新中間省略登記は今 フクダリーガルコントラクツ&サービシス司法書士法人代表社員福田龍介 ◇下 買取再販でも問題なし
住宅新報 2015年5月26日 号 3面
前回は新・中間省略登記が十分浸透していない4つの理由と、その根底にはこの手法が政府の承認を受けた趣旨、すなわち、規制緩和という政府の成長戦略の一環であることについての無理解があるのではないかと述べた。最終回の今回はこれらの問題を克服し、成長戦略に寄与するためにはどうすればよいかを考える。
◆理由1(司法書士のビジネススタンス)
重要なのは依頼者(主に不動産事業者)と司法書士とがきちんとコミュニケーションを取るように努力することである。司法書士が「リスクがあるから」とか「グレーだから」という理由で断るのは論外だが、もしそう言われたら「どこがリスクなのか」「どのようにグレーなのか」をぜひ尋ねてみてほしい。
また「契約書に特約をいれるのは不動産事業者の仕事」という司法書士の意見もあったが、筆者は数年前に関西某県の不動産事業者の方から「司法書士に福田さんの本を読んでもらって何とか新・中間省略登記をやってもらえたが、取引をまとめるよりもそっちのほうが大変だった(笑)」と言われたこともある。
◆理由2(地域性)
新しい事が東京→地方都市→周辺部と伝わっていくというのは新・中間省略登記に限ったことではない。時間をかけて地道に浸透するよう努力するしかない。この点もやはり不動産事業者と司法書士との意思疎通が重要だが、私も講演などでお手伝いすることはできる。昨年も茨城県や岡山県の宅建協会で講演をさせて頂いている(茨城県は法定講習)。全国各地の業界団体や司法書士会での講演が多い(7月には船井総研、8月には住宅新報社主催で東京・名古屋・大阪で講演させて頂く)。
◆理由3(取引形態)
例えばリノベ再販で新・中間省略登記が行われていない理由はいくつかある。詳細は紙面の関係から割愛するが(セミナーでは触れる)、例えば「決済までが長期であるため、その間所有権を留保しておくのはリスクがある」や、「所有権を留保したまま工事を行うと再販が不調に終わった場合に工事代金の負担について売主とトラブルになりやすい」といった理由は、仕組みをつくることで解決できる。 つまり、決済を留保したままリノベ工事を行う場合は売買契約書および請負契約書に転売不調となった場合の手当て(どちらが危険を負担するか=買主の負担が多いと思うが)を明確にしておく、また決済を留保しなかった場合は保全登記を併用するなどである。
◆理由4(会社の方針の不徹底)
ある大手金融機関ではファイナンス担当役員に私が説明し全拠点に通達を発して頂いたが、それから3年程経っても現場には徹底されていなかったという事例がある。これは金融機関に限らず大手企業に多くみられる傾向である。これに関しては企業自身が「成長戦略」という趣旨を十分に理解して、新・中間省略登記を全社的に徹底させて頂く(通達を一度発するだけでなく定期的に検証するなど)しかないだろう。(おわり)
ふくだ・りゅうすけ=55年生まれ。早大法卒。89年司法書士登録。02年現事務所設立。「新・中間省略登記」の第一人者で、規制改革・民間開放推進会議の答申にも関与。不動産証券化支援、債権バルク取引支援など幅広い実績を持つほか、数々の不動産トラブルを未然に防いできた実績から、不動産会社・金融機関に対して不動産取引リスクのコンサルティングを行っている。
























