16年地価公示 8年ぶり上昇示す 訪日外国人急増など影響 地方で三大都市圏上回る上昇率
住宅新報 2016年3月29日 号 1面
国土交通省はこのほど、16年地価公示を発表した。16年1月1日時点の地価公示は全国平均で0.1%上昇。リーマン・ショックが起きた08年以来、8年ぶりに上昇に転じた。
全用途平均の地価が上昇したのは、商業地の地価動向によるところが大きい。商業地の全国平均は0.9%上昇。15年調査では横ばいだったが、今回8年ぶりの上昇となった。
商業地を圏域別にみると、三大都市圏が2.9%上昇で3年連続の上昇。東京圏が2.7%上昇、大阪圏が3.3%上昇、名古屋圏が2.7%上昇と総じて上昇基調を強めている。また、地方圏の地方中枢都市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)は5.7%上昇と、三大都市圏を上回る上昇率を記録。一方、地方中枢都市以外の地方圏は1.3%下落で、引き続きマイナス基調だ。
店舗、ホテル需要拡大
商業地における上昇は、いくつかの要因から投資意欲が喚起された結果とみられる。第一に訪日外国人客の急増だ。15年の訪日外国人客数は1974万人で、2000万人突破が間近。これを背景に店舗やホテルの需要が拡大し、堅調な地価動向につながったようだ。商業地で上昇率が高かったのは、心斎橋筋に当たる「大阪市中央5―23」(変動率45.1%)、道頓堀に当たる「大阪中央5―19」(同40.1%)など。これら大阪の「ミナミ」地域では、「訪日外国人の需要が顕在化している」(国交省)。地方都市でも、商業地が5.9%上昇した福岡市や、同3.8%上昇した沖縄県那覇市などで外国人観光客が増加基調だ。
また、主要都市では空室率の低下傾向などオフィス市況の改善がみられる。商業地が6.0%上昇した札幌市、同4.1%上昇した広島市などではオフィスや大型商業施設、店舗の需要が堅調だ。法人投資家などにとって金融緩和による良好な資金調達環境も整っており、商業地全体の収益力向上が旺盛な不動産投資意欲、ひいては地価の上昇につながっている。
住宅地は下落基調
一方、住宅地の全国平均は0.2%下落。依然として下落基調だが、08年以降で下落幅は最小となった。国交省では「全国的な雇用情勢の改善、住宅ローン減税などの施策による需要の下支え効果により地価は底堅く推移」している、とみる。
住宅地を圏域別にみると、三大都市圏が0.5%上昇。14年に上昇に転じてから3年連続の上昇となったが、ほぼ前年並みの小幅な上昇だった。東京圏は0.6%上昇で3年連続の小幅な上昇。大阪圏はほぼ前年並みの0.1%上昇だった。名古屋圏は0.8%上昇で、前年と同じ上昇幅。地方圏の地方中枢都市は2.3%上昇で、商業地と同様に上昇率が三大都市圏を上回った。地方中枢都市以外の地方圏は1.0%下落。
北海道、上位占める
住宅地での上昇率上位エリアは、ニセコに位置する「倶知安―3」(変動率19.7%)を筆頭に上位7位を北海道が占めた。「ニセコで外国人の別荘需要が旺盛」(国交省)であることが影響したようだ。2位以下は「札幌中央―1」(同15.9%)、「札幌中央―19」(同15.5%)など。福島第一原発の事故により帰宅困難地域などに指定された住民の移転需要が顕在化し、上位10位すべてがいわき市内のエリアだった前年から様変わりした。
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