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プレミアム会員限定マンションPER 2013 ~価格上昇局面に入り始めた新築マンションの収益性分析~ Ⅰ 首都圏

連載: Kantei eye

不動産テック・DX

はじめに

2011年に発生した東日本大震災を境に、大地震を経験した首都圏や仙台市などの購入者を中心として新築マンションの耐震性や防災性に対する関心が高まった。デベロッパーもそれらニーズに迅速に対応するように、新築マンションに免震・制震装置や非常用設備などを導入したり、安全性に対する説明に注力したことで、一時的に鈍化していた新築マンションの売れ行きは現在では震災前と同様の状況まで回復してきている。新築マンションの耐震性や防災性が高まり、災害時における安全性をある程度担保したことで、最近では購入者の関心が再び「マンションの資産性」にも向かいつつある。当然のことながら、資産性が高い新築マンションは資産価値の目減りも少なく、さらに仮に不動産インフレともなれば分譲時の価格よりも高値で売却できる可能性も高まるため、新築マンション価格の上昇圧力が強まっている昨今の状況を鑑みればこのような関心事の移り変わりも納得できる。マンションの資産性を表す指標として、弊社でもマンションPBRを公表しているが、これは“過去から現時点における資産価値”を示したものであって将来価値を担保したものではないため、現時点で高い資産性を示していても5年後や10年後に同じような値を示す保証はない。今回の特集で取り扱うマンションPERはマンションの価格と賃料に基づいて何年で購入価格が回収可能かという「マンションの収益性」を表す指標であるが、マンションPBRと同じように“マンションの価値”を判断する1指標であり、また、現時点における収益性をそのまま表しているため、これから購入を考えている新築マンションの出口戦略を、購入前に検討するためのマーケットデータとして非常に有効なツールと言えるだろう。

マンションPERはリーマン・ショック後に三大都市圏でともに上昇し、マンションの収益性は悪化したが、直近にかけては新築マンションの価格調整に伴って首都圏や近畿圏では改善しつつある。ただし2013年に入ってから新築マンション価格は明らかに上昇する傾向を示しており、再び収益性の悪化が懸念され始めている。今回は東京湾岸エリアや大阪市中心部の再開発エリアに位置する“今話題のマンション供給先である主要駅”の動向も掲載し、その特徴について詳細に分析する。

●“マンションPER”の考え方と算出の方法
マンションPER(=Price Earnings Ratio)とは、マンション一戸あたりの収益力を算出するために考案した当社独自の指標である。すなわち、マンション価格を“現在の評価額”、月額賃料を“現在の収益力”と考えて、マンション価格が月額賃料の何年分に相当するか(=賃料が永年変わらないものとして何年で回収できるか)を算出している。今回は「三大都市圏の新築マンション」を対象としてその分譲価格と募集賃料を集計し、駅別に平均値を算出した後に、比較を容易にするために専有面積を70m²に換算した理論値をもってマンションPERを算出している。

マンションPER=マンション価格÷(月額賃料×12)

たとえば、マンションPERが23.98であれば、その駅の新築マンション平均価格は駅勢圏賃料相場の23.98年分に相当する(=駅勢圏賃料相場に換算すると23.98年で回収可能)という計算になる。したがって、マンションPERが低ければ収益性が高く、反対に高ければ収益性は低いことになる。
マンション維持管理のためのランニングコスト、および税金などの諸費用は考慮していない。

●リノベーションマンションなどの取り扱いについて
賃貸マンションや社宅などが大規模改修され、用途や権利関係などを変更した上で新たに販売される“リノベーションマンション”は、建物としては新築マンションではないので集計から除外している。また、ミニバブル期以降に分譲が増加していた“定期借地権分譲マンション”は、土地の権利関係以外は区分所有の新築分譲マンションであるものの、同一エリアでの所有権分譲物件よりも安価に販売され、結果的に当該駅勢圏の収益性を押し上げる特定のバイアスとなるため、今回より集計対象から除外している。同様に、“ケアマンション”に関しても食堂や大浴場などの付帯施設を有するために一般的な分譲マンションに比べてやや高い価格で販売されており、賃貸に供される可能性が低いことから集計対象から除外している。

