国交省 土地・建設産業局国際課 不動産市場リポート 11 海外展開フォーラム、キャンセル待ちも 中堅企業も進出に意欲
住宅新報 2016年5月17日 号 2面
本連載では国交省・土地建設産業局国際課の協力を得て、主に海外展開を検討する国内の不動産企業に向けて世界各国・地域の不動産に関する制度を紹介してきた。大手不動産企業は以前から各国への進出を果たしているが、それ以外の不動産企業において、海外展開はどれほど真剣に検討されているだろうか。
今年1月、同課は建設・不動産企業を対象に、東京と大阪で「海外ビジネスフォーラム」を主催した。国内外にネットワークをもつ不動産コンサルティング会社、キャピタル・ブレインの大塚幹生・マネージングディレクターら3人の講師を招聘(へい)。東南アジアに焦点を絞り、法的留意点、戦略の立て方、営業や危機管理といった実務に関する解説がなされた。
参加者は東京が111人、大阪が42人。特に東京は想定人数を上回る申し込みがあり、定員枠を拡大したがそれでもキャンセル待ちが発生した。約半数が不動産企業の社員で、顔触れは中堅ディベロッパーや仲介業、ビル賃貸業と多彩。終了後のアンケートでは、85%が「海外進出を検討している」、61%が「取り組み中の進出計画の参考に」するため参加した、と回答した。「予想以上の反響だった。大手以外の企業にも、アウトバウンドのニーズがあると確信した」(石田忠春・国際企画係長)
「国内市場に不安」
海外、特にフォーラムのテーマである東南アジアへの進出意欲の動機は何か。 アンケートによると、「国内の不動産市況の先行き不安」が15%でトップ。不動産価格の上昇や収益利回り、大規模案件への期待を挙げる声もそれぞれ10%以上あった。縮小する国内市場を補完する高収益市場として、東南アジアに期待を寄せている様子がうかがえる。それを裏付けるように、検討している進出国の上位3カ国はマレーシア、インドネシア、タイ。1人当たりGDPが比較的大きな国々である。ASEAN経済共同体の発足などにより、現地のビジネス環境が改善していることも期待感を後押ししているようだ。
潜在ニーズを踏まえ、同課では関連施策に一層力を入れるという。石田係長は「インターネットで検索しても、海外展開に関する情報はあまり出てこない」と指摘。〝適切な情報を適切に得るのが難しい〟現状を改善するため、情報発信に引き続き努める。また、今年度もフォーラムの実施を視野に入れているという。
もう一つ構想しているのが、〝アウトバウンド向けのツール〟。例えば、日本の不動産開発の現状や技術について紹介する、外国語表記のパンフレット製作を検討しているという。国のクレジットが入った説明資料があれば、企業が海外で商談などをする際に使いやすいはずだ。
海外展開を支援する、国交省の施策に注目したい。




























