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スタンダード会員限定加速する 物流不動産ビジネス (11)  ピンチが生んだ物流不動産ビジネス

住宅新報 2020年3月24日 号 21面

連載: 加速する物流不動産ビジネス

総合
大谷巌一

大谷巌一

 私は1981年に大学卒業後、倉庫業の老舗である東京倉庫運輸(東京都港区)に入社しました。仕事を始めて程なくして実父に多額の借金があることが判明し、社会人初のピンチを迎えました。しかし、借金返済のために学習塾を開業したことで、後々チャンスとなる起業家精神が芽生え、私の生き方を大きく変えていきました。

 90年には同社の所有する東京・芝浦の第3東運ビル1階にディスコ「ジュリアナ東京」が開業、私が担当となりました。バブル後半期のVIPルームには、不動産業で富を得た人たちで賑わいを見せていました。

 入社後、倉庫業はどっしりと腰を据える〝待ち〟の営業だと教えられていました。一方の不動産営業は倉庫業には到底できない、攻め一辺倒の営業スタイルを展開する別世界でした。短期間に巨額の富を生む不動産業に魅了されていった私は同年、宅地建物取引主任者資格を取得。倉庫業の貨物保管と不動産業の賃貸や売買は、共に空間から収益を得る同一性があることに気付きました。そして両業界、双方の営業の良さを取り入れ攻守バランスのとれた物流不動産ビジネスを思いついたのです。

 倉庫業の営業は物流担当者との折衝ですが、不動産仲介業務は取引金額が大きいため、役員等の決定権者と相対しての商談となります。私は同席の役員に対し、物流サービスを直接売り込み、物流業と不動産業の双方の売り上げを急伸させていきました。この二刀流の経験が、「物流不動産ユーティリティープレーヤーの原型」となったのです。

 とはいうものの、思い付いたら即行動する性格が災いし、自ら招いたピンチも数多くありました。逃れるため、もがき苦しむことで、逆に多くのチャンスに巡り逢うことを経験し、物事を俯瞰的に捉える癖がついたのもその頃です。

メイド・イン・ジャパン

復活の架け橋に 中国・武漢市から広がった新型コロナウイルスは世界各国で大きな影響をもたらし、南極大陸を除くすべての大陸で感染が確認、国境封鎖に乗り出した国もあります。WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は、コロナウイルスについてパンデミック(世界的な大流行)と見なすと表明しました。世界的混迷が長期化していく中、国内製造業は海外とのSCM(サプライチェーン・マネジメント)の分断により、大きなピンチを迎えています。

 日本はこの先、大手企業を中心に、製造拠点の国内回帰が始まると見ています。そこで、重要な受け皿となるのが、大量供給が続く物流不動産です。施設内に工場機能を付加して、新たな需要を呼び込むことができます。ピンチをチャンスに――。新型コロナがメイド・イン・ジャパン復活のきっかけになるのではないかと見ています。

 私は既存の業界からはよそ者扱い、異端児に見られてきました。これからも既存業界の変革を天命として、社会性、事業性、革新性を併せ持つ物流不動産ビジネスの普及に邁進していきたいと考えています。

 さて、この連載も今回で最終回を迎えることができました。2年間にわたり、多数の励ましのお言葉をいただき、読者の皆様には大変感謝しております。物流不動産ビジネスは、変化する時代のニーズに対し、柔軟に即応できるビジネスモデルです。ご興味をお持ちいただいた方、ぜひご一緒に新業界を創り上げて、低迷する日本経済に活況を取り戻しましょう。=終わり

(大谷巌一・イーソーコ会長)

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