鑑定士協連レター 瀬戸内国際芸術祭 海から活気の波が来る インバウンドの拡大も現実に
住宅新報 2016年7月26日 号 4面
連載: 不動産鑑定士レター
展示アートは200超
瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)は、瀬戸内海の島々でアート作品が展示されたり、各種イベントが開催されるもので、船で島々を巡る現代アートの祭典です。3年ごとに開かれてきた瀬戸芸も今年で3回目。今年は春会期が3月~4月に開催され、夏会期が7月18日から9月14日まで、秋会期が10月8日から11月6日まで開催される予定です。
会場は瀬戸内海の11の島々、香川県と岡山県の海岸部5カ所です。離島の活性化による「海の復権」をテーマに、34の国・地域の芸術家が手がけた200以上の作品が展示されています。会期中はフェリー、高速艇の臨時航路も開設され、国内外から順調に入場者を迎えています。春会期の来場者数は約23万人で、13年の前回開催時より約1割増えました。
瀬戸芸の今年春会期の来場者のうち、外国人が占める割合は約13%だったそうです。前回の2%から大きく増え、いわゆるインバウンドの拡大が瀬戸芸にも波及した格好です。国・地域別では台湾、香港、中国、米国、英国の順となっています。
人の流れ
離島の問題は山間部のいわゆる限界集落の問題と同様に、少子高齢化の縮図として近年の懸案事項です。従来瀬戸内海の島々へは我々不動産鑑定士でも簡単に足を運ぶわけにはいきませんでした。公示地や基準地、固定資産税の標準宅地があれば定期的に現地調査を行いますが、それらがない小規模な島はなおさらです。
瀬戸芸のようなイベントがあればそれらの島々へ行くいい契機となります。ある意味、島内だけで経済圏が完結されていたものが、旅行者など外部の人たちに島々のすばらしさを知ってもらうという効果は大きいものがあります。
香川県の島しょ部の公示地、基準地の設定は小豆島と直島だけですが、両島の地価変動率は島内産業の状況に左右されるところが大きく、現状では瀬戸芸の影響がストレートに反映しているとは言い難い状況にあります。
地価への影響
しかし、瀬戸芸の間接的な影響は少なからず見え始めています。人の流れ、商業地で言うところの顧客流動性の活性化により、外面上も内面上も活気が生まれています。また、香川県のまとめによると転勤や進学を除いた15年度の県内への移住者が約1070人に上ることがわかりました。行政の他の施策による効果によるところも大きいですが、前年度の約750人から大幅な増加です。
移住者の増加も現時点ではまだ地価に大きな影響を及ぼすまでには至っていませんが、間違いなくプラス要因の一つといえるでしょう。今年は瀬戸芸のパートナーシップ事業として、香川県の中山間部において「かがわ・山なみ芸術祭」も開催されています。それらが四国に根付いているお接待文化とも相まって地域の活性化、ひいては不動産需要の増加につながることを期待しています。
(香川県不動産鑑定士協会、長尾直樹)






















