随想タウンウオッチ 不動産鑑定士横須賀博 (11) 他人の家庭に電話するときは
住宅新報 2015年6月30日 号 9面
私は月に一回、ある大学病院の教授の定期検診を受けている。教授から日頃、「横須賀さんの体に異常が発生したら、すぐさま救急車か、私の自宅に電話をしてくださいよ」と、自宅の電話番号を教えてもらっていて、それで何となく気が休まっている。
話は変わるが、私の自動車が定期検査を終えたばかりなのに異常な音がするので、検査係の木村さん(仮称)に連絡し、修理してもらった。その時、木村さんとは心が解け合い、「何かあったら私の自宅に電話してくださいよ」と電話番号を教えてもらった。数日後、今度はシートベルトに異常が発生した。不満を抱きながら、ある休日の午後、木村さんの自宅に電話をして、車の異常を伝えようとした。電話に出たのは奥さん。それは素晴らしい自信に満ちた応答だった。
曰く「私は木村の家内ですが」と凛とした一声に、体を張って夫を支え、家庭を守るという気迫が感じられた。その気迫の一声に圧倒され、肝心の要件を忘れ、逃げの電話に終始してしまった。
いやはや家庭を守るとは、さもありなん。そうか、そうか、やたら他人の家庭に電話をするのはやめよう。これからは他人の家庭に電話するときは、娯楽か生死を伴う話題に限定することとし、教授宅を最初で最後にしようと心に刻んでいる。
(横須賀不動産鑑定事務所代表取締役)






















