随想タウンウオッチ 不動産鑑定士横須賀博 (3) 需要者の目線で
住宅新報 2015年4月28日 号 8面
通勤は、京王線上北沢駅から笹塚駅まで行き、ここで都営新宿線に乗り換えるために並ぶ。それも整然と2列に並ぶ。外国の方が日本人の行儀のよさに感心すると聞くが、これも乗客の自発的な毎朝の行事である。ところが、笹塚駅にある電光掲示の発車案内板を見ると、「3列に並んでお待ちください」と、再三にわたって流れている。
そんな発車案内板を見ても、乗客は全くそれを気にしていない。それもそのはず、3列に並んでは3人が同時に乗り込むことができず、混乱を招くからである。なぜなら、扉は左右に開く二枚扉だからである。
駅側は狭いホームを有効に活用しようと考えるのだろうが、乗客は実利を考える。混雑するスーパーマーケットなどでの買い物客の精算時にも、2列ではなく1列に並ぶ。それは2人の精算は同時にできないからである。
そんな日常の小さな出来事にも人々の生活の知恵が働いている。これは小さなことではあるが、供給者は常に需要者の行動に注目せよ、という教えではないだろうか。そんな気がしてならない。(よこすか・ひろし=横須賀不動産鑑定事務所代表取締役)






















