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プレミアム会員限定マンションPBR 2013 ~10年間の駅別平均価格で比較する分譲マンションの資産価値~ Ⅰ 首都圏

連載: Kantei eye

不動産テック・DX

はじめに

2013年は、アベノミクス効果が喧伝され始めるに連れ、報道よりはかなり遅れてその効果が表れている感はあるものの、消費増税および相続税の改定など、目前に迫った税制の大きな変化が直接のフックとなって、新築マンションの分譲は好調を維持している。特に東京都心部では1億円を超える高額物件が相次いで分譲されたことにより、首都圏の新築マンション平均価格が急激に押し上がる状況にある。このような景気変動や税制の変更は、結果的に分譲マンションの価格や売れ行きなど市場全体に大きな影響を与えることになり、中古マンションの価格推移にも一定のバイアスとなるが、そもそもの“分譲マンションの価格妥当性”もこれらファンダメンタルズの変化によって振幅するため、特定のマンションの“経済的な実力”が見えにくくなってしまうという側面もある。価格形成要因そのものに景気変動などが含まれるという事実はあるものの、分譲マンションの価格を取り巻く外的要因を可能な限り小さくし、特定期間の分譲実績に基づくエリア(ここでは駅勢圏を対象としている)の価格および資産性を推し量ることで、マンションの“実力=資産性”を分析し、比較検証するために考案したのがマンションPBRという独自指標である。

毎年公表しているマンションPBRは、直近10年間の新築マンション分譲価格を基に、該当するマンションから発生した中古事例価格と比較して資産倍率を数値化しており、したがって東日本大震災後のマーケット変化やアベノミクス効果を直截に映し出す鏡ではないが、購入者の意向によって、もしくは販売するマンション・デベロッパーの意図によってエリアごとに資産性を表したものと言える。当然のことながら、現状では生活利便性および交通利便性など“何かと便利”であることを基本的な条件として、“安心・安全なエリアもしくはマンション”であることが資産価値を高く維持するための条件に加わっている。また、分譲価格が上振れているエリアは資産倍率にも一定の影響が認められ、開発が進んでエリアポテンシャルが向上した地域でも資産倍率は拡大する傾向が示されている。

“現在価格”よりも“将来価値”に着目することの重要性を検証するデータとして、また年々、都市化率=都市部に居住する人口割合が拡大する中で、本来の、また新たな“マンション適地”を探るためのデータとして活用されたい。

●“マンションPER”の考え方と算出の方法
分譲マンションの資産倍率を示すマンションPBRとは、株価指標の一つであるPBR(Price Book-Value Ratio)を基に、一定期間内(ここでは10年間)に分譲されたマンションの資産価値が新築分譲時の何倍になっているかを示した数値で、特定エリア(駅勢圏)で分譲 された新築マンション価格を1とした場合に、その新築マンションから発生した中古マンションの流通価格が新築マンション価格の何倍に相当するかを算出したものである。

マンションPBR=10年平均中古マンション価格÷10年平均新築マンション価格

今回は2003年から2012年までの1年間に三大都市圏および福岡県で分譲された新築マンションの価格を駅ごとに算出し、対象となったマンション群から発生した同期間(10年間:ただし築1年未満の事例は除いている)の中古流通価格と比較してマンションPBRを算出している。駅を単位として10年間の価格相場から検証したマンションの資産価値を算出し、同期間の平均利回り(10年間の新築平均価格と平均賃料を基に集計)との関連性を分析する試みである。なお、駅ごとの平均価格は新築・中古とも専有面積を70m²に換算し掲出している。

株価の指標としてのPBRは倍率が1を下回ると割安となるが、分譲マンションにおいては同一のマンションを新築マンションとして買い戻すことはできないので、マンションPBRでは新築マンション価格に対する中古マンションの流通価格を“資産倍率”として算出し、1を上回れば新築分譲時よりも価格上昇、すなわち新築分譲時の価格が相対的に割安であったという結果指標として公表している。

第5回 理系的接客業のススメ お花屋コンサルタント 本多るみさん

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"Kantei eye"は年4回、不動産マーケットの最新動向をレポートとしてお届けしています。「マンションPER」や「マンションのリセール・バリュー」「マンション価格インデックス」など 東京カンテイ独自のデータ分析によるマンション市況データをご覧いただけます。
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首都圏

1. マンションPBRの概要

2012年の首都圏平均マンションPBRは0.93であったが、2013年(2003年から2012年の10年間で比較した新築マンションと中古マンションの価格相場を基に算出)の首都圏のマンションPBRの平均は0.91となった。直近10年間の首都圏におけるマンションPBRは2012年から0.02ポイント低下し、新築マンション10年平均価格の91%の価格水準を維持していることになる。10年間の平均で9%の資産価値減少に留まっているのは、2002年からミニバブル前の2006年までの5年間(=資産デフレ期)は新築マンションの価格も中古マンションの価格も大底圏で推移し、2007年のミニバブル期前後に価格の急上昇と急落を経た後、現在に至るまで高止まり傾向を示しているためである。2002年から2006年にかけて分譲された新築マンションは、全般的に価値を下回る価格で販売されていた“お買い得物件”だったと言える。ただし、その状況も年を追うごとに変化し、2011年の首都圏平均が0.94であったのに対して、昨年は0.93、今年は0.91と低下し始めている。

