記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(5月19日~5月25日)

Pick Up!
- 業界主要企業の26年3月期決算は軒並み好調、価格上昇が業績押し上げる
- 三井不、国内最大規模の木造混構造オフィスビルを27年1月竣工へ
- MFSが住宅ローン利用者調査の月次公開開始
1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事を3つピックアップしていきます。
初めに、「主要不動産各社の26年3月期決算 都心オフィス賃料増額改定 大手、相次ぎ過去最高益 賃貸、分譲、仲介がけん引(2026/5/19号)」をご紹介します。例年本紙で紹介している、主に不動産開発大手の通期決算記事で、今回も多くのアクセスを集め4位にランクインしました。前年に続き、大手5社(三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産HD、野村不動産HD)はいずれも過去最高を更新。準大手・中堅各社も好業績が並びました。各社とも、マンション価格上昇やオフィスビルの賃料増額、仲介事業の手数料拡大など、主力セグメントの大半が好調な様子。更に、インフレを背景とした売上高の伸長だけでなく、多くの企業は営業利益・純利益も売上高以上に伸ばしており、実態としての好況が読み取れます。例えば価格高騰の続くマンション事業の場合、計上戸数には縮小傾向が見られるものの、単価の引き上げで増収を確保すると共に、利益率も伸ばすケースが散見されます。価格への納得感を得られるだけの付加価値を提供し、コスト分以上の販売価格上昇を実現する、各社の企業努力がうかがえます。賃貸オフィス事業についても、特に都心部の旺盛な需要が背景にあるものの、新規開発・既存とも「選ばれるオフィス」づくりで安定したリーシングや賃料増額につなげました。とはいえ、資材価格の上昇や施工現場の労働力確保の問題など、不動産開発事業には依然として構造的な課題が付きまといます。更に足元では、中東情勢の影響による設備・建材コスト上昇や計画遅延への懸念もあります。現状、中東情勢を26年度決算に織り込む動きは見られませんが、事業環境の不透明感は前年度以上に増しており、業界全体として警戒感を持って注視、対応していく必要があるでしょう。
なお、26年度3月期中間期 (第2四半期)決算も、まとめ記事「2026年3月期中間決算 大手各社 相次ぐ上方修正 高額分譲が利益貢献 都心オフィス増額改定9割以上(2025/11/18号)」を掲載していますので、市況や各社動向を振り返って比べても面白いかもしれませんね。
次は、本紙記事の先行配信版で3位ランクインの「三井不動産 初の高層木造ビル 2027年1月竣工(2026/5/22配信)」です。三井不が都内で建設中の大型ハイブリッド木造オフィスビルについて、一部フロアを報道公開しました。規模は18階建て、延べ床面積2万8000平方メートルに及び、完成すれば国内最大規模の木造賃貸オフィスビルとなる見込みです。木造中高層建築への取り組みは、脱炭素化や国内林業の活性化、事業コストの軽減など、社会課題に対応した手法として大手不動産ディベロッパー各社が取り組みを広げています。一方、林野庁による「建築物における木材利用状況」のまとめによると、25年度に着工した高層建築物の木造率は住宅0.2%、非住宅0.1%以下に過ぎません。三井不の今回の事業も、同社が25年に立ち上げた木造建築ブランド「&forest(フォレスト)」の初物件であり、業界として本格的な展開はこれからという状況とも言えるでしょう。同社にはトップランナーとして、ぜひ優れた先行事例を期待したいところです。本紙掲載版の詳細記事はこちら「三井不 国内保有林材を活用 大型木造ビル、日本橋に 満床で27年1月竣工へ(2026/5/26号)」。
最後は、8位の「モゲチェック、住宅ローン利用者動向の月次公開を開始、借入希望額は全国平均5096万円に(2026/5/20配信)」で、前週、前々週に引き続き住宅ローン関連の記事がランキング上位に並びました。今回は、住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営するMFSが、同サービスのユーザーデータ分析レポートの毎月公開を開始したことと、その内容についての記事です。対象ユーザー数は10万人以上と、大規模なデータから市場を読み解いており、注目のレポートと言えるでしょう。内容を見ると、新規借り入れの平均額や世帯年収は上昇傾向が目立ち、年収倍率も高止まり。35年超の超長期ローンの利用割合も上がっています。住宅価格の高騰によりローン利用額も拡大し、住宅購入可能な年収ラインも押し上げられている様子が如実に見て取れます。また、変動金利型ローン利用者の「固定型への借り換え」意向は半分弱に達しており、金利上昇への不安感も広がっているようです。こうしたエンドユーザー動向は、おそらく現場の不動産関連事業者も肌で感じていると思われますが、やはり実績を基にした定量的なエビデンスは市場分析において重要な意味を持ちます。事業方針の検討等の際には、こうした企業レポートや業界団体調査、そしてその本紙記事等の情報を収集し、客観的な判断につなげることが必須と言えるのではないでしょうか。
住宅新報web週刊ニュース記事
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