暖簾に傷が付く 松岡英雄新住まいの「ことわざ」 <109>
海外不動産事情視察旅行でスイスのベルンを訪れた時、視察の合間に街角の時計屋さんを覗いた。店番をしていた妙齢のご婦人に半分以上理解できない英語で熱心に勧められ、「ジャストルッキング」と言い出せなくて、給料1月分の大枚をはたいて腕時計を買う羽目…
海外不動産事情視察旅行でスイスのベルンを訪れた時、視察の合間に街角の時計屋さんを覗いた。店番をしていた妙齢のご婦人に半分以上理解できない英語で熱心に勧められ、「ジャストルッキング」と言い出せなくて、給料1月分の大枚をはたいて腕時計を買う羽目…
暖簾は商店の入り口などに張られる布で、屋号・商号や家紋などが染め抜かれていることも多い。直接、風や光が入るのを防いだり、寒さよけとして取り付けられたのが始まりと考えられている。 外から内部を見えにくくする目的もあったであろう。営業中のしるし…
3月は卒業式の季節である。「蛍の光、窓の雪……」と送る歌が聞こえてくる風景が懐かしい。 中国、晋の孫康(そんこう)が、貧しさに油が買えず、雪明かりで書を読み、学問に励んだという故事から苦学することをたとえていう。 今年の冬は雪が異常だった。…
大学4年のときにクルマの免許をとったが、ついに一度も運転することはなかった。完全なペーパードライバーである。 したがって、運転はできないし、もう、運転しようという気もない。更新だけはしてきたので、今、免許証は身分証明書として大いに役に立って…
雛祭りが終わったらすぐに雛人形を仕舞わないと娘の婚期が遅れるという根拠のない言い伝えがあり、親としては半信半疑ながら、それでも翌日には片付けてきた。長女の婚期が遅れたのでやきもきした時期もあったが、35歳でどうにか嫁いでくれた。 子どもが成…
盗人、泥棒のこと。転じて、ねずみの称。中国、後漢の陳寔(ちんしょく)が梁(はり)の上にひそむ泥棒を見て、悪い習慣が身につくと、あの梁の上の君子のようになるのだと子供に言って聞かせたという故事から。「梁」は、柱と柱の上に横に渡して小屋組みを受…
昔のお大尽の家には必ず倉があった。白壁となまこ壁の組み合わせはたいへん美しく、子供心にも憧憬の念で眺めていた。戦後の貧しさの中で生きていた子供にも、倉は富める者の象徴であることがうすうす感じられていたのであろう。 娘ふたりがまだ小さいころ、…
永井荷風は麻布市兵衛町にあった自宅を偏奇館と名づけていた。ペンキ館のしゃれである。荷風はそれ以前、大久保余丁町にあった実家の屋敷内に増築した小庵にも断腸亭と名づけている。偏奇館は1920(大正9)年、外国人が住んでいたものを購入し洋館らしく…
烏(カラス)はとても賢い動物で、車に木の実を轢かせて割るところがテレビで放映されたりする。鵠沼海岸にいる烏は、観光客が食べているハンバーガーを一瞬の隙に奪っていく。鳴き声は不吉なものとされ、『家の近くで烏が鳴くと凶報がある』と言われている。…
近頃は軒の深い家が少なくなってしまった。 狭い敷地を有効に利用しようとすれば、軒や庇を浅くせざるを得ないし、また、技術の進歩により、風雨に強い壁や窓ができたおかげで、それほど軒先を必要としなくなったという理由もあるのだろう。したがって、今で…
東京23区には坂がいくつあるのだろうか。歩いて調べた人によれば、700を超えるという。富士見坂は20幾つあるそうだ。もっとも地名だけで富士山は見えなくなってしまったところが多いらしい。 坂といえば、江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』である。文京…
朝7時前からバス停に並んでいる人がたくさんいる。東海道線辻堂駅まで10分ほどである。駅前にテラスモールという湘南地区で最大のショッピングセンターが昨年11月にオープンし、今、話題のスポットである。辻堂駅から東京駅までは50分である。朝早いの…
「めでたくもありめでたくもなし」と続く。一休禅師の歌とされている。正月の門松は本来めでたいものとされているが、門松を立てるたびに歳をとり、死に近づくことになるので、死への道の一里塚のようなものだの意。 かつて「数え年」という年齢表示があった…
年賀状を書く時期になった。段取りの良い人はもう投函されていることだろう。クリスマスが過ぎないと書く気にならない人もいるに違いない。東北地方では年賀状を出せない人がたくさんいる。12月はいやおうなく今年の出来事を思い出させる。 人前で趣味と言…
私にはひとりの姉がいる。9歳離れている。 尾張一宮で暮らしている。親元から出たのが30年ほど前。独身を通している。まだしっかりしてはいるが、いつボケるか、動けなくなるか心配で不安である。 私のマンションの北側に、住宅型有料老人ホームが今春オ…
東北地方には、庭に御御堂が建っている古民家が多くあるという。御御堂は仏間が独立して離れになったものである。御堂は仏像を安置した堂であるから、本来はお寺に建っているものである。 「おみどう」という言葉をテレビで聴いた。画面には「御御堂」と字幕…
昨年3月、退職するときに、マンション管理会社の二代目社長さん数人が集まって送別会をしてくださった。マンション管理業界もディベロッパー系の管理会社を除けば、業績を維持拡大していくことは大変であるが、独立系の二代目社長さんたちは堅実に経営を引き…
年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げるという厚生労働省案については、来年の通常国会には法案提出はしないということになったが、いずれ再浮上してくることは間違いない。年金は入りと出との兼ね合いだから、悩ましい問題である。 昔は老いた親…
「断捨離(だんしゃり)」という言葉が広まっている。この言葉は、ヨガの「断行(だんぎょう)」「捨行(しゃぎょう)」「離行(りぎょう)」という考え方を応用して、人生や日常生活に不要なものを断つ、また捨てることで、ものへの執着から解放され、身軽で…