対談 資本業務提携 建設手続き一元で電子化 スパイダープラス・インフォマート
住宅新報 2026年7月28日 号 8面
――デジタルでつなぐ。
伊藤 「建設現場には図面や記録など、紙を使う様々な検査業務が多い。当社事業の出発点は、それらの紙の運用をなくせないかと考えた点にある。単にPDF化して図面を閲覧するのでなく、検査結果の記録から帳票出力まで一元管理できる施工管理アプリを開発した。手間を減らし、創出した時間を建設業本来のものづくりに充てれば、そこにデジタル化の価値がある」
――紙の手間をなくす。
木村 「当社は、インターネットを活用した仕組みで、企業間取引の円滑化を支援している。当初はフードサービス業界向けに、発注データを納品書や請求書にも活用し、発注側と受注側の双方に利点のある仕組みを構築した。取引全体をデジタル化する世界観は、各社、各業界、更には日本全体の企業価値の向上にも寄与すると考えている」
――企業間取引を円滑に。
伊藤 「インフォマートが持つ受発注機能は当社にはない領域で、建設業で普及させたいと志向した。実績ある企業と組むほうが顧客へ早く価値を届けられる。施工管理から受発注、検収、請求までを一気通貫につなげられる。インフォマート以外の選択肢はなく、API連携よりも踏み込んだ資本業務提携とした」
――踏み込んだ判断を。
木村 「当社は建設業界では後発でもある。建設現場を深く理解する企業に着目し、連携の可能性を当社から打診した。スパイダープラスの提供サービスは多くの建設現場で活用され、既に高い評価を得ている。企業間取引のノウハウと現場起点の知見を組み合わせれば、これまでは提供できなかった新しい価値を顧客へ届けられると考えた」
統合プラットフォームを
――新たな価値を届ける。
伊藤 「まずは、相互の顧客へ両社提供サービスを提案していく。その先として、施工管理と受発注をつないだ統合プラットフォームや共同プロダクトの開発に発展させていきたい。並行して両社それぞれがパワーアップする」
――共同でつくる。
木村 「1社で全てをつくるのではなく、得意分野を持つ企業同士が連携することで、顧客の利便性は一層高まる。両社の社員が一緒に顧客を訪問して現場の課題を共有するなど、両社のサービスで更に実用の磨きをかける」
――利便性を一層高める。
伊藤 「両社が蓄積する建設業界特有のデータにAI(人工知能)も活用し、建設現場へ還元していく。AIの進化は速い。それをどう価値へ変えるのかで、今後の競争力を左右すると考えている」
――現場に還元する。
木村 「AIには質の高いデータが欠かせない。権限管理にも配慮し、安全なデータ活用を進めていく。信頼できるデータ基盤を整え、提供する価値を最大限に引き出す」
――価値を最大化する。
伊藤 「施工管理から受発注、請求までつなぎ、新たなサービスを共につくりたい」
――新しいサービスを。
木村 「建設現場とバックオフィスをデジタルで最適につなぐ。将来的には他社サービスとも連携を図りながら、建設業界全体の価値向上につなげたい」(文中敬称略)
【記者の目】
施工管理と企業間取引を別々にデジタル化するだけでは、業務上の分断が引き続き残ってしまう。現場から受発注、請求まで円滑につなげ、生み出した時間とデータをものづくりへ還元できるかが、今回の提携の真価となる。

























