不動産鑑定士レター 業界の次世代担い手確保 SNSで若年層へ認知向上
住宅新報 2024年12月24日 号 3面
連載: 不動産鑑定士レター

「なんで?」――。不動産鑑定士と聞いて、誰かの顔が思い浮かぶ方は少ないと思う。僭越ながら、三大国家資格の一つとして数えられることが多い不動産鑑定士ではあるが、残念ながらその知名度は他の士業系国家資格と比べて低いと言わざるを得ない。特に、小・中学生、高校生、大学生といった、次世代の日本を担う若者からの知名度はより低い。もちろん、将来なりたい職業ランキングの上位にでてくることもない。毎年、不動産鑑定士試験への挑戦者1000人に満たず、合格者は150人に届かない。少子高齢化の波は不動産鑑定士業界にも届いており、次世代の担い手確保は業界の喫緊の課題となっている。一見、大ピンチだ。いや、チャンスでしょ。不動産鑑定士業界でもこの危機を機会ととらえる人たちによって様々な変化が起こっている。その一つがSNSだ。
今、日本一有名な不動産鑑定士といっても過言ではないのが、冒頭の「なんで?」でお馴染みのインフルエンサー、ユーチューバー、ティックトッカー不動産鑑定士である中瀬桃太郎氏。その動画はとにかくコミカルで、中毒性がある。特に若い世代に絶大な人気を誇り、小中学生が不動産鑑定士という資格、職業を知り、高校生が不動産鑑定士になりたいと思い、大学生は実際に受験勉強を始めているといった現象が起きている。資格予備校によれば若い世代からの問い合わせが近年明らかに増大しているらしい。ほかにも、SNSで活動する不動産鑑定士が実はここ最近増えているのだ。しかもその多くは経済的な動機ではなく、「不動産鑑定士という魅力的な国家資格、職業を広く世に知ってほしい」という崇高な想いから活動している(筆者調べ)。仕事を奪い合う競争相手と見るのではなく、業界をより良くしていくための仲間として求めているのだ。ユーチューブでは不動産鑑定士の仕事や日常風景を配信し、Xでは受験生の悩みに不動産鑑定士が直接答える、というような活動をしている。ユーチューブやXで「不動産鑑定士」と検索してみてはいかがだろうか。ぜひ皆様にも不動産鑑定士の世界を知っていただきたい。
■二刀流での活躍も
SNS不動産鑑定士のほかにも、魅力的な不動産鑑定士は多い。税理士、弁護士といった士業系国家資格を有する不動産鑑定士。英語力を生かして海外と日本を繋ぐ不動産鑑定士。鉄道が好きで日本全国で知らない電車はないと豪語する不動産鑑定士。世界トップクラスのアスリートである大谷翔平選手のように、不動産鑑定とは別の分野にも精通する二刀流として活躍する不動産鑑定士は実に多い。一見無関係のように思われる分野でも、不動産鑑定には大いに役立っており、相乗効果を発揮して顧客の問題に対してベストな解決方法を提案している。代表的な二刀流は「不動産鑑定士×税理士」であろうか。税務の世界では不動産の価格が焦点になることが多く、不動産の価格の多寡によって経済的な利益が大きく変わることも少なくない。不動産鑑定は不動産の購入、売却だけではなく、相続や不動産投資等の局面で必ず役に立つ。不動産鑑定を知り、税務を知る「不動産鑑定士×税理士」に相談すれば、最適な解決方法を提案してくれることであろう。
■「A+A」で役立ちを
私たち不動産鑑定士は、鑑定評価「Appraisal」に、時代のニーズである助言「Advisory」を組み合わせた「A+A」により、皆様の役に立っていく。不動産で困ったら不動産鑑定士に。それが当たり前になるように。こんなに魅力にあふれた不動産鑑定士が皆様の近くにいることも合わせて、世の中の皆様に広く知っていただきたい。目指せ、コミック化、ドラマ化、映画化!
(公益社団法人東京都不動産鑑定士協会 雨宮竜介)






