駅別に見ても、路線図に示した分布の通り首都圏では都心~近郊エリアおよび横浜中心部でマンションPBRが1.00以上となる(青=新築の平均価格を上回る)駅が見られ、これは掲出722駅のうち116駅(16.1%)を占めている。2012年は762駅のうち181駅(23.8%)あったため、資産倍率の高い駅は7.7%も大幅減少していることになる。

同時にマンションPBRは、横浜中心部を除いて都心部から郊外方面に向かうに連れて低下する。当然のことながら、郊外方面では交通利便性などが徐々に低下するため、立地条件に応じて10年間における建物の減価償却も含めてマンションPBRが低下していくことになる。それでも緑で示したマンションPBRが0.90以上となる駅(278駅:シェア38.5%)は概ね首都圏平均の水準を維持しており、都心近郊エリアでの資産倍率が首都圏全域の平均値を示していることがわかる。首都圏の準近郊エリアにおいてはオレンジで示したマンションPBRが0.80以上の駅(256駅:35.5%)が、郊外エリアでは赤で示される0.70以上の駅(64駅:8.9%)が分布しており、さらに準郊外になると茶色で示した0.70未満の駅(8駅:1.0%)が登場する。マンションPBRは、特に首都圏においては都心までのアクセスという交通利便性との相関性が極めて高いという例年の傾向に大きな変化は見受けられない。

 

 

2013年 首都圏マンションPER(拡大して表示)

●集計データの概要 
データは全て東京カンテイ独自のデータベースに登録されているものを使用。

集計対象:

首都圏【東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県】
近畿圏【大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県】
中部圏【愛知県、岐阜県、三重県、静岡県】
および福岡県の新築ファミリータイプのマンション
専有面積30m²未満、事務所・店舗用のユニットは集計から除外

価格:

新築マンションは分譲価格を、中古マンションは売出希望価格を、各々駅別に集計(70m²換算)

賃料:

分譲マンションの募集賃料を駅別に集計(70m²換算/月額)

集計期間:

2003年~2012年(10年間)
賃料のみ中部圏2005年10月以降、福岡県2007年10月以降

単位:

マンション価格は万円 賃料は円(月額)

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2. 2013年のマンションPBRランキング

2013年に首都圏でマンションPBRが最も良好だったのは、東京メトロ銀座線「表参道」の1.41であった。10年間の新築分譲価格7,816万円(70㎡換算価格:以下同)に対してそれらの新築マンション群から発生した中古流通事例の平均価格は11,087万円と1億円を突破している。10年間で最大41%の“売却差益”が期待できるとなれば、分譲当時の価格が7,000万円を超える水準であっても大変優良な“投資”であったことになる。月額賃料も407,679円と高水準で、これらから算出できる10年間の想定表面利回りは6.26%と出口戦略としてはまさしく売っても貸しても良いエリアの代表格である。

同じくランキング上位に登場するJR山手線「品川」(マンションPBR:1.31)や「田町」(1.26)、都営地下鉄三田線「白金高輪」(1.23)、都営地下鉄大江戸線「赤羽橋」(1.21)などはいずれも都心に位置し、事業集積および人口集積が高いエリアでマンションの“利用価値”も相応に高いため、マンションPBRが極めて良好な水準に保たれる典型と言える。また、みなとみらい線「みなとみらい」(1.31)および「元町・中華街」(1.10)、JR京浜東北線「東神奈川」(1.26)および「横浜」(1.17)など、横浜市中心部の駅もランキングに登場しており、東京都心に準ずる“ミニ都心”の機能を果たしていることがわかる。上位30駅はいずれもマンション適地として開発用地があれば分譲事業が継続的に行われるエリアであり、人気だけでなく資産性という実力も伴った地域である。さらに月額賃料が概ね20万円を超えていて収益性にも期待することができるため、マンション・デベロッパーにとっても購入者にとってもニーズの高い駅ばかりである。

一方、首都圏でマンションPBRが最も低かったのはJR外房線「土気」の0.60であった。10年間の新築分譲価格2,148万円に対してそれらの新築マンション群から発生した中古流通事例の平均価格は1,303万円と800万円超の売却差損が発生する計算になる。「土気」周辺で新築マンションを購入すると毎月の住宅ローン返済額を超える資産価値の目減りによってオーバーローンの状態に陥る可能性が高く、資産価値を重視するのであれば出口戦略が立てにくいエリアと言わざるを得ない。つくばエクスプレス「柏たなか」も「土気」と同値の0.60であった。ほかにランキングに登場する駅は、JR高崎線「吹上」(0.62)、西武池袋線「飯能」(0.65)、JR青梅線「河辺」(0.67)を始めとして郊外に位置する駅が多く、都心か郊外かという広域立地では売却差損が大きくなる可能性が指摘されるが、分譲価格は2,000万円台から3,000万円台前半が中心で、価格重視の購入であればハードルは相応に低くなる。また賃料相場から算出した10年間の表面利回りも30駅平均が4.69%と相応の水準を維持しており、収益性が大きく劣るということもない。したがって出口(中古価格)から見た入口価格(新築価格)が相対的に高かったと中古流通市場で評価された駅がランキングに並ぶことになる。小田急小田原線「百合ヶ丘」(0.66)および「町田」(0.67)、西武新宿線「中井」(0.72)のように交通利便性が確保されたエリアに位置しながらマンションPBRが低調な駅もいくつか存在しており、これらはエリアポテンシャル以上の価格で分譲された物件の存在が確認されている。

