地域マネジメント学会 「地域」論考 在り方と提言 15 マンションコミュニティに関する一考察(下) コミュニティが目指すかたち
住宅新報 2013年7月16日 号 3面
連載: 「地域論考」
(1)マンションコミュニティの特徴
マンションには多様な価値観を持った人たちが、様々な地域から集まり、縁あって突然上下左右に隣り合って暮らし始める。
共用部分は管理会社が管理してくれ、生活も便利な現代においては、隣に誰が住んでいるかさえ知らなくとも暮らしに不自由はない。近所付き合いがいらないからとマンションが売り出されることが問題とされるが、個人の生活が尊重されるというマンションの居住スタイル自体を否定する必要はないと思う。
近隣との距離の取り方には、近い関係を長く続けなければと思うが故に気を使う。親しくなり過ぎたために負担になったり、何かをきっかけに関係がこじれるのを恐れて、出会ったときの軽いあいさつ程度の付き合いになりがちだ。
しかし、現状「付き合い」がないからといって、「付き合い」を拒否しているというわけではないことが調査からも窺える。適度な距離が担保されれば、気持ちのいい近隣関係はむしろ暮らしの快適性や安心感を高めるものと感じている。
(2)マンションコミュニティの成り立ち
マンションコミュニティにおける人の「つながり」は、(1)ご近所という物理的関係、(2)管理組合、自治会、自主防災隊等の組織に属することによる関係、(3)趣味やサークル、子供の友人関係等個人的な関係がある。「孤立しがちな人」とも漏れなくつながるために、(1)のお隣同士という物理的に近い関係を見直したいと思う。
たまたま隣り合ったお隣同士で必ずしも気が合うとは限らない。しかし、同じマンションで隣り合って暮らすことになったのも「縁」である。そして、東日本大震災で思い知ったように、いざというとき頼りになるのはその場にいる「リアル」な隣人だ。
普段は、さらりとしていても、いざというときは、お隣が頼りになると思えるような関係は、人が安心して暮らすために不可欠ではないだろうか。
お隣というと、戦時中の隣組を思い浮かべたり、おしょうゆの貸し借りというような昔の濃い関係を連想するかもしれないが、ここでいう近隣関係は決して昔に戻るということではない。価値観、ライフスタイルが多様化している現代には、それにふさわしいコミュニティの形があるはすだ。
(3)マンションならではのコミュニティ
マンションの近隣関係は、煩わしさも受け入れる濃い付き合いをするか、個人のスタイルを守るために付き合わないか―という二極で語られるように思う。しかし、適度な距離感に対する共通認識があれば、個人の生活を大切にすることと気持ちのよい近隣関係は両立するものだ。
マンションならではの適度な距離感とは、「普段はそれぞれお互いの生活を尊重して相手の生活に踏み込まないが、さりげなく気を配り合い、いざいうときは助け合う関係であることをお互い認識しているゆるやかなご近所関係」ではないだろうか。
独立性が高いのにすぐお隣に人が暮らすマンションは、プライバシーが守られながら、いざというとき5秒でお隣という本来は非常に安心な住まい方のはずである。マンション住民も適度な距離が保障され安心して気持ちよく付き合えるなら、いざというときは近隣の助けをするつもりもあるし、自分も助けてもらいたいという気持ちは十分にある。
相手の身になったコミュニケーションを心がけ「和」の精神で接すれば、マンションという集住スタイルは、決して面倒なものでも、無関心の集合体の寒々としたものでもなく、個が守られながら、人とつながっている安心感を得られるとても価値ある住まい方だと思う。 (廣田 信子)


























