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プレミアム会員限定マンションデータ白書 2012【速報値版】 ~2012年の新築分譲と中古流通の総括~ Ⅲ 賃料推移と2012年のまとめ

連載: Kantei eye

不動産テック・DX

Ⅲ 賃料の推移

3.1 新築と中古マンション賃料

賃料データは、賃貸に供された分譲マンションの月額賃料を三大都市圏(中部圏のみ2005 年以降)で集計している。
賃貸マンションは集計対象外である。

首都圏の新築マンションの賃料(築3年未満の物件から発生した賃料)は2008年以降5年連続で下落している。一戸平均賃料は2008年には月額162,186円であったが、2009年は147,247円(前年比9.2%下落)、2010年は128,546円(12.7%下落)、2011年は121,031円(5.8%下落)、2012年は119,441円と前年比1.3%下落した。
平均坪賃料も2009年に11,618円(前年比3.2%下落)、2010年は11,501円(1.0%下落)、2011年は11,357円(1.3%下落)、と下落が続いていたが、2012年は11,441円と前年比0.7%上昇した。上昇は4年ぶりで、賃料下落にようやく歯止めが掛った。
近畿圏では2012年の一戸平均賃料は月額103,218円で、前年比8.0%下落と、ほぼ横ばいで推移した2011年から再び下落基調となった。平均坪賃料は、2012年は8,379円でこちらは1.0%の上昇となっている。近畿圏では賃料事例の専有面積が2010年以降3年連続で縮小しており、2012年も前年から8.9%縮小して40.72㎡となった。このため坪賃料は上昇したが、一戸平均賃料は下落する動きとなっている。
中部圏の2012年の一戸平均賃料は月額118,969円で前年比20.2%と大きく上昇した。2年連続の大幅上昇である。平均坪賃料も7,878円(3.3%上昇)と上昇傾向に転じた。一戸平均賃料が大きく上昇したのは専有面積の大幅な拡大(2011年42.90㎡→2012年49.92㎡)があったためである。ただ、中部圏では2年連続で賃貸に供される物件の専有面積が拡大傾向にあるものの、2005年からの長期トレンドを見ると反対に賃貸物件の専有面積は縮小しており、単身世帯の増加で専有面積の狭い物件にニーズが集まっているようだ。

三大都市圏 分譲マンションの賃料推移

 

 

※この記事内の文章・図表の著作権は東京カンテイに帰属します。二次使用については東京カンテイの許諾が必要です。

首都圏の中古マンションの賃料(築3年以上の物件から発生した賃料)は、2012年の一戸平均賃料で月額105,449円と前年比1.4%下落した。2010年以降3年連続で下落しており、2009年比で14.0%下落している。反対に平均坪賃料は9,652円と0.5%上昇している。2012年も従来と同様に専有面積が狭く、一戸あたりの賃料が低い物件に根強いニーズがあることがわかる。
近畿圏では2012年の一戸平均賃料は90,958円(0.9%下落)、平均坪賃料は6,126円(1.7%上昇)と専有面積の縮小により一戸平均賃料が下落する反面、平均坪賃料は上昇しており、2010年以降、実質的には賃料の上昇が認められるが、ニーズは専有面積が狭く賃料水準が低い物件にほぼ集中している。
中部圏では2012年の一戸平均賃料は87,961円(0.7%下落)、平均坪賃料は5,379円(1.6%上昇)と、首都圏・近畿圏と同様に不況と単身世帯の増加により専有面積が狭く賃料の低い物件にニーズの偏在が発生している状況である。

3.2 新築・中古マンションの利回り

新築および中古マンション賃料の平均坪賃料と新築および中古マンションの平均坪単価から表面利回り(以下「利回り」)を算出している。

首都圏では2010年に新築マンションにおいて若干の利回りの回復が見られたが、2011年以降は再び低下傾向となった。新築マンションの平均利回りは6.13%で、2011年の6.22%から0.09ポイント低下している。平均坪賃料が2012年に上昇に転じたが、価格の上昇が影響して平均利回りはわずかに下がった。
近畿圏の新築マンションの利回りは6.21%で2011年の6.08%から0.13ポイント上昇している。近畿圏の新築マンションの平均坪単価は2012年に下落に転じたのが利回り改善の要因である。
中部圏の新築マンションの利回りは6.91%と2011年の6.71%から0.20ポイント上昇した。新築マンションの平均坪賃料の上昇率が平均坪単価の上昇率を上回ったのが利回り回復の要因である。

