マンションPBR 2014 ~10 年間の駅別平均価格で比較する分譲マンションの資産価値~
連載: Kantei eye
1億円を超える“億ション”物件も大都市圏中心部で相次ぎ分譲され、非常に高額にもかかわらず国内外の富裕者層によって即日完売するほどの盛況ぶりを見せていた。また、平成25 年度の税制改正大綱で相続税の基礎控除引き下げが決定したことを受けて、投資目的・節税対策の両面から各都市中心部に立地するタワーマンションへの引き合いも強く、また2020 年の東京オリンピック開催が決まったことも手伝って、東京湾岸エリアでは総戸数1000 戸超の大規模物件であっても順調な販売が続いている。
2014 年に入ってからは消費増税による駆け込み需要の反動で、直近では供給戸数が前年同月比マイナスを記録し続けているものの、売れ行き自体に陰りの兆しは見られない。これら旺盛なニーズや建設コスト高によって、新築マンション価格は今後さらに上昇する可能性が高まっており、また地価公示や路線価でも大都市圏を中心に地価上昇に転じていることから、将来的にマンションを売却する場合に差益が発生したり資産の目減りが少なくなりそうなエリアを、購入検討の際に重要視する人が一次取得者の中にも増えてきている。
ここ数年新築マンション開発が進められてきたエリアを見ると、本誌で公表してきた資産性を示す指標のマンションPBR が良好なエリアと重複しており、ミニバブル崩壊後の低迷する市況においても十分な販売が見込める地域を中心にデベロッパーが供給を継続していたことが窺える。これまで、“現在価格”よりも“将来価値”に着目することの重要性を検証するデータとしてマンションPBR を掲出してきたが、ミニバブル期における新築マンションの価格上昇とその後の高止まりを受けて、その値にも変化の兆候が見られるようになってきている。依然として資産性が高いエリアはどこか、また大きく変調しているエリアはどこかを探る上での一助になれば幸いである。
●マンションPBR の考え方と算出の方法
分譲マンションの資産倍率を示すマンションPBR とは、株価指標の一つであるPBR(Price Book Value Ratio)を基に、一定期間内(ここでは10 年間)に分譲されたマンションの資産価値が新築分譲時の何倍になっているかを示した数値で、特定エリア(駅勢圏)で分譲された新築マンション価格を1とした場合に、その新築マンションから発生した中古マンションの流通価格が新築マンション価格の何倍に相当するかを算出したものである。
マンションPBR=10年平均中古マンション価格÷10年平均新築マンション価格 |
今回は2004 年から2013 年までの10 年間に三大都市圏および福岡県で分譲された新築マンションの価格を駅ごとに集計し、対象となったマンション群から発生した同期間(10 年間:ただし築1 年未満の事例は除いている)の中古流通価格と比較してマンションPBR を算出している。駅を単位として10 年間の価格相場から検証したマンションの資産価値を導き出すことで、同期間の平均利回り(10 年間の新築平均価格と平均賃料を基に集計)との関連性を分析する試みである。なお、駅ごとの平均価格は新築・中古とも専有面積を70 ㎡に換算し掲出している。
株価の指標としてのPBR は倍率が1を下回ると割安となるが、分譲マンションにおいては同一のマンションを新築マンションとして買い戻すことはできないので、マンションPBR では新築マンション価格に対する中古マンションの流通価格を“資産倍率”として算出し、1を上回れば新築分譲時よりも価格上昇、すなわち新築分譲時の価格が相対的に割安であったという結果指標として公表している。
●集計データの概要
データは全て東京カンテイ独自のデータベースに登録されているものを使用。
集計対象 : 首都圏【東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県】
近畿圏【大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県】
中部圏【愛知県、岐阜県、三重県、静岡県】
および福岡県の新築ファミリータイプのマンション
専有面積30㎡未満、事務所・店舗用のユニットは集計から除外
価 格 : 新築マンションは分譲価格を、中古マンションは売出希望価格を、各々駅別に集計(70㎡換算)
賃 料 : 分譲マンションの募集賃料を駅別に集計(70㎡換算/月額)
集計期間 : 2004年~2013年(10年間)
賃料のみ中部圏2005年10月以降、福岡県2007年10月以降
単 位 : マンション価格は万円 賃料は円(月額)


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