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スタンダード会員限定柔軟な働き方促すABW コロナの影響受けて導入加速 オフィスの意義も再認識

住宅新報 2021年2月16日 号 1面

総合
  • ミーティングルーム(GAテクノロジーズ本社)。間仕切りの奥に「リノシールーム」がある

    1 / 3ミーティングルーム(GAテクノロジーズ本社)。間仕切りの奥に「リノシールーム」がある

  • ミーティングルーム(GAテクノロジーズ本社)の間仕切りの奥に「リノシールーム」がある

    2 / 3ミーティングルーム(GAテクノロジーズ本社)の間仕切りの奥に「リノシールーム」がある

  • サブスクリプション家具を用いて、レイアウトの自由度を高める

    3 / 3サブスクリプション家具を用いて、レイアウトの自由度を高める

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一つとしてテレワークが推奨されている。20年4月~5月の緊急事態宣言下では、テレワークを強いられる中で「オフィス不要論」が台頭したが、テレワークの長期化はオフィスの存在意義を考えさせる契機になった。

 一方、コロナ禍以前から提唱されていた働き方改革では、柔軟に働ける環境整備が求められていた。テレワークの推進は環境整備において必須項目の一つ。仕事の内容は打ち合わせから資料作成など一人でできる仕事から多人数で行うことまで幅広い。業務内容に応じて、働く場所や時間を選択できるABWは関心を集めていた。通常のフリーアドレス制とは異なり、場所も選べるのが特徴であり、コロナ禍において改めて導入が加速している。

ABWに向かうオフィス

 オフィス仲介大手の三幸エステート(東京都中央区)の菅野誠オフィスコンサルティング部長は「最近はABWを踏まえた事例以外はほとんどないというレベル」と述べる。新型コロナの影響は大きく、オフィスの移転や改装では、在宅勤務の増加を踏まえ、床面積が圧縮され、従業員の最適な働き方を求めてABW導入に向かうというサイクルだ。

 オフィスが必要なシーンや機能、在宅勤務で可能なものを踏まえ、菅野部長は「多人数でクリエィティブなことを行おうとすれば、バーチャルはやりにくく、対面でないと難しい」と述べる。その一方、カフェや個人用スペースをはじめとしたイノベーションスペースも求められている。会議室、カフェ、ワークといったエリアのベストミックスを見つけることがオフィス戦略の一つになる。

 時間や場所が選択できるがゆえに、労務管理の課題が挙がるケースは多い。これは人事面の領域となるが、菅野部長は「目の前にいなくても、(部下が)何をやっているかが分かるオペレーションに変化していかなければいけないのでは」と指摘する。

増床を機に環境整備

 オフィスづくりは企業の規模や業種、企業文化、そしてオフィス空間に求める役割によって変わってくるもの。増床を機にテレワークと出社を組み合わせたオフィス整備に動いた企業もある。

 不動産テック総合サービスを運営するGAテクノロジーズ(東京都港区)は20年11月、本社オフィスを増床した。同社は13年に従業員3人で創業したが、事業の拡大、M&Aを経て600人規模に成長している。19年2月に住友不動産六本木グランドタワー40階に入居した。従業員の増加を踏まえ、42階のフロアに増床。それ以前と比べ、床面積は約1.5倍の合計で約1600坪となる。

 現状は自席のあるABWというスタイル。オンライン化の重要度を踏まえ、法人顧客向けのセミナーや社内イベント・研修を配信するためにスタジオスペースを新設(完成は2月中を予定)。電話用ブースを8台設置することで、会議や営業のオンライン化もサポートし、働き方の変化に対応する。

 同社LIFE‐DESIGN DivisionⅢの諸橋俊マネージャーは「1人当たりの床面積は平均的に約8m2と言われるが、その中に収まっているイメージ。(合計の床面積は)通常の自席があるタイプや、通常のABWのオフィスと比較しても1.1~1.2倍内に収まっている」と説明する。

 増床した42階には大規模なミーティングルームを配置。パーティションで仕切られた奥にはセミナー等に使用できる「リノシールーム」と命名されたスペースを確保。2つのスペースを合わせ、座席等を調整すれば全社員が集まれるという。

 定額料金で一定期間の利用ができるサブスクリプション家具を配置し、社会環境や働き方の変化に柔軟に対応するのも特徴の一つだ。出社率と同時に会社に集まる意義が並行して問われており、レイアウトを「出社したからこそできることを事業計画や会社の方針にのっとって選択できる」(諸橋マネージャー)。今後は定期的に空間の見直しを進めていく。

 同社はオフィスのあり方を検証していく方針で、2月9日にはデータを活用・分析してオフィス設計を行うサービスも始動させている(関連記事=GAテク、オフィス空間をアップデート)。

「エンゲージメント」とは

 昨今、「エンゲージメント」という言葉が非常に目につく。状況に応じて意味やポイントが使い分けられる傾向はあるが、総じて、企業と個人が相互に信頼し、共に成長していく関係性と解釈される。

 個人的な見解としつつ、三幸エステートの菅野部長は長くファシリティマネジメントに携わった経験から「例えば、イベントが気軽にできるスペース、営業担当者が成功事例を簡単に発表できるようなカフェスペースなどはオフィスが関係してくる。売り上げ向上のためにはコミュニケーションが大事であり、成功事例の展開によって若い人は早く育つ。イノベーションを起こす仕組みが大事なのでは」と説く。一方、GAテクノロジーズLIFE‐DESIGN DivisionⅢでオフィス設計に携わる中森康裕氏は「ビジョンの共有と仲間感ではないか。納得して仕事に取り組むためには、信頼関係が築けるかが非常に重要」という見解を示した。

 コロナ禍が引き起こしたオフィスへの影響は単なる空室率の上昇や賃料の低下だけではない。オフィスの存在意義を根本から考えていく必要性だ。個人と企業・業務とのつながりを感じさせるオフィス戦略が改めて求められていると言える。

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