地域マネジメント学会 「地域」論考 在り方と提言7 エリアマネジメントの変遷とプロセス さいたま市を事例として(その2)
住宅新報 2013年5月21日 号 3面
連載: 「地域論考」
本稿では、3つの地区で行われているエリアマネジメントの課題等について紹介したい。
さいたま新都心地区において、新都心駅西口に位置する複合交通センター街区では、保留地を売却する条件として駅前広場機能を付加条件とした。このため、維持管理において、東口駅前広場は公共管理、西口駅前広場を民間企業群(3社)管理という管理形態をとっている。新都心地区では、清掃や防犯管理を通常の公共施設管理をする以上の密度で実施しているため、維持管理の水準を保つことが課題となってきている。
更に、計画当初のコンセプトでは、「開かれた官庁街」を実現すべくアリーナでのイベント開催時(主に休日を想定)に官庁街の駐車場を開放し、相互有効利用するよう議論されていたが、セキュリティなどの問題から今もなお実現していない。
北部拠点宮原地区では、構成員より各施設面積に応じた負担金、協議会運営経費等を徴収するとともに、公共施設管理者との協定に基づき、公共施設の維持管理を受託している。一方、地区内の複合公共施設であるプラザノースについては、指定管理者制度を活用して一括委託を行っている。
日進東地区では、区画整理事業で生み出された約1ヘクタールの公園について、公園のイメージや利活用方策、施設の配置等について、区画整理区域の権利者(11名)で構成されたまちづくり協議会に加えて周辺の自治会代表、まちづくりNPO、大学教授などを構成員として、ワークショップ(WS)方式により検討を進めてきた。コーディネーターとしては、行政、都市計画コンサル、機構の共同で行った。
そのWSでは、水辺空間の安全性やイベントなどの使用方法、更に、公園の日常的な清掃等管理についても市民側で行うことを原則として、その頻度などについても議論している。ただし、地区内に新たに居住(約1050戸のマンション)する住民の意向確認と維持管理に対する意識醸成が課題である。
過去20年間にわたり、さいたま市で実施された3つの大規模プロジェクトにおけるエリアマネジメントについて、その取り組んできた内容等を考察してきたが、平成の最初の事業であるさいたま新都心地区では、街並みの景観を調和させるという点を重視し、設計時でのチェック機能をまちづくり協議会に持たせた。当初、エリアマネジメントが行政主導で進められてきたが、自主的な民間主体のマネジメント組織が現在発足しており、その要因についての分析が必要である。
98年から実施された北部拠点宮原地区では、景観の調和については、先行事例であるさいたま新都心地区のノウハウを継承・活用して行い、区画整理完了後に新たなマネジメント組織を立ち上げて質の高いまちづくりを維持していることが特徴である。
06年から民間が主体となって実施した日進東地区では、機構のコーディネートのもと、官民の役割分担を明確化してエリアマネジメントの取り組みを実施している。デザインガイドラインについても事業者の裁量による幅を持たせており、行政指導というマイナスイメージがもたれない、いわゆる「紳士協定」に近い指針として定められている。
しかしながら、当該地区は、街開きは行ったものの現在も開発途上の段階であり、これから進出が予定されている商業施設の地域との関わりをいかにマネジメントしていくのか、また、新たな住民と古くから居住している住民との相互コミュニティの円滑な構築などが今後の鍵となる。 (土屋 愛自)


























