随想タウンウオッチ(29) 不動産鑑定士横須賀博 過ぎたるは及ばざるが如し
住宅新報 2015年11月17日 号 16面
私は酒を飲まない。いや飲めない体質である。先輩から酒を勧められたり、「私の杯を受けないのか!」と叱られたこともあったが、美味しいとは思わない。このため酒の上での誤りはない。ゴルフ場でも昼食時にパートナーから「球を飛ばそうとするなら酒を飲んでみたら」などとからかわれる。その人は毎晩三合の酒を飲んで床に就くと実によく眠れるとのこと。そのためか顔色もよく、酒の効用を説いていた。
ある旧友と仕事の打ち合わせのために、渋谷109前で待ち合わせ、縄のれんに入った。昼過ぎのためか客はいなく、打ち合わせは早々に終了した。そのとき旧友が「ビール一本だけでも付き合わないか」というので「一本だけなら」と承諾。笑顔の彼は喉を鳴らしながら飲み干した。私が勘定を済ませて帰ろうとすると、「もう一本だけ付き合ってよ」との懇願。やむなく彼の知り合いの酒場に案内されたが、このビールも早々に飲み干した。そこで勘定を済ませ帰ろうと誘うと、またまた「あと一本でやめるから」との懇願に思わず「約束は守ってよ!」と声を大にしたため、やっと帰路に就くことができた。
その後、長らく会っていなかったが、最近、ある懇親会で旧友がジュースを手にしていた。尋ねると、「酒はドクターストップ」とのこと。酒の効用を説いていたゴルフのパートナーは欠席が続き、確認すると、病気で入院したとのこと。過ぎたるは及ばざるが如し。酒を飲めない体質の私を、さぞかし羨ましく思っているのでは。






















