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プレミアム会員限定三大都市圏 分譲マンション賃料の徹底研究 Ⅰ.分譲マンションの賃料推移

連載: Kantei eye

不動産テック・DX

1. 主要都市での比較

三大都市圏 分譲マンション賃料の徹底研究 Ⅰ.分譲マンションの賃料推移

首都圏の他の3都市でも多少の変動はあるものの、東京23区に比べて安定推移している様子がグラフから読み取れる。また大阪市や神戸市では、短期的には賃料水準の上昇・下落を繰り返しているが、長期的に見れば上昇基調で推移している。 これに対して、名古屋市では長年下落傾向が続いたことで、2010年には賃料水準が神戸市を下回ってしまい、現時点においてもその状況に変わりがないことがわかる。

三大都市圏 分譲マンション賃料の徹底研究 Ⅰ.分譲マンションの賃料推移

基本的に、分譲マンション賃料は新築・中古マンション価格と同様に経済状況の影響によって変動するものだが、分譲マンションの賃貸市場は流通事例数が豊富な中古マンション市場などに比べて規模が限定的であり、単純平均を集計する場合には個々の事例が賃料水準に一定の影響を及ぼす可能性が高まる(=個々の事例のバイアスが効きやすい)。例えば、同じ駅勢圏であれば「専有面積」や「築年数」、「最寄駅からの所要時間」などの要素によって賃料水準が影響を受けることは想像に難くないだろう。

 

三大都市圏 分譲マンション賃料の徹底研究 Ⅰ.分譲マンションの賃料推移

このような特徴を踏まえた上で、右に示す平均築年数および平均徒歩時間の推移表と併せて分譲マンション賃料の推移グラフを見ると、例えば東京23区では賃料がピークを迎える2008年にかけて平均築年数が若返り、その後2012年にかけては賃料水準の低下とともに平均築年数が2年以上も進んでいることがわかる。他の主要都市においても賃料水準とともに平均築年数や平均徒歩時間が変動するケースが多く、単純平均による集計のみを用いて賃料動向を分析しても、「築年数」や「最寄駅からの所要時間」の変化がどのくらい影響を及ぼし、またトレンドが実際はどのように変化しているのかを判断することはできない。各主要都市での賃料水準を比較する際も、平均築年数や平均徒歩時間に自ずと違いがあるため、単純比較では本来の賃料水準の位置関係を把握することは難しい。

三大都市圏 分譲マンション賃料の徹底研究 Ⅰ.分譲マンションの賃料推移

したがって「築年数」や「最寄駅からの所要時間」などの属性による影響を最小限に留め、分譲マンション賃料の“正味”のトレンドやその水準を浮き彫りにするには、それぞれの属性において対象を絞り込んで集計・分析する必要がある。

② 対象を限定した集計
上記集計の平均築年数と平均徒歩時間は主要都市の間でかなりの差があり、また各年の変動も大きかった。

三大都市圏 分譲マンション賃料の徹底研究 Ⅰ.分譲マンションの賃料推移

しかし、右に示したように集計対象を“徒歩10分以内&築15年”に限定すると、いずれの主要都市においても平均築年数は15年前後、平均徒歩時間は5分前後に収斂しており、賃料データの均質性が高まったことが確認できる。

また、“徒歩10分以内&築15年”を集計対象とする分譲マンション賃料の推移グラフでは、単純平均のグラフと比べてその推移自体や各主要都市との賃料水準の位置関係が大きく異なっていることもわかる。

三大都市圏 分譲マンション賃料の徹底研究 Ⅰ.分譲マンションの賃料推移

首都圏の主要都市では、賃料水準の相対的な位置関係は単純平均と変わらないが、その推移には違いが出ている。例えば東京23区における賃料推移では、双方とも一度ピークを迎えた後に弱含んで、直近にかけて再び上昇に転じているという特徴は似通っている。しかし、対象限定のグラフでは、最初のピークが2009年と1年遅くなっている点やその後の下落が小幅に留まっている点、さらに2014年時点での賃料が3,046円/㎡と上述のピークを上回って直近10年間での最高値を更新している点などの差異が見られる。他の主要都市についても確認してみると、横浜市やさいたま市での単純平均のグラフではほとんど横ばいの賃料推移を示していたが、対象限定のグラフでは緩やかながらも上昇基調で推移しており、東京23区と同様に2014年時点でここ10年間での最高値を記録していることがわかる。

また、千葉市では2007年を底として上昇基調となっていたものの、2011年にピークを迎えて以降は現在までやや弱含みで推移しており、上述の3都市との賃料水準に差が生じ始めている。
近畿圏や中部圏の主要都市でも同じように単純平均と対象限定のグラフを比較すると、単純平均のグラフでは賃料水準の差が明確であり、賃料推移も名古屋市では長年下落基調となっていたが、対象限定のグラフでは大阪市・神戸市・名古屋市での賃料推移が明らかな上昇基調となっている点が注目される。また賃料水準は概ね等しく、単純平均のグラフで見られた差は築年数など属性による違いで生じたものと考えられる。
今回は属性の中でも「築年数」と「最寄駅からの所要時間」について条件設定して集計したが、これら以外にも「専有面積」や「間取り」など、賃料水準に影響を与える属性は数多く存在すると考えられる。したがって、それぞれの属性が賃料推移や水準に対してどのような影響を及ぼしているのかについてさらに詳しく検証するためには、他の属性についても同様に条件を設けて分析する必要があると言えるだろう。