第5回 理系的接客業のススメ お花屋コンサルタント 本多るみさん

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首都圏

Ⅰ.駅別マンションPER (2012年7月~2013年6月の1年間を集計期間としている)

1.概要

マンションPERとは、一定期間に分譲された新築マンションの価格が同じエリアの月額賃料の何年分に相当するかを算出したものである。賃料水準を基準とした際に新築マンションの相場価格の回収期間の多寡を表しているため、“買って貸した場合の収益力”を示すことになる。したがって、賃料水準との比較でマンション価格が割高な駅ではPERが高く(収益性が低く)、割安な駅ほどPERの数値は低く(収益性が高く)示される。

首都圏で2013年にマンションPERが算出可能だった駅は411駅で、マンションPERの平均値は23.98と2012年の23.83から0.15ポイント上昇した。分譲マンションの平均賃料(70m²換算)が前年比+0.1%の167,685円と僅かに上昇したのに対して、新築マンションの平均価格(70m²換算)も同+0.8%の4,789万円と3年ぶりに上昇し、さらに賃料の上昇幅を上回ったことで昨年に引き続き収益性が悪化する結果となった。2000年代前半のマンションPERは20ポイント台で極めて良好な水準を維持していたが、その後のミニバブルによる新築マンションの価格高騰で収益性が悪化し、2008年には26.39まで急上昇した。2009年以降のマンションPERは一転して下落傾向となり、2011年には23.75と2008年に比べて約2.5ポイント改善したが、直近にかけては緩やかながらも再び収益性が悪化しつつある。

掲出411駅の中で新築マンション価格が最も高額だった駅は東京メトロ南北線「溜池山王」の13,091万円で、坪単価 500~700万円かつ専有面積130~150m²の住戸を有する高級マンションが駅近くに分譲され、駅勢圏の平均価格は極めて高水準となっている。この他にも「赤坂」(10,309万円)、「半蔵門」(10,177万円)、「六本木一丁目」(10,135万円)の3駅で新築マンション価格は1億円を上回った。2012年に1億円を超えていた駅は東京メトロ南北線「六本木一丁目」(当時10,273万円)のみであり、高級・高額物件の供給増が首都圏における新築マンションの平均価格を押し上げる一因となっている。一方、月額賃料が最も高額だった駅は東京メトロ南北線「六本木一丁目」の340,893円で、昨年最も高額だった東京メトロ千代田線「明治神宮前」(当時327,393円)の賃料水準を上回った。月額賃料が30万円を超える駅も昨年の3駅から6駅へと増加しており、都心部に位置し賃料水準が高い駅では昨年よりも賃料が上昇しているケースが多く見られる。

 

 

2013年 首都圏マンションPER(拡大して表示)

2.マンションPERの色分布の傾向

各駅のマンションPERを色分けした分布図を見ると、高収益を示す青色(20未満)は2013年には47駅(シェア11.4%)と昨年の51駅(同11.6%)からやや減少したものの、掲載駅全体に占めるシェアは同水準であった。これらの駅は主にJR山手線沿線、川崎~横浜エリアおよび湾岸エリアなど、都心部や横浜市中心部近辺に分布している。次いで、首都圏平均よりも良好な収益を示す緑色(20以上23未満)は113駅(同27.5%)で、こちらは昨年の135駅(同30.8%)からシェアが拡大している。主な分布エリアは JR山手線内側エリアや「南砂町」「錦糸町」などが位置する城東の都心寄りエリアとなっており、事業集積地へのアクセスのしやすさで賃料水準も相応に高いことが良好な収益性を生み出す要因となっている。

