巻の二時間だった。その余韻のまま、ツアー総勢20名ほどで「福よし」に向かった。ここから先は、料理と酒に圧倒される。牡蠣、カツオ、そして地元で水揚げされた数々のお通し。この土地でしか味わえない鮮度だ。続いて運ばれてきた刺身盛りは絶品の一語。店主が「せっかく来てくれたんだから」と、大ぶりのカツオを丸ごと一本おろしてくれた。そして、ウニ、ホヤ、カツオのタタキ、地元野菜を使った小鉢・・土地の恵みをそのまま皿の上にのせた料理が次々と並ぶ。地産地消が「ここでは当たり前の営み」なのだ。胃袋はすでに満杯だ。

 酒も地元の老舗「気仙沼男山本店」の代表的銘柄「蒼天伝」。そしてこの店のために仕立てられた限定酒「港人・魚・心 ~福よし」。料理と酒、ホスピタリティあふれる女将さん、そして二代目店主の見事な包丁さばき。「福よし」の一夜を、恐らく一生忘れることはないだろう。気仙沼を訪れたならば、「福よし」を外す手はない。(似内志朗)

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