鑑定士協連レター 平成31年地価公示 地価上昇、地方拡大が続く
住宅新報 2019年5月7日 号 9面
連載: 不動産鑑定士レター
平成31年地価公示によると、全国の全用途平均は4年連続の上昇となった。地方圏では、全用途平均・住宅地が平成4年以来27年ぶりに上昇に転じた。地方圏のうち、地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)を除くその他の地域においても、商業地が平成5年から続いた下落から横ばいとなり、工業地は平成4年以来27年ぶりに上昇に転じた。地価の上昇傾向が地方圏に拡大する傾向が続いている。
低金利、所得改善が 住宅需要下支え
全国的に雇用・所得環境の改善が続く中、低金利環境の継続や住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあって、交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調である。
東京圏の平均変動率は6年連続して上昇、大阪圏の平均変動率は2年連続して上昇、名古屋圏の平均変動率は6年連続して上昇となった。
地方圏の平均変動率は0.2%と平成4年以来27年ぶりに下落から上昇に転じた。地方圏のうち、地方四市の平均変動率は6年連続の上昇となり、上昇幅も5年連続で拡大した。
住宅地の中で地価の上昇が最も高かった地点は、北海道倶知安町にある倶知安-3で、平成31年公示価格は7万5000円/m2、対前年上昇率は50.0%となっている。外国人観光客の増加や北海道新幹線等の建設工事の進ちょくにより、市街地における店舗需要やリゾート施設従業員・建設作業員の宿舎需要が旺盛であること、外国人による別荘地需要も見られること等によるものである。
東京圏で地価上昇率が最も高かった地点は、東京都渋谷区にある渋谷-11で、平成31年公示価格は238万円/m2、対前年上昇率は15.0%となっている。
代官山駅近くのマンション用地の地点で、高価格帯のマンションに対する需要が強いことから地価が上昇している。新興富裕層による旺盛な需要を反映しており、番町地区を代表とする千代田区と比較すると渋谷区・港区のマンション用地の地点の上昇率が高い傾向にある。
インバウンド需要が
地方の上昇率押し上げ
主要都市の中心部などでは、店舗、ホテル等の進出意欲が依然として旺盛であり、景気回復に伴う企業業績の改善が続く中、働き方改革等に対応したオフィス環境の改善のための拡張・移転の動きも見られ、オフィスの空室率は概ね低下傾向が続き、賃料が上昇している。こうした状況を背景とする商業地の収益性の高まりに加え、金融緩和による良好な資金調達環境も相まって、法人投資家等による不動産投資意欲が旺盛であることから、商業地の地価は総じて堅調に推移している。
東京圏・大阪圏・名古屋圏とも、平均変動率は6年連続の上昇となり、上昇幅も東京圏・大阪圏では5年連続、名古屋圏では2年連続で拡大している。
地方圏の平均変動率は2年連続で拡大している。地方圏のうち地方四市の平均変動率は6年連続の上昇となるとともに、上昇幅も5年連続で拡大し、三大都市圏平均を大きく上回っている。
商業地の地価の上昇としては観光・リゾート需要の高まりをその要因とする地点が多い。北海道倶知安町にある倶知安5-1が対前年変動率58.8%で全国の商業地で上昇率が第1位となっているほか、大阪市中央区・北区、京都市東山区・下京区、那覇市等の地点が上昇率上位地点を占めている。
全国での最高価格地は東京都中央区の中央5-22(銀座4丁目)で、公示価格は5720万円/m2、対前年上昇率は3.1%であった。一連の再開発事業が一巡し、地価上昇率は縮小傾向にある。
ネット通販が成長
工業地の需要回復 インターネット通販の普及・拡大に伴う物流施設や工場の立地の増加等、全国的に工業地への需要の回復が見られる。特に、高速道路のインターチェンジ周辺等の交通利便性の優れた工業地では、大型物流施設建設に対する需要が強い。このため、工業地の地価は総じて堅調に推移している。
東京圏の平均変動率は6年連続の上昇、大阪圏及び名古屋圏の平均変動率は4年連続の上昇となった。
地方圏の平均変動率は2年連続の上昇となった。地方圏のうち、地方四市の平均変動率については6年連続の上昇となり、上昇幅も昨年より拡大した。地方四市を除くその他の地域の平均変動率について平成4年以来27年ぶりに上昇に転じたことがトピックである。(地価調査委員会副委員長・浜田哲司)






