一方、首都圏平均よりも収益性が劣る黄色(23以上26未満)は148駅(同36.0%)と昨年の135駅(同30.8%)からシェアが拡大し実数も増加している。基本的に、事業集積地から離れるにつれて収益性も悪化する傾向にあるため、黄色で示される駅は城南エリアや東京都下に多く分布している。首都圏平均より約2ポイント以上もマンションPERが高くなっている赤色(26以上)は103駅(同25.1%)で、昨年の118駅(同26.9%)から減少している。都心南部から城南~東京都下、神奈川県に多く分布しており、景況感に左右されることなく人気を維持している住宅地および都心の高級住宅地などではステータス性やブランド力といった価値観を背景として、賃料換算では強気の価格設定が為されていることがわかる。また、賃料水準が非常に高い「溜池山王」「赤坂」などが位置するJR山手線の内側エリアでも散見されるが、これは賃料見合いでは極めて割高な高額マンションが分譲された例である。

●集計データの概要 
データは全て東京カンテイ独自のデータベースに登録されているものを使用。

集計対象:

首都圏【東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県】
近畿圏【大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県】
中部圏【愛知県、岐阜県、三重県、静岡県】
専有面積30m²未満、事務所・店舗用のユニットは集計から除外

価格:

新築マンションの分譲価格を駅別に集計(70m²換算)

賃料:

分譲マンションの募集賃料を駅別に集計(70m²換算/月額)

集計期間:

首都圏:2012年7月~2013年6月
近畿圏、中部圏:2011年7月~2013年6月

単位:

マンション価格は万円 賃料は円(月額)

駅勢圏:

駅と分譲マンションとの立地関係は駅毎で比較的大きく異なるため、例えば駅から徒歩10分以内などの制限は設けず、特定の駅を最寄としている分譲マンション全てを対象としている
なお、1つの物件は1つの駅のみで集計対象としており、重複集計はしていない

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※この記事内の文章・図表の著作権は東京カンテイに帰属します。二次使用については東京カンテイの許諾が必要です。

3.2013年のマンションPERランキング

2013年に首都圏で最もマンションPERが低かった(収益性が高かった)駅はJR京浜東北線「川崎」の15.61で、賃料換算では回収期間が首都圏平均より約8年も短い。新築マンション価格は3,130万円で首都圏平均(4,789万円)の 7割弱と非常に割安であるのに対して、月額賃料は167,051円で首都圏平均(167,685円)と比較しても遜色ない水準であることから、相対的に高収益な駅となっている。「川崎」は都心部や横浜市中心部の中間に位置し両エリアへの交通アクセスが良好であることに加えて、近年では工場跡地に値ごろ感のあるファミリータイプの大規模マンションが数多く供給され、さらに大規模商業施設の開業をはじめ駅周辺の再開発に伴って生活利便性も向上したことから居住ニーズが高まっている。ランキング上位には、JR山手線「西日暮里」(16.95)や京急本線「立会川」(17.06)など、都心部の主要ターミナル駅に近く月額賃料も20万円程度と高水準な駅が多く登場している。また、JR常磐線「北千住」(16.48)や埼玉高速鉄道「浦和美園」(18.31)など、近郊エリアに位置するターミナル駅や都心へダイレクトアクセス可能な沿線の始発駅がランクインしており、やはり事業集積地への交通利便性が良好な駅では収益性も相応に良くなる傾向があると言えよう。他には、JR武蔵野線「越谷レイクタウン」(17.04)やJR京葉線「海浜幕張」(17.22)など、月額賃料が15万円に達していなくても新築マンション価格が3,000万円未満と比較的安価に販売されているため、良好な収益性を示す郊外立地の駅も見受けられる。なお、都心一等地に位置する駅では賃料水準自体は非常に高いが新築マンション価格も相応に高額となってしまうため、ランキング上位に入ったのは東京メトロ銀座線「銀座」(18.73)のみとなった。