第5回 理系的接客業のススメ お花屋コンサルタント 本多るみさん

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2. 築年別の賃料推移

ここでは、各主要都市において築年数が異なることで分譲マンションの賃料推移やその水準にどのくらい違いが生じるのかについて、所要時間区分を「徒歩10分以内」に限定して各築年区分の賃料を比較した。また、各築年区分での賃料推移を見やすくするために、「3年」「15年」および「30年」の分譲マンション賃料をグラフで示した。

●首都圏

三大都市圏 分譲マンション賃料の徹底研究 Ⅰ.分譲マンションの賃料推移

東京23区の分譲マンション賃料推移のグラフを見てみると、平均値は2008年に直近10年間のピークである3,352円/㎡を記録し、それ以降は下落傾向で推移して2012年には2,975円/㎡と7年ぶりに3,000円/㎡を下回ったが、翌2013年には上昇に転じて2014年時点では3,149円/㎡まで戻している。

築年区分ごとの推移になると、まず「3年」は平均を700~800円/㎡程度上回る水準で推移している。また、2013年以降の上昇率は際立っており、平均との差も拡大している。東京23区をはじめ大都市中心部では、2012年末以降において竣工後間もないタイミングで新築マンションが賃貸に出されるケースが増加し、このことが「3年」という築年数が浅い区分の賃料水準を大幅に押し上げる要因となっている。一方、「15年」のピークは平均や他の築年区分に比べて1年遅い2009年で、その後の下落度合いは比較的小さい。賃料水準自体は平均を常に下回っているが、その差は徐々に縮小している。2013年以降は全ての築年区分で賃料が上昇しているものの、「30年」に限っては僅かな上昇に留まっており、他の築年区分との賃料水準の差は拡大しつつある。

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横浜市平均の賃料推移は、2008年に2,291円/㎡と一旦2,300円/㎡台に迫ったものの、その後はやや弱含んで2011年以降は2,200円/㎡前後での安定推移が続いている。前述の東京23区では、直近10年間における賃料水準の変動幅は400円/㎡程度であったのに対して、横浜市では250円/㎡程度と小幅なレンジでの推移となっている。
「3年」の賃料推移は平均を大幅に上回り、2008年には賃料水準が高い西区や神奈川区で数多くの事例が発生していたこともあって、3,234円/㎡と平均を1,000円/㎡程度上回る高い水準を記録している。しかし、翌2009年以降は市況の低迷や市内の各行政区における事例シェアの変動などによって下落基調で推移しており、2014年時点では2,524円/㎡と平均との差は300円/㎡程度まで縮小し、さらに直近10年間での最低値も更新している。「15年」は平均を僅かに下回る水準で並行推移していたが、2012年以降は緩やかな上昇傾向となっており、賃料水準自体も平均を上回り始めている。「30年」の賃料推移も平均とほとんど変わらず、400円/㎡程度下回る水準での推移が続いている。
さいたま市平均の賃料推移でも2008年に2,037円/㎡とピークを記録し、その後やや弱含んでいる点や直近10年間で小幅なレンジで安定推移している点を見る限り、横浜市平均の賃料推移と特徴が似ている。

三大都市圏 分譲マンション賃料の徹底研究 Ⅰ.分譲マンションの賃料推移

さいたま市でも「3年」の賃料水準は平均を大幅に上回っており、2009年には2,789円/㎡と平均との差はさらに拡がっている。ただし、ピーク時には平均よりも1,000円/㎡程度の差が生じていた上記2都市に対して、さいたま市では800円/㎡程度に留まっている。また「15年」の賃料水準は2011年まで平均を概ね下回っていたが、2012年以降は若干上回って推移している。「30年」についてはここ10年間に渡って平均よりも400~500円/㎡程度下回る水準で推移している。

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千葉市の賃料推移は上記3都市とは異なり、「3年」では際立ったピークや大幅な振幅は見られない。また、「15年」の賃料水準が2011年~2012年以降に千葉市平均を上回ったことを除けば、平均や築年区分ごとの賃料はほぼ並行かつ安定推移している様子が確認できる。千葉市では築年区分ごとに見ても市況から受ける影響は限定的で、築年ごとに賃料相場が“固定化”していると言えるだろう。

