鑑定士協連レター 世界文化遺産 富士山 登録2年で変わったこと
住宅新報 2015年6月30日 号 4面
連載: 不動産鑑定士レター
富士山が世界文化遺産登録されて、2年が経過しました。世界遺産登録でまちはどう変わったか? 地価は上がったのか? 読者の皆様は興味のあるところだと思います。
富士宮市内の登録遺産
私の住む静岡県富士宮市は富士山の麓で、浅間大社の門前町として発展してきた人口13万人の地方都市です。近年はB級グルメの「富士宮焼きそば」が有名となり、「富士宮焼きそばの富士宮市です」といった方が圧倒的に知名度が高くなりました。その富士宮市が世界文化遺産登録に沸いたのが13年6月22日です。
さて、富士山頂や登山道や三保の松原など25の構成資産が登録対象となりましたが、我が富士宮市には次の6つの構成資産があり、その数は静岡山梨両県内の市町村では最多です。(1)富士山域(山頂の信仰遺跡、富士宮口登山道)、(2)富士山本宮浅間大社、(3)山宮浅間神社、(4)村山浅間神社、(5)人穴富士講遺跡、(6)白糸ノ滝。
浅間神社が幾つかありますが、富士山は時代によって様々な信仰の対象となっています。そのため、その信仰の在り方が富士山本宮浅間大社、山宮浅間神社、村山浅間神社、人穴富士講遺跡、各々異なっています。その説明や理解は難しいですが、これを深めると面白いので、お時間のある人はぜひ研究してください。
バスの観光コース
とにかく、富士山そのものの裾野が広く、構成資産も多く、静岡県、山梨両県にまたがっていることもあって、ポイントが絞りにくいところがあります。また、当初は登録対象から外れていた「三保の松原」が逆転で構成資産入りしたことで、主な世界遺産の構成遺産を一回りすることは、時間的にタイトなコースとなります。必然的に、各ポイントの滞在時間は短くなります。また、大人数で昼食をとれる場所がほとんどない富士宮市では、浅間大社や白糸の滝には40分ほど(短い時は10分)のトイレ休憩プラスアルファのバスの停車時間です。浅間大社にいると、バスが来る時間が午前10時と午後4時前後がとても多いことが分かります。首都圏を出発して浅間大社に最初によって、トイレ休憩をして、その後山梨方面または三保の松原に行き、そちらで昼食をとる。あるいは逆に、首都圏に帰る最後の立ち寄り場所として、浅間大社によって帰っていくという場となっています。
今年も約6割で推移
さて、この2年間の変化はどうだったでしょうか? 私は、富士宮市観光ガイドボランティアとして、月に数回、まちの中心部にある富士山本宮浅間大社で案内をしています。観光バスは、世界遺産登録された13年は大きく増えました。登録が内定した大型連休や秋の観光シーズンなどは、駐車場に次々と主に首都圏ナンバーのバスがやってきて、それまでの倍以上の増加でした。観光ガイドボランティアも連日予約のお客様の案内で大忙しでした。
それが14年は、富士宮と同じく首都圏の日帰り圏にある群馬県の富岡製糸場が世界遺産登録されたこともあって、6割くらいに減少。今年も昨年と同程度で推移しています。
残念ながら、世界遺産登録で地価は上がったのか?という問いには、「世界遺産効果はなく、他の地方都市と同じく地価は下落傾向にある」と答えるのみです。ただ、浅間大社の南側に、16年度中の完成を目指して「世界文化遺産センター」が来月着工予定です。このセンターの完成によって、人の流れが変わり、滞在時間が増えるでしょう。
いずれにせよ、遺産とは後世に引き継ぐものです。短期的な視野で富士山や構成資産を考えるのではなく、富士山のようにでんと構えて、後世に美しい富士山と富士山信仰を残すことができればと考えています。
(静岡県不動産鑑定士協会、深澤竜介)






















