マンションPBR 2014 ~10 年間の駅別平均価格で比較する分譲マンションの資産価値~ Ⅲ 中部圏
連載: Kantei eye

ンションを購入したり売却してもマンションPBRに極端な差が生まれないという特徴もあることから、立地条件やエリアポテンシャルについてシビアに検討しなくても良いという“メリット”があると考えることもできる。
駅別での分布状況を見る限り、首都圏や近畿圏ほどではないがマンションPBRと都市中心部への交通利便性の相関性は中部圏においても確認することができる。マンションPBRが中部圏平均(0.86)を上回る0.90以上となる青色と緑色で示した駅は圏域中心部にあたる名古屋市営地下鉄名城線とその周辺エリアを中心に分布しており、掲出124駅のうち31駅(シェア25.0%)を占めている。2013年には130駅のうち28駅(21.6%)であったことから、駅数・シェアともにプラスとなっていた。

なお、マンションPBRが1.00以上の駅はJR東海道本線「名古屋」(1.46)をはじめ5駅を数えるのみであった。また、0.80以上の橙色(76駅:61.3%)は6割強のシェアを占め、その分布エリアも名古屋市近郊のみならず名古屋市中心部から郊外エリアへと広域に渡っており、この点からも名古屋市中心部と郊外エリアの違いによる地域間格差が小さいことが窺える。マンションPBRが0.80未満となる赤色と茶色で示した駅は17駅(13.7%)で、名古屋市中心部の一部エリアで散見されるが、基本的には郊外エリアに立地している駅となっており、これら傾向は三大都市圏で共通した特徴であると言える。


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2.2014年のマンションPBRランキング
2014年に中部圏でマンションPBRが最も良好だった駅は3年連続でJR東海道本線「名古屋」となっており、中古価格の上昇によってマンションPBRは2013年の1.34から0.12ポイント上昇して1.46を記録した。同駅における10年間の新築マンション価格が3,935万円であったのに対して、それらのマンション群から発生した中古流通事例の平均価格は5,760万円で、概ね1,800万円の売却差益が発生していた計算になる。月額賃料は177,441円と20万円には至ってないものの中部圏の中では高水準となっており、10年間の表面利回りも5.41%とまずまずの収益性を示している。
以下、ランキング上位に登場する駅には定期借地権物件の分譲によって直近10年間の新築価格が1,710万円と安価な水準に留まっている名古屋臨海高速鉄道あおなみ線「南荒子」(1.21)、マンション適地としてエリアスペックの高さが注目されている名古屋市営地下鉄名城線「上前津」(1.07)や「西高蔵」(1.06)などが続いている。全体的に名古屋市営地下鉄名城線とその内側エリアに位置する駅を中心に、居住環境と交通利便性のバランスが良い駅が多く登場している。

首都圏や近畿圏では上位30駅の全てでマンションPBRが1倍以上となっていたが、中部圏では上記の駅を含む5駅に留まっている。 一方、中部圏でマンションPBRが最も低かった駅は前年に引き続き名鉄豊田線「日進」の0.63で、郊外エリアに位置していることもあって中古価格は下落しており、マンションPBRは2013年の0.66から0.03ポイント低下した。10年間の新築マンション価格は2,620万円とほとんど中部圏平均(2,793万円)と変わらない水準だが、それらのマンション群から発生した中古流通事例の平均価格は1,668万円であったことから、資産価 値の1/3が目減りし1,100万円超もの売却差損が発生していた計算になる。月額賃料は112,951円と中部圏平均(128,217円)をやや下回っているが、 10年間の表面利回りは5.17%と一定の収益性は担保されている。ランキング下位に登場する駅には、名鉄小牧線「小牧口」(0.70)や名古屋市営 地下鉄鶴舞線「植田」(0.70)、名鉄犬山線「江南」(0.73)など名古屋市の郊外エリアに位置する駅が多く、これらランキングからも首都圏や近畿圏と同じように交通利便性と資産性との相関性を窺い知ることができる。ただし、マンション PBRが0.70を下回る駅は前出の「日進」のみで、他の駅は中部圏平均に比べても大きく見劣ることもなく、資産性が突出して良好な駅も極端に劣る駅も少ないという安定したマーケットを形成している。
3.マンションPBRの分譲価格帯による類型
① 新築価格が6,000万円以上で マンションPBRが良好な駅
新築マンションの分譲価格が中部圏平均(2,793万円)を上回る3,000万円以上と、高額な水準でありながらマンションPBRが1倍を超える駅は、前項で解説
した「名古屋」、「上前津」および「西高蔵」の3駅に留まる。1倍を下回るものの、資産性が良好な駅としては名古屋市営地下鉄東山線「覚王山」(0.99)やJR中央本線「千種」(0.99)が登場しており、名古屋市東部の人気住宅地に位置し中部圏のターミナル駅である「名古屋」へもダイレクトアクセスが可能であることが高い資産性につながっている。
② 新築価格が2,000万円未満でマンションPBRが良好な駅
新築マンションの分譲価格が2,000万円未満と中部圏では比較的安価ながらマンションPBRが1倍を上回る駅は前出の「南荒子」のみとなっているが、これは定期借地権物件の分譲実績によるものであることから、今回の集計では該当する駅が事実上なしという結果となった。
③ 新築価格が3,000万円以上でマンションPBRが平均を下回る駅
新築価格が3,000万円以上と高額な水準でありながらマンションPBRが中部圏平均(0.86)を下回る駅としては、名古屋市営地下鉄鶴舞線「植田」(0.70)や
名古屋市営地下鉄東山線「本郷」(0.78)といった近郊エリアの住宅地にある駅が並んでいる。また、名古屋市中心部に位置する駅も見られ、名古屋市営地下鉄名城線および桜通線が利用可能な「久屋大通」(0.72)はその立地優位性や交通利便性の良さから中部圏でも最高水準の価格設定で分譲されていたが、エリアポテンシャル以上の値付けだったことでマンションPBRは大きく低下している。
④ 新築価格が2,000万円未満でマンションPBRが平均を下回る駅
新築価格が2,000万円未満と中部圏では比較的安価ながらマンションPBRが中部圏平均を下回る駅は、今回の集計では名鉄各務原線「名鉄各務原」(0.82)のみとなった。このカテゴリーに属する駅の特徴としては、従来通り郊外エリアに位置することに変わりはないが、市況回復に伴って「名鉄各務原」の中古価格は 150万円程度上昇しており、マンション PBRも2013年の0.79から僅かに良化している。



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