今回は9月20日に「不動産ソリューションフェア」セミナー会場で開かれた「物流不動産ビジネス」をテーマにしたパネルディスカッションの模様から紹介します。私がモデラーを務めた本セッションでは、物流・不動産双方の実務をご経験されたお二人を招きました。
一人は不動産仲介ポータルサイトを運営するアドパークコミュニケーションズ・平田実社長です。インターネットを使ったビジネスの優位性に早くから気付き、日本初の不動産検索サイトを構築されましたが、実は佐川急便、ヤマト運輸、日本通運の物流業出身です。もうお一人は日本最多の物流施設の不動産鑑定実績を持つ、日通不動産仲介鑑定部・塩田研太郎部長。「不動産をやりたくて日通に入社した」というユニークな経歴の持ち主です。
5年後に業界で何が起こるかをプロフェッショナルな視点から展望しました。テクノロジーの重要さを強調するのは平田氏です。2000年代前半には紙媒体からWebサイトへの置き換えが始まりましたが、「現在のデジタル化を後押しするのはスマートフォンの普及。今はシェアリングエコノミーという波に乗ろうとしている」と話されます。
日進月歩で進むデジタル化の影響から、物流不動産へのニーズを言及されたのは塩田氏です。日本通運が推進する自動運転技術実証実験や、新札幌センターで稼働開始した庫内作業自動化では、自動走行フォークリフト(AGF)を3台導入、夜間帯の入庫作業と出庫作業の無人化を可能にしたことを明かしました。「自動化により、従来の人手を介したオペレーションよりスペースが必要となった。今後、超大型高機能物流施設のニーズは更に高まってくるだろう」(塩田氏)。
大手物流会社が自動化やロボット化を進めることで、大手メーカーの物流の受託が進み、外資系不動産ファンドや大手不動産会社が建設する「超大型高機能物流施設」へ中小の倉庫が集約する動きが発生します。それにより空いた中規模の倉庫に小規模の倉庫が集約。最終的に小規模倉庫や築古の倉庫に空きが発生する「玉突き現象」が起こります。我々イーソーコグループのターゲットは、中小物流会社です。ロボットやAIを用いた自動化設備を導入できる大手はごく一部に過ぎず、99%のマーケットがある中小物流会社の倉庫では、自動化はまだ先という気がしています。しかし一方で、伸びしろは大きいとも感じています。
1時間30分では語りつくせぬトークセッションとなりましたが、最も印象に残った言葉は「物流に不動産という言葉を付加したことで不動産を意識してビジネスを進める画期的な事例」という平田氏の言葉です。例えば、エンジニアと営業マン、建築士と鑑定士、医者と弁護士など、いろいろな領域を重ね、集積していくメリットは計り知れません。物流不動産ビジネスは、物流と不動産のみならず、建築、金融、ITまで横串を通すビジネスです。今回の最終事前登録170人のうち、不動産20%、物流30%、倉庫15%、建築10%、金融11%、メーカー6%。まさに私が理想とするお客様にお集まりいただきました。
盛況のうちに閉会となりましたが、令和に入り、ますます追い風が吹く「物流不動産ビジネス」の一端をビルオーナーの方々に知っていただく絶好の機会となりました。ご来場いただいた皆様、どうもありがとうございました。
(大谷巌一・イーソーコ会長)