一方、最もマンションPERが高かった(収益性が低かった)駅は東京メトロ南北線「溜池山王」の37.34で、賃料換算では回収に37年強の期間を要することになる。月額賃料は292,203円と30万円に迫る高い水準だが、新築マンション価格が13,091万円と非常に高額で結果的に収益性は悪くなった。JR総武線「飯田橋」(32.81)や東京メトロ半蔵門線「半蔵門」(32.72)も「溜池山王」と同様であり、このような都心一等地に位置している駅の中には高級マンションの新規供給によってマンションPERが著しく高くなってしまう駅が確認できる。「経堂(31.13)や「洗足池」(30.64)など、小田急小田原線や東急各線で人気住宅地に位置する駅ではハイグレードの新築マンションが分譲されたことで70m²換算価格も6,000万円以上と高額になったのに対して、当然のことながら月額賃料は都心一等地の水準を下回るために、結果的にマンションPERは高くなり収益性は総じて悪くなっている。この他には、JR高崎線「上尾」(34.04)やJR総武線「新検見川」(31.33)など、郊外エリアに位置し月額賃料が10万円を下回る駅で大手デベロッパーの物件や駅近立地の新築マンションが分譲されると賃料見合いでは割高な価格設定となり、今回のように収益性に劣るケースが増えることになる。

首都圏新築マンションPER上位20駅(収益性の高い駅)

 

 

首都圏 新築マンションPER下位20駅(収益性の低い駅)

 

 

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4.分譲価格と賃料水準によるマンションPERの類型

(1)収益性が高くなるケース

パターンA 高価格(6,000万円以上)&高賃料でマンションPERが低い駅

新築マンション価格がいずれも6,000万円以上と高額だが、月額賃料も25万円前後と高水準で、結果的にマンションPERが低く維持される高収益体質の駅である。今回の集計結果では「銀座」「新橋」など都心の商業地エリア、「恵比寿」「外苑前」など都心を代表する住宅地エリアに大別される。大半がJR山手線沿線やその内側エリアに位置しており、価格相応の価値を有するエリアとして出口戦略は売っても貸しても問題のない駅が並んでいる。

パターンA 高価格(6,000万円以上)&高賃料でマンションPERが低い駅

 

 

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パターンB 圏域平均価格以下&優良賃料でマンションPERが低い駅

首都圏平均価格(4,789万円)以下の3,000万円前後の水準に留まるものの、月額賃料が10万円を大きく上回る水準にあるため、マンションPERが低くなる高収益体質の駅である。「川崎」「北千住」などの近郊ターミナル駅では、その拠点性や交通利便性から新築マンション価格の割に良好な賃料水準となっていることがマンションPERを低く維持する要因になっている。「越谷レイクタウン」「海浜幕張」「浦和美園」など長期的な区画整理事業や再開発によって駅勢圏の生活利便性が徐々に向上するケースもマンションPERの改善要因となっている。

パターンB 圏域平均価格以下&優良賃料でマンションPERが低い駅

 

 

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(2)収益性が低くなるケース

パターンC 高価格(6,000万円以上)&相対賃料が低くマンションPERが高い駅

“億ション”が供給される都心立地の駅、および城南・城西エリアにかけての人気住宅地を有する駅が多く、新築マンション価格が極めて高水準であるために、賃料水準に関わらずマンションPERが高くなる駅がこのパターンに属する。前者に該当するのはランキングに示した「溜池山王」「飯田橋」など4駅で、いずれも新築マンション価格は9,000万円を超えている。また、「池ノ上」「経堂」などでは新築マンション価格が6,000万円以上だが月額賃料は概ね20万円前後であり、賃料見合いでは収益性が劣る結果となる。これらの駅は出口戦略を専ら売却に定めて購入すべきと考えられる。

パターンC 高価格(6,000万円以上)&相対賃料が低くマンションPERが高い駅

 

 

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パターンD 圏域平均価格以下&低賃料でマンションPERが高い駅