首都圏 マンションPBR上位30駅

 

 

※この記事内の文章・図表の著作権は東京カンテイに帰属します。二次使用については東京カンテイの許諾が必要です。

首都圏 マンションPBR下位30駅

 

 

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【表の見方】

  • (1) 新築価格は2003年~2012年に分譲されたマンションの平均価格(70m²換算)
  • (2) 中古価格は(1)から発生した中古流通事例の平均価格(70m²換算)
  • (3) 月額賃料は(1)から発生した賃貸事例の平均賃料(70m²換算)
  • (4) 10年平均表面利回りは(3)を(1)で割り戻した10年間の平均利回り
  • (5) マンションPBR同値の順位は新築価格の多寡による(高額が上位)

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3. マンションPBRの分譲価格帯による類型

(1)新築価格が6,000万円以上でマンションPBRが良好な駅

新築マンションの分譲価格が6,000万円以上と高額な水準であるにもかかわらず、マンションPBRが1倍を超えて売却差益が期待できる駅は、前述の「表参道」、「白金高輪」、「赤羽橋」のほか、東京メトロ銀座線「虎ノ門」(1.20)、都営地下鉄大江戸線「西新宿五丁目」(1.19)など、いずれも都心に位置する駅ばかりが並んでいる。当然のことながら高額分譲となるが、資産価値は分譲価格をはるかに上回っている。また月額賃料も「西新宿五丁目」および東京メトロ日比谷線「東銀座」を除き30万円以上と、収益性が極めて良好な点も共通している。

(1)新築価格が6,000万円以上でマンションPBRが良好な駅

 

 

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(2)新築価格が4,000万円未満でマンションPBRが良好な駅

新築マンションの分譲価格が4,000万円未満と首都圏としては比較的安価ながら、マンションPBRが1倍を超える駅は経済合理性が高いことになる。東京スカイツリーの開業で注目が高まっている東武伊勢崎線「曳舟」は、10年間の新築分譲価格3,543万円に対してそれらの新築マンション群から発生した中古流通事例の平均価格が昨年以降上昇し4,018万円と475万円の売却差益が発生する計算となってマンションPBRは1.13に上昇している。このカテゴリーに属する駅には、横浜市営地下鉄グリーンライン「北山田」(1.11)、日暮里・舎人ライナー「赤土小学校前」(1.09)など新駅が開業して間もないエリアや、西武池袋線「ひばりヶ丘」(1.16)、JR東海道本線「大船」(1.09)など近年特にマンション開発が進んで居住性が高まった駅などが登場しており、エリアポテンシャルの向上がマンションPBRに良い影響を与えている。

(2)新築価格が4,000万円未満で マンションPBRが良好な駅

 

 

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(3)新築価格が6,000万円以上でマンションPBRが平均を下回る駅

(1)と同じく新築価格が6,000万円を超える水準でありながら、マンションPBRが首都圏平均の0.91を大きく下回る駅は、「中井」のほか京王井の頭線「西永福」(0.75)、JR中央線「中野」(0.84)など城西エリアの人気住宅地がある駅、またJR山手線「新橋」(0.75)、東京メトロ南北線「六本木一丁目」(0.75)、東京メトロ銀座線「赤坂見附」(0.78)など都心一等地の駅も登場している。マンションPBRの数値は、マンション適地としての人気は高いものの、エリアポテンシャルを上回る価格で分譲されている駅であることを示している。月額賃料も(1)と比較して5万円程度低く、強気に売られ過ぎた結果が数値に表われていると見ることができる。

(3)新築価格が6,000万円以上でマンションPBRが平均を下回る駅

 

 

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(4)新築価格が4,000万円未満でマンションPBRが平均を下回る駅

(2)同様に新築価格が4,000万円未満と首都圏平均を下回る価格帯で分譲されていても、マンションPBRが首都圏平均の0.91を下回る駅は、やはり郊外に位置する駅名が並ぶ結果となった。前述した「土気」、「柏たなか」、「吹上」、「飯能」のほか、JR相模線「南橋本」(0.67)、JR高崎線「籠原」(0.71)など、いずれも郊外に位置し、10年間の新築分譲価格が概ね2,000万円台と安価であっても、それらの新築マンション群から発生した中古流通価格はほぼ1,000万円台に留まっており、資産性を重視する場合には購入しにくいエリアである。

(4)新築価格が4,000万円未満でマンションPBRが平均を下回る駅

 

 

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※首都圏平均 : PBR 0.91 新築価格4,386万円 中古価格4,067万円 月額賃料186,100円 利回り5.14%

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