民法改正のポイント ――早い情報が実務で生きる 渡邉不動産取引法実務研究所 代表渡邉秀男【16】 債権編(11) 賃貸借――敷金の返金・清算問題が解決
住宅新報 2015年7月21日 号 12面
連載: 民法改正のポイント
Q 今回の改正では敷金の定義規定が定められたということですが、具体的にはどのようになっているのですか。
A 敷金は借主の賃料債務等の金銭債務を担保する目的で授受するものですが、そのために、その敷金は貸主の方からはそれを滞納家賃等に充当することはできるが、借主の方からは充当請求ができないということを明文化しています。そして更に、貸主はその敷金を借主の債務の弁償に充当させたうえで、残っている敷金だけを最後の引渡しを受けるときに借主に返還すればよいというように定めました。これらはすべて過去の判例に基づいて明文化されたものです。
Q その点については、すでに常識として認識されていると思いますが、その他にも何か重要な改正はあったのですか。
A それは、かなり重要かつ専門的な改正になるのですが、賃借権を譲渡することは、貸主の承諾さえあればできることはすでにご承知のことですね。その際に譲渡人が貸主に預けている敷金の返還請求権がどうなるのか、譲受人に承継されるのか、それともいったん清算をしなければならないのかという問題です。この点については、賃貸不動産が入居者付で売買されるいわゆるオーナーチェンジの場合の新所有者(新貸主)への全面承継のケースとどう違うのかが分かりにくいとされてきました。そこで今回の改正で、当事者間に特段の事情がない限り、賃借権の譲渡の時点で、貸主には借主に対する敷金返還義務が生じるという従来の判例の内容をそのまま明文化しました。つまり、原則としていったん清算されるということです。この点についても、オーナーチェンジの場合と同様に、敷金の返還債務に関する非常に重要な改正といえると思います。
Q このような賃借権の譲渡に伴う敷金の問題というのは、たとえばサブリース業者の賃借権を他のサブリース業者に譲渡するというような場合にも生じてきますよね。
A 当然生じてきます。その譲渡人である当初のサブリース業者が貸主(オーナー)に差し入れている敷金は、特段の事情がない限り、いったん清算され、次のサブリース業者が新たな敷金を差し入れるというのが改正法の内容になっています。もちろん、貸主(オーナー)と新旧サブリース業者がそのまま承継するというような特約をすれば別ですが、そういう特段の取り決めがなければ、敷金契約は新たに締結されるということになります。しかし、このようなサブリース業者間の賃借権の譲渡はエンドユーザーとの転賃借の関係もありますので、慎重に対応する必要があるでしょう。






















