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酒場遺産 ▶115 巣鴨 千成本店 〝40年前から通う常連客〟

住宅新報 2025年12月23日 号 11面

連載: 酒場遺産

総合
酒場遺産 ▶115 巣鴨 千成本店 〝40年前から通う常連客〟

 巣鴨はかつて中山道の宿場町として栄え、江戸時代には多くの旅人が行き交い、古くから賑わった歴史の深い町である。「とげぬき地蔵尊(高岩寺)」のある地蔵通り商店街は「おばあちゃんの原宿」として知られている。「千成」はJR巣鴨駅北口からすぐ、幅4メートルほどの道に面する堂々たるファサードの老舗酒場だ。提灯の並んだ正面入口の上には、「千成」、「やきとり・コブクロ・ナンコツ・レバー・タン・ハツ・シロ」、「ろばた焼きひろちゃん」と書かれた古式の看板が光る。置き看板には「芝浦直送朝〆もつ焼き」とある。毎朝、芝浦の食肉市場から直送される、新鮮な朝〆モツを使用しているという。道に面して突き出す立ち飲みカウンターでは、日の高いうちからオヤジたちが楽しげに酒を飲んでいる。道路斜線で斜めに切り取られたビルのファサードと内部空間は「会津若松の築100年以上の古民家を移築した」という重厚な造り。二代目の女将によれば、創業60年余で巣鴨随一の老舗酒場という。「三代に渡る家族経営」の店として知られ、現在の店主は琵琶湖ホテル総料理長に弟子入りし京料理などを学んだあと、1988年に実家の千成に戻ったという。

 暖簾をくぐると右手の厨房には2人の外国人従業員、フロアを女将が切り盛り。1階はカウンター約10席、小上がり約10席、4人テーブルが2つ、6人テーブルが1つ。厨房から2階(座敷)と地下の「ひろちゃん」へ食事が運ばれる。カウンター席に座り、サッポロビール黒星大瓶、もつ焼き盛り合わせ5本セットを頼んだ。牛モツ煮込みも人気で、この日は既に売り切れていた。隣に座った常連客から声を掛けられ話を聞けば、岩手県から40年前に東京に出て来て、職場の先輩に連れて来られたこの店にずっと通い続けているという。律儀な人だ。ゴーヤチャンプルを肴にキープの焼酎をちびちび飲んでいる。「心配なんだ。この店もそのうち地上げにあって、消えちゃうんだろうな」などとぶつぶつ言う。(似内志朗)

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