新築マンション価格はパターンBと同様3,000万円前後と比較的安価な水準だが、月額賃料が概ね10万円未満と相対的に低い水準のため、賃料見合いでは結果的にマンション価格が割高になってしまう低収益体質の駅である。「新検見川」「東鷲宮」「北野」など、ほぼ都下や埼玉県、千葉県の近郊~郊外エリアに位置する駅で占められており、現状では戸建中心の居住エリアとなっている。都心へアクセスするにも距離があるため、新築マンション価格の値ごろ感が強まっても需要が顕在化しにくく、マンション居住を前提とすると将来的に経済合理性を欠く可能性があるエリアと言える。

パターンD 圏域平均価格以下&低賃料でマンションPERが高い駅

 

 

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Ⅱ.マンションPERの推移

1.都県別および主要都市別推移

都県単位でのマンションPERの推移を見ると、2013年の東京都は22.63で昨年から0.99ポイント収益性が悪化した。2010年までは20ポイント前後で安定推移していたが、直近にかけては緩やかな上昇傾向にある。首都圏平均(23.98)に比べると、賃料換算で回収期間が概ね1年短い状態は維持しており、賃料水準の高さが収益性を支えている。周辺3県における2013年のマンションPERは、神奈川県23.74、埼玉県26.75、千葉県25.71となっており、同じ圏域内でも東京都と埼玉県では回収期間に約4年の開きが生じている。埼玉県の月額賃料は千葉県を上回る水準であるが、JR京浜東北線「大宮」をはじめ、同沿線やJR埼京線沿線の新築マンションは賃料見合いではやや割高な価格で販売されており、収益性が悪くなっている。

主要都市ごとのマンションPERの推移を見ると、東京23区は2013年には22.88となり2009年の19.77以降4年連続で収益性が悪化していることがわかる。都心の高額物件や湾岸エリアの大規模タワー物件の供給増加に伴って、賃料見合いで割高感が強まったマンションも相応に多くなってきたことが収益性の悪化を招いているものと考えられる。対照的に、横浜市の収益性は高まる傾向にあり、2013年時点では22.00と初めて東京23区の収益性を上回った。横浜市では一次取得者向けに比較的安価な新築マンションが多く供給されているために、賃料水準とのバランスの良さが優れた収益性として表れたものとみられる。一方、川崎市では新築マンション価格が4,013万円から4,736万円に上昇したことで、マンションPERも22.87から26.20へと急上昇(悪化)している。大規模タワーマンションが供給され続けている「武蔵小杉」や、近年徐々に人気が高まっている「宮前平」「元住吉」では周辺相場に比べて新築マンション価格が高めとなっており、これらの駅での供給増が収益性の悪化に影響を与えているようだ。同市内では「新川崎」でも「武蔵小杉」と同様に大規模タワーマンションを含めた再開発事業が押し進められていることから、収益性が回復するにはある程度の時間を要する可能性が高い。

さいたま市のマンションPERは2013年時点で27.37と昨年から収益性が改善しているが、中期的には悪化する傾向にあり、賃料見合いでは割高な新築マンションの供給が続いているようだ。千葉市では新築マンション価格が2,950万円から3,060万円へと上昇したのに対して、月額賃料は106,629円から103,093円に下落したことでマンションPERは23.05から24.73に上昇し、収益性を約1.7ポイント悪化させている。

首都圏 主要エリア別新築マンションPERの推移

 

 

首都圏 主要都市別新築マンションPERの推移

 

 

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2.主要駅別推移

ここでは直近5年間で継続的な分譲実績が十分にあり、当該期間における供給戸数の規模も多い駅におけるマンションPERの推移を示し検証することで、“今話題の新築マンション供給エリア”における収益性の良否やその動向を分析する。