三大都市圏 分譲マンションの新築・中古マンションの表面利回り推移

 

 

※この記事内の文章・図表の著作権は東京カンテイに帰属します。二次使用については東京カンテイの許諾が必要です。

2012年の首都圏中古マンションの利回りは8.19%と前年比0.43ポイント上昇し、概ね2010年の頃の水準に戻っている。中古マンションの利回りの上昇は、平均坪賃料の上昇に中古流通坪単価の下落が重なったことによる。
2012年の近畿圏中古マンション利回りは8.61%と前年比0.29ポイント上昇した。平均坪賃料の上昇と中古マンションの平均坪単価の低下が利回りを改善させる要因となっている。
中部圏の中古マンションの利回りも同様に9.71%と2011年の9.27%から0.44ポイント上昇した。平均坪賃料の上昇と平均坪単価の下落によって利回り上昇した。
2012年は各圏域ともに新築坪単価と中古坪単価の下落が利回り改善の要因となっているが、賃料そのものは中部圏以外ではほぼ横ばいであり、利回りの本格的な上昇に不可欠な賃料水準自体の回復は見られない。

第5回 理系的接客業のススメ お花屋コンサルタント 本多るみさん

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さいごに

2012年には各圏域に共通する状況および傾向が明らかになった。それは下記の3点である。

  1. 新築および中古マンションの低価格帯物件のシェア拡大
  2. 新築および中古マンションの狭小専有面積帯のシェア拡大
  3. 中古マンションにおける築年の古い物件のシェア拡大

これらはすべて結果的にマンション価格の下落傾向となって表われている。主な要因としては「不況によるマンション需要の冷え込み」と「単身世帯および少人数世帯の増加による必要居住面積の縮小」が挙げられる。
価格の下落や専有面積の縮小などのトレンドについては、併せて雇用環境や世帯数推移、所得推移や産業構成など多面的な検証が必要となるが、2012年のデータを見る限り、マンション価格を切り出してみても高額新築物件の減少と低価格中古物件の流通増に示される通り、上記の要因が強く働いていることを示している。
2005年をピークに日本の総人口は減少に転じ、同時に単身世帯数がファミリー世帯数を逆転した。2012年にはこれらの比率は単身世帯32%、ファミリー世帯27%となっており、今後は両世帯数の差は開く一方と予測されている。本稿で掲出した様々なデータの中にもその影響を見ることができる。各圏域における専有面積30㎡未満および30㎡以上50㎡未満といった小型のマンションの供給増は、明らかに単身者向けの居住ニーズに対応したものだし、中古マンション市場における低価格帯物件の増加も、世帯年収の伸びの鈍化および低所得化が著しいことを物語っている。また、専有面積100㎡以上および80㎡以上100㎡未満の供給・流通シェアの縮小は、ファミリー世帯の減少や世帯構成人員の減少を示唆するものとして読み解く必要がある。
我が国の現状は、世帯年収の伸び悩みに加えて税金負担や生活費および教育費の負担も重くのしかかり、若年層は雇用の不安定さも抱えている。デフレを止めることによってマンション市場のすべてが改善する訳ではないが、マンション価格が下落を続けることは、マンション事業者やマンション購入者にとって、収益や資産価値の観点からも良いことではない。所得の拡大や雇用の安定といった社会問題が解決に向かうことによって、結果的にマンション市場が活性化することが、日本経済再生への一助となる。
新政権が実施する計画の「緊急経済対策」が奏功しなければ、人生で一番高額な買い物である住宅購入を多くの世帯が躊躇っている現状を変えることはできないとの前提で、2013年は景気対策の効果が表われ、内需が拡大して景気が上向き、住宅市場が勢いを取り戻す年となることを期待して止まない。

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