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●近畿圏

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大阪市の分譲マンション賃料推移を見ると、2008年のピークやその後の弱含み、さらに直近にかけての上昇傾向といった点において東京23区と非常に良く似た傾向を示している。大阪市平均は2008年に2,086円/㎡まで上昇したものの、それ以降は下落基調で推移しており、2012年には1,908円/㎡まで低下した。しかし、翌2013年には上昇に転じ、2014年時点では2,219円/㎡と直近10年間の最高値を更新している。直近における平均の上昇傾向は、市況の改善もさることながら東京23区と同様に「3年」の事例数増加(特に新築マンションからの賃料事例)が大きく影響していると考えられる。
平均を大きく上回る「3年」の賃料推移は、ミニバブル期や景況感が改善されつつある直近にかけては明らかに上昇し、反対に景気が悪化する局面では大幅に下落する傾向があることから、市況の動きに対して敏感に反応しやすいと見ることもできる。「15年」は2009年~2010年に1,600円/㎡台まで賃料水準が低下していたが、翌2011年以降は上昇基調で推移しており、2014年時点では1,878円/㎡と直近10年間の最高値を更新している。一方、「30年」は2007年に1,587円/㎡を記録して以降は一貫して下落しており、最近では上昇傾向で推移している他の築年区分との差が拡大しつつある。

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神戸市における分譲マンションの賃料推移を見ると、「3年」を除く築年区分の推移が直近10年に渡って概ね上昇基調となっている。これは、他の主要都市とは明らかに異なる特徴であると言えよう。神戸市内の地形は海寄りの平野部を除くほとんどが山間部で占められており、それら限られた平野部に行政・商業・住宅エリアが密集している。分譲マンションの普及度合いを示すマンション化率(カンテイアイ78号参照)でも、2013年時点で27.70%と、東京23区(29.79%)や福岡市(29.10%)に次ぐ高さとなっており、賃料推移の堅調さの背景には集合住宅であるマンションへの居住ニーズの高さが密接に関係しているものと推察される。
「3年」の賃料水準は2013年に大幅上昇しているが、これは東京23区や大阪市と同様に、賃貸市場に新築マンションからの賃貸事例が数多く発生した影響によるものである。ただし、その事例数自体は限定的であり当該事例の一部が早くも市場から減りつつあることから、2014年の賃料水準は弱含みとなっている。「15年」は2011年まで概ね上昇基調で推移し、1,807円/㎡と神戸市平均に迫ったが、その後は再び1,800円/㎡を割り込んでおり、10年間に渡って終始平均を下回る水準での推移が続いている。また、「30年」の賃料水準は平均よりも400円/㎡程度下回って並行推移しており、その差は前述の横浜市やさいたま市と同程度となっている。

●中部圏

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名古屋市の分譲マンション賃料推移を見ると、いずれの築年区分でも東京23区や大阪市で確認されたミニバブル期の賃料上昇は見られなかった。さらに、名古屋市平均や「30年」の賃料推移に至っては、直近10年間一貫して下落が続いている。一方で、「3年」や「15年」では市況の改善とともに賃料水準が強含んでおり、2008年頃を境に緩やかな上昇傾向を示している。大都市圏中心都市の一つである名古屋市は、愛知県内の郊外エリアや滋賀県をはじめとする周辺3県に比べてもともと高い事業集積性や人口集積性を有しているが、最近は新たな商業施設の開発や一等地でのマンション開発も活発化している。その影響もあって、東京23区や大阪市と同様に投資目的で購入された新築マンションからの賃貸事例数が増加する傾向にあり、2014年時点での「3年」の賃料水準は2,989円/㎡と前年から400円/㎡近くも上昇したことで、同築年区分に限って見れば大阪市(3,114円/㎡)や神戸市(3,011円/㎡)の賃料水準に迫ってきている。名古屋市の分譲マンション賃貸市場は、東京23区に比べると概ね10分の1の規模に留まる。したがって、名古屋市の賃料推移を見る際には、上述のように新築マンションからの賃料事例など特定の事例が増加した場合に、賃料水準に対する影響が相応に大きく出てしまう点について留意する必要がある。築年区分ごとの賃料についてその推移と特徴を見ると、築年区分の中でも最も築年数が浅い「3年」の賃料水準は市況の影響を受けやすく、振幅も大きいことがわかる。特に大都市圏中心都市ではその傾向が強く出ている。これらエリアでは、2008年のリーマン・ショック後にその賃料水準の高さが敬遠されたことを受けて、敷金・礼金をゼロにしたりフリーレント期間を設けるのに留まらず、賃料水準を大幅に下げる動きが見受けられたのも記憶に新しいが、そのような現象がデータに反映される結果となった。また各主要都市の平均賃料は、新築マンションの供給自体が多い東京23区や大阪市で、「3年」など築年数が浅く賃料水準が高い事例に影響を受けやすいという特徴が見られる。一方、「15年」や「30年」は、他の築年区分の事例数が増加および減少したことによる直接的な影響は小さく、賃料推移も概ね安定している。特に「15年」に至っては、いずれの主要都市においても事例数が比較的豊富であることから、各エリアの賃料相場を俯瞰する際には、“徒歩10分以内&築15年”の賃料を一定の目安とすることができると言えよう。

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