マン活に励む管理組合~良好なコミュニティの秘訣~ ライオンズマンション親水公園(2) 東京都江戸川区 日頃の声かけが生きる 居住者で事例共有
住宅新報 2019年5月14日 号 13面
連載: マン活に励む管理組合
ライオンズマンション親水公園のケースでも、田中さんはアドバイザー講習の時に聞いた事例と今回の女性の話がよく似ていたため、「もしや」と思ったということでした。振り込め詐欺は、詐欺と気づいた時には既に犯人の姿はなく、足がつきにくい犯罪であるため、水際で食い止めることがとても重要です。特に近年では、高齢者のタンス預金を狙って犯人が現金を自宅に取りに来る手口が増えていることから、生活の場であるマンションで直接居住者に被害防止を訴えることの効果は大きいのです。
ところでこの時、田中さんはなぜ女性が普段と違うことに気付いたのでしょうか。また、被害女性はなぜ田中さんに声をかけられ、すべてを包み隠さず話したのでしょうか? それは、田中さんが管理員として普段から心掛けていることと大いに関係があります。
田中さんはライオンズマンション親水公園に勤務して11年。築32年のマンションは、竣工時から住んでいる人も多く、65歳以上の住人が6割近くいるなど高齢化しています。そのため、田中さんは高齢の居住者を見かけたら、あいさつだけでなくゴミ出しの際に世間話をするなど必ず声をかけるようにしています。また、単身高齢者の世帯を把握するため、マンション内の訃報についても気を配っています。
今回の被害女性は70代。息子さんは既に独立し、病気がちだったご主人を数カ月前に亡くして、マンションの1室に一人暮らしをしている状態でした。「一人暮らしの方は話し相手がいなくてさみしい思いをしている方も多い。私と話すことで気が晴れてくれればと思い、なるべくお付き合いするようにしています」と田中さん。常日頃から居住者をよく見て、コミュニケーションをとっていたことで、女性の異変を察知することができた上、女性も身内の話をさらけ出すことができたのです。
この一件のあと、マンション管理組合理事会では事例を共有し、注意喚起の意味も込めて居住者全員に伝えました。田中さんは居住者の方から、「管理員さん、すごいことをしたね」「管理員さんがいてくれるから心強いです」とうれしい言葉をかけられたそうです。また、管轄の警察署からマンションにパトカーが迎えに来て、警察署長から感謝状を授与されたということです。
今回の事例は、ひとりの住人を犯罪被害から救っただけでなく、今後起こり得る多くの犯罪をも未然に防止する貴重な事例になったようです。
(取材年月:18年3月)
【マンション概要】
建物名/ライオンズマンション親水公園▽所在地/東京都江戸川区▽階数/10階建てほか▽総戸数/62戸▽竣工年/1985年(昭和60年)築▽管理形態/全部委託▽管理会社/(株)大京アステージ▽総会開催/毎年7月▽役員数9人/役員任期/1年・輪番制
























