マン活に励む管理組合~良好なコミュニティの秘訣~ テラス渋谷美竹【前編】 東京都渋谷区 建て替えへの困難な道筋 住人の会話がきっかけ
住宅新報 2019年7月2日 号 11面
連載: マン活に励む管理組合

建て替え前の旧美竹ビル
渋谷駅はいわずと知れた都心の大動脈。JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン、東京メトロ銀座線・半蔵門線・副都心線、東急田園都市線・東横線、京王井の頭線の9路線と接続し、商業・文化の中心地です。その渋谷駅から徒歩3分。3棟構成のようにも見える白亜のビルが「テラス渋谷美竹」です。
テラス渋谷美竹は12年に建て替えが完了したマンション。それまで約56m2の2DKが40戸と事務所が入っていた6階建ての建物が、住宅196戸と事務所や店舗が入る地上17階地下3階建ての堂々としたマンションに生まれ変わりました。
しかし、その道のりは決して順風満帆なものではありません。建て替えに有利な条件に恵まれていたにもかかわらず、建て替えの準備自体が頓挫してしまったこともあったそうです。やっとの思いでこぎつけた建て替え決議も一度は不成立に。そこから2年越しで計画案を見直し、やっと可決。これだけの紆余曲折があったのは一体なぜなのでしょうか。また住人たちはその問題にどのように取り組んだのでしょうか。
テラス渋谷美竹は以前「美竹ビル」という住宅と事務所の複合マンションでした。昭和34年に財団法人東京都住宅協会(現・東京都住宅供給公社。以下公社)が建築し、住宅部分を分譲。立地のよさから長く住んでいる人も多いマンションでした。しかし、経年と共に老朽化が進み、雨漏りや漏水、排水設備の不具合が頻発。またエレベーターがなく階段や踊り場が狭いなど生活面での不便さのほか、耐震性にも問題がありました。
05年に実施した調査によると、これらの問題点を修繕や改修によって改善するためには概算で1億6500万円必要とのことでした。また、新耐震基準に沿って耐震補強をするには、一部の住戸の使用に大きな支障が出てしまうため、実質的に耐震補強は困難でした。エレベーターの設置についても、住戸部分に廊下を設ける必要があり、こちらも事実上困難な状況だったのです。
そんな美竹ビルに建て替え案が持ち上がったきっかけは、とある女性住人同士の会話でした。マンション上階に住んでいる高齢の女性が、階段の上り下りがきつく、エレベーターを付けるか建て替えをするか検討してほしい、とこぼしたのです。
以前から老朽化による不具合も出ていたことから、4、5人の住人が建て替え案を作成して理事会に報告。総会にかけましたが、反対する住人がいたことや、当時事務所として1、2階に入っていた公社との話し合いがスムーズに進まなかったことで、あっさり否決となりました。
いったんは否決となった建て替え案ですが、雨漏りや不具合があるのも事実。そのため、住人たちの心の中には漠然と「もう少し話さないと」という建て替えへの思いがくすぶっていたといいます。そこで理事会では住人アンケートを実施。その結果、建て替えに前向きな人が多かったため、02年に自由参加型の勉強会を立ち上げることにしました。住人のつてを頼って、コンサルティングを行う設計会社にお願いし、勉強会を開催。何度か会を重ねるうちに参加者は増え、常時20名ほどが参加するようになったといいます。
建て替えへの機運が高まってきたこともあって、その後反対していた住人も合意し、公社とも話がまとまりました。03年には建替推進決議が可決され、建替計画委員会が設置されました。翌年、事業協力者を募集するコンペを開始。数社に案を出してもらい、アンケート形式での記述式投票を行った結果、実現性の高い提案に加え、建て替え実績の多い新日鉄興和不動産(株)を事業協力者とすることに決定しました。
さあ、次は事業協力者の提案する設計計画を吟味して、建て替え決議を……というところで、またまた問題が発生。建て替え決議がわずかの差で不成立となってしまったのです。
(取材年月:18年6月)
【マンション概要】
建物名/テラス渋谷美竹▽所在地/東京都渋谷区▽階数/地上17階地下3階建て▽総戸数/196戸▽竣工年/12年(平成24年)築▽管理形態/全部委託▽管理会社/(株)日鉄コミュニティ▽総会開催/毎年6月▽役員数/11人(住宅管理組合10人)▽役員任期/2年(半数改選、輪番制)






