(1)東京23区
東京メトロ有楽町線「豊洲」(19.04)や都営地下鉄大江戸線「勝どき」(20.88)の2013年マンションPERは昨年に引き続き東京23区平均(22.88)を下回っており、都心に近い湾岸エリアの収益性が引き続き良好な水準で推移していることが明らかになった。また、城南~城西エリアの「二子玉川」や「中野」は2年連続で収益性が改善しているが、これは新築マンションの価格下落(高額物件の減少)によるもので、月額賃料自体は概ね20万円強の水準で安定推移している。都心に位置する「麻布十番」では、2013年時点においても28.31と東京23区平均を大幅に上回っている状況に変わりはない。毎年、高額物件の供給が続いているために新築マンション価格は 9,000万円以上で推移する一方、月額賃料は2009年の319,696円から2013年には281,185円と4年間で約4万円下落したことが影響して、収益性も悪化する傾向にある。

東京23区 主要駅別新築マンションPERの推移

 

 

東京23区 主要駅別新築マンションPERの推移

 

 

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(2)東京都下
東京都下主要駅の2013年マンションPERは、掲出した「八王子」(22.83)、「府中」(24.27)、「三鷹」(24.47)および「田無」(25.12)で、いずれも東京都下平均(25.66)を下回っており、賃料見合いで適正な価格設定で新築マンションが供給されているようだ。また、住みたい街の調査で毎年ランキング1位に登場していることで知られる「吉祥寺」は都心寄りに位置していることから、月額賃料が約20万円と東京23区内の駅と遜色ない水準となっているが、そのブランド力から高額物件が供給される傾向が強く、2013年の新築マンション価格は7,331万円と上述の東京23区で掲出したほとんどの駅の価格を上回っている。そのため、マンションPERは29.78と投下資金の回収に約30年を要する計算となり、出口戦略としては、売却を前提に検討する駅である。

東京都下 主要駅別新築マンションPERの推移

 

 

東京都下 主要駅別新築マンションPERの推移

 

 

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(3)神奈川県
JR京浜東北線「横浜」は首都圏有数のターミナル駅として交通利便性も良好であることから、月額賃料は20万円弱と神奈川県下では高い水準となっている。直近5年間ではタワーマンションや駅近物件など、高めの価格設定になりやすい新築マンションの目立った供給がなかったため、2013年時点のマンション PERも21.26と神奈川県平均(23.74)よりも低い水準で良好な収益性を維持している。大規模タワーマンションが林立する「武蔵小杉」や人気住宅地である「茅ケ崎」は高めに価格設定された新築マンションが供給されているイメージが強いが、2013年のマンションPERを見る限りでは神奈川県平均と大差なく、賃料換算では適切な価格帯で分譲されていることになる。東急田園都市線「たまプラーザ」のマンションPERは直近5 年間を通じて神奈川県平均を上回っており、2013年には24.41から33.47へと急上昇した。これは徒歩10分以内の駅近立地に新築マンションが供給されたことでマンション価格が4,195万円から5,626万円へと大幅上昇したためであり、賃料換算で約9年分収益性が悪化したことになる。

神奈川県 主要駅別新築マンションPERの推移

 

 

神奈川県 主要駅別新築マンションPERの推移

 

 

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(4)埼玉県
東武東上線「志木」やJR京浜東北線「浦和」の2013年マンションPERは昨年から概ね横ばいとなった一方で、「川口」、「戸田公園」および「大宮」はマンション価格が上昇したことで収益性を悪化させている。JR京浜東北線「大宮」では2013年に坪単価200~250万円の駅近&大規模タワーマンションが分譲された影響で、新築マンション価格は4,286万円から4,955万円へと上昇した結果、マンションPERは29.34と主要駅の中で唯一埼玉県平均(26.75)を上回った。

なお、他の4駅のマンションPERに関しては2011年以降では埼玉県平均を下回っており、同県内における賃料換算に限って見れば適正な価格で販売されていると言える。しかし、首都圏平均のマンションPER(23.98)を下回っているのは「志木」(22.52)のみであることから、掲出の主要駅では買って貸すことを視野に入れての新築マンション購入は適しているとは言い難い。

埼玉県 主要駅別新築マンションPERの推移

 

 

埼玉県 主要駅別新築マンションPERの推移

 

 

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第5回 理系的接客業のススメ お花屋コンサルタント 本多るみさん

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