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プレミアム会員限定不動産鑑定士レター 倉庫あれこれ 投資対象として存在感

住宅新報 2023年6月27日 号 3面

連載: 不動産鑑定士レター

総合
不動産鑑定士レター 倉庫あれこれ 投資対象として存在感

 最近、遺産分割で紛争中であるものの、遺産のうちの農地が倉庫用地として(高く)売却できそうだから、なんとか遺産分割手続きを纏めようとしているという話や、農地が広がる一帯で、一部の農地が倉庫用地として買い進められたが、購入に至らなかった隣接農地の所有者が、工事用トラックの騒音や排気によって作物の生育に懸念があるため、倉庫建設に反対している等々、倉庫用地に見初められた農地にまつわる話を耳にしました。

 今回は、そんな倉庫あれこれについてお話ししたいと思います。

【需要は堅調】

 地価動向では、令和5年地価公示で公表されたように、工業地の価格上昇が続いています。

 その要因として、「Eコマース市場の拡大を背景に、高速道路ICや幹線道路等へのアクセスが良好で、画地規模の大きな物流施設適地は、地価上昇が拡大している」と公示結果の概要で示されたように、物流施設用地に対する需要の高まりが工業地の地価上昇をけん引しており、投資市場における物流施設の取得動向にもそれが表れています。

 物流施設特化型リートの銘柄数の増加もあって、J-REITにおける物流施設の2022年までの組入総数は、5年前の17年から7割近く上昇し、他用途(オフィスとレジデンスは20%弱程度)と比較しても、投資対象として物流施設の存在感が増しています。

【倉庫の種類や規制】

 さて、「倉庫」と一口に言っても、倉庫には複数の種類や規制等があり、また、倉庫と物流施設とは意味合いが必ずしも一致するわけではありません。

 倉庫には、倉庫業を営む倉庫(営業倉庫)と倉庫業を営まない倉庫(自家用倉庫)があります。倉庫業とは、「寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業」と定義されており、大きくは、普通倉庫業、冷蔵倉庫業、水面倉庫業に分類され、このうち普通倉庫業が、アマゾンや楽天、アスクルなど一般的にイメージされる倉庫です。

 倉庫業を営む倉庫は、用途地域による制限について自家用倉庫よりもやや厳しくなっており、住居系の用途地域(準住居地域を除く)では建築できません。

 更に、用途地域の制限以外にも、地区計画や特別用途地区等により、倉庫業を営む倉庫を規制している自治体もあり、その場合は、自家用倉庫の建設しかできませんので、文字通り本人の荷物や自社製品などを保管する倉庫に限られることになります。

 なお、市街化調整区域においては、原則として建物の建築はできませんが、地区計画により認められている場合、物流総合効率化法に基づく「特定流通業務施設」や貨物自動車運送事業法に基づく「特別積合せ貨物運送に供する建築物」(特積施設)が認められる場合があります。  ただし、自治体によってその可否や建てられる倉庫の種類、開発許可基準等が異なっているほか、基本的には自己の業務用に限られ、賃貸することはできません。

 定義についてはあいまいではありますが、どちらかというと、倉庫は、商品が入荷してから出荷するまで保管する施設であり、他方、物流施設は、商品の保管だけでなく、商品が出荷されるまでの様々な作業(ピッキング、加工、梱包、配送等)を行う物流センターとしての性格を有する施設を指しているものと思われます。

【終わりに】

 倉庫用地や複合不動産としての倉庫及び敷地の評価に際しても、倉庫として一辺倒に捉えるのではなく、倉庫にかかる種類や規制によりどんな倉庫が建てられるのか、また、既存倉庫は法に合致しているか、賃貸は可能か、どういった設備水準を備えているか、それらによる市場参加者の属性や行動、更に、近年物流業界で危惧されている「2024年問題」が需給動向に与える影響等々、幅広く分析調査することが必要不可欠であると考えます。

(公益社団法人愛知県不動産鑑定士協会 平井真希)

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