「地域」論考 在り方と提言9 地域マネジメント学会 公園の防犯対策を考える <上>
住宅新報 2013年6月4日 号 3面
連載: 「地域論考」
1はじめに
近年、子どもが犯罪被害に遭う不安を感じる保護者は多い。こうした世論を受け、子どもの遊び場として重要な公園について、その役割や特性を踏まえた的確な防犯対策の必要性が指摘されている。
一定規模以上のマンション開発により整備が義務づけられている提供公園は、街区公園と同様子どもの最も身近な遊び場として機能するため、その防犯性を高めることが必要である。しかし、設置された提供公園の多くは自治体の設置基準を満たしているものの、その設置場所についてはマンション住棟の環境を重視するあまりに悪条件下にあるものが少なくなく、このような提供公園は子どもの防犯上危険である。そこで本稿では、今後の提供公園の整備検討の一助とするため、提供公園における利用者数・属性と防犯性に係る空間特性の関係を検討してみる。
2研究の方法
(1)調査対象地の概要
調査対象地区は、千葉県市川市鬼高1~4丁目の約1キロである。同地区は戸建て住宅と集合住宅が混在する大都市圏の典型的な郊外住宅地であり、約1キロ四方に14カ所の提供公園が散在している。提供公園の面積は最小112m2から最大920m2と幅広く、公園の空間特性も多様であり、利用者数と提供公園の関係を多角的に分析できる。
(2)提供公園の利用状況の把握
各提供公園の利用状況を把握するために、4日間の観察調査を行った。1公園につき、1時間に1回5分間の観察を行い、数組の調査員数人が各公園をローテーションすることで、1日で14カ所のすべての公園を観察した。千葉県警察本部の資料によると、子どもに関する犯罪の約7割が14~17時に集中している。そこで、調査時間は犯罪の集中する時間帯を含む10~18時までとした。
(3)提供公園の空間特性の把握
既往研究より公園利用の選択要因には(1)安心して利用できる、(2)利用目的が達成できる、(3)公園まで行きやすい、の3つがあることが知られている。そこで、【監視性】【管理】【施設】【アクセス性】を提供公園の空間特性を利用と防犯の面からとらえる評価項目として現地調査を行った。なお、ここではアクセス性を防犯環境設計の「犯罪企図者の接近」の意ではなく、「公園への行きやすさ」の意で用いる。公園は物理的に犯罪企図者の進入を防ぐことは難しいためである。
【監視性】 監視性は、外部から見られやすい空間であり、人の目が確保しやすいことが評価項目となる。そこで、「接道部の人通り」「接道部の自転車通り」「公園に対する住棟配置」「接道部以外の見通し」「公園接道数」「接道部からの可視領域率」「敷地の円形度(円形度は1が正円となる。円形度が低いほど複雑な形や極端な長方形となるため、中央部からの見通しが悪くなりやすい)」「接道部総延長」を評価項目とした。
【管理】 管理が不行き届きの公園は、〝割れ窓理論〟によると犯罪を誘発しやすい。そこで、「遊具・施設の管理」「公園全体のゴミの清掃管理」「公園全体の雑草・落ち葉の清掃管理」を評価項目とした。
【施設】 提供公園の一般的な利用行動と関連する施設として、「遊具の種類数」「複合遊具の有無」「砂場の有無」「ベンチの有無」を、また、小公園の総合評価には「形・大きさ(公園全体の形・広場の広さ)」が影響を与えるという既往の知見を受け、「形・大きさ」に関する「敷地の円形度」「面積」「広場の有無」を評価項目とした。
【アクセス性】 生活道路として頻繁に利用される道路に接する方がアクセス性は高まるとみなし、「入り口数」と「接道部の人通り」「接道部の自転車通り」を評価項目とした。また、提供元マンションの居住者にとっては住棟と公園の位置関係がアクセス性に関連するとみなし、「公園に対する住棟配置」も評価項目とした。
(4)分析の方法
まず、利用者数及び利用行動を集計し、利用者数の多い順に(1)~(14)の公園番号を付けた。次に利用者層を子どもは0~5歳の幼児、6~18歳の児童生徒の2つに、大人は子ども同伴か否かも考慮し、幼児連れ大人、児童連れ大人、大人のみ、高齢者のみ(60歳以上)の4つのカテゴリーに分けて集計した。最後に、利用者数の多少と空間特性の関係を照らし合わせ、利用者層、利用行動の違いも考慮しながら考察を行った。(続く)
(重根 美香)


























