全国 都道府県・主要都市の“マンション化率” 2012 ~地域ごとに供給立地の偏在が進行するマンション普及率の推移~ 主要行政区のマンション化率 中部圏、地方圏
連載: Kantei eye
部に位置する行政区で比較的高いマンション化率を示している。名古屋市平均は前年から0.30ポイント拡大して18.97%となっており、他の大都市圏中心部と同様に着実にマンションの普及が進んでいる。マンション化率が縮小した行政区はマンション普及の度合い自体が低い中川区と守山区のみであり、名古屋市全体では概ねマンション化率が拡大する傾向にある。
中部圏では近郊~郊外エリアにおける居住形態は専ら戸建が中心となっていることから、愛知県下の行政区では軒並みマンション化率が低く、20%を上回る行政区は一つもない。また、大半の行政区でマンション化率が1桁に留まっていることからも戸建中心のエリアであることが窺える。2012年1月4日に市政施行した長久手市(19.55%)や蟹江町(16.08%)、南知多町(17.37%)のマンション化率は名古屋市平均と概ね同水準となっているが、これらは母数となる居住世帯の絶対数がいずれも少ないことで相対的にマンション化率が高くなっているに過ぎない。愛知県下でマンション化率が縮小したエリアは33行政区中21行政区と、全域的にマンション普及が進んだ名古屋市内とは対照的な動きとなっている。この背景には他の都市圏と同様にマンション供給が中心部である名古屋市内に集中していることが挙げられる。
静岡県で最もマンション化率が高いのは浜松市中区(12.72%)だが、10%を上回る程度の水準である。中区のストック戸数は12,828戸で同市の約2/3を占めている。中区以外の行政区におけるマンション化率はいずれも浜松市平均(6.39%)を下回っており、同市内におけるマンション普及は中区にほぼ一極集中している。なお、前年比でストック戸数が増加した行政区は3年連続で中区のみとなっており、それ以外の行政区は総じてマンション化率が縮小している。もう1つの政令指定都市である静岡市のマンション化率は0.11ポイント拡大して6.00%となった。依然として浜松市平均を下回っているが、静岡市内の全行政区でストック戸数が着実に増加しており、マンション化率の差は0.50ポイントを切るまで縮小してきている。静岡県下では沼津市(8.94%)や三島市(7.17%)など首都圏に近い行政区では県下の政令指定都市よりもマンション化率が高くなっている。
岐阜県や三重県のマンション化率はともに2%台で、中部圏の中ではマンション普及が進んでいない地域と言える。岐阜市のストック戸数は8,402戸で岐阜県の約半分を、また四日市市のストック戸数は6,349戸で三重県の約1/3を占めているが、マンション化率はともに5%台に留まっている。
表-4 中部圏主要行政区 全マンションストックとマンション化率
※この記事内の文章・図表の著作権は東京カンテイに帰属します。二次使用については東京カンテイの許諾が必要です。
中部圏におけるマンション普及の度合いを俯瞰すると、首都圏や近畿圏の都市部と同様な水準で普及が進んでいるのは名古屋市中心部と隣接する行政区のみで、それ以外の多くのエリアではマンション化率が10%を下回っており、一向にマンションの普及が進んでいないことが確認できる。中部圏は名古屋市内への一極集中というマンション供給の偏在によって、今後はマンション普及の進み方にも大きな差が生じる可能性が高い。


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地方圏
福岡市中央区は51.84%、熊本市では中央区が28.75%でトップ
地方圏のうち比較的ストック戸数が多い政令指定都市のマンション化率について掲出すると、札幌市では2012年も前年に引き続きストック戸数の増加が加速したものの、世帯数の増加が上回ったためにマンション化率は3年連続で縮小し17.50%となった。縮小は僅か0.03ポイントで2010年(0.10ポイント)や2011年(0.06ポイント)と比較すると小さくなる傾向にあるが、市内行政区の大半でマンション化率が縮小している状況に変わりはなく、再びマンション化率が拡大する兆しは見られない。市内でマンション化率が高い中央区(38.61%)では5年連続、豊平区(21.52%)でも3年連続で縮小している。
仙台市における2012年のストック戸数の増加分は808戸で前年の2倍程度まで増加したが、例年4,000~5,000程度増加していた世帯数に今回は沿岸の被災地などからの移住や一時避難世帯が加わって8,352世帯まで大幅に増加したことで、マンション化率は前年に引き続き0.13ポイント縮小して16.66%となった。仙台市の世帯数は、上記地域からの移住や一時避難、さらに元の居住地への帰還などで今後も大きく変動することが考えられるため、これらの要因を考慮した上でマンション化率の推移を見ていく必要がある。新潟市におけるストック戸数の増加分は2010年までは1000戸程度であったが、2011年には207戸まで減少、2012年も前年と同水準の190戸に留まった。一方で、世帯数は例年どおり3,000程度増加したため、マンション化率はやや縮小して7.11%となった。市内で最もマンション化率が高いのは中央区(22.34%)で、新潟市の8割強のマンションストックが中央区に位置している。それ以外で一定のマンションストックを有するのは西区(3.60%)と東区(2.76%)のみである。新潟市は県内のマンションストックの半分を有しているが、市内においてもかなりのマンション偏在が認められる。 岡山市や広島市では2012年も例年と同規模のストック戸数が増加したため、岡山市では前年から0.15ポイント拡大して7.23%となり、新潟市の水準を上回った。また、広島市では東区を除く全域でマンション化率が伸び、市平均も0.18ポイント拡大して15.87%となった。両市は地方圏の他の政令指定都市とは異なり、マンション普及が順調に進んでいる。
表-5 地方圏主要行政区 全マンションストックとマンション化率
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北九州市ではストック戸数の増加分が692戸と前年の半分程度まで減少しているものの、世帯数の増加分も同様に低下したためマンション化率は前年から 0.09ポイント拡大して14.82%となった。市内でマンション化率が高い小倉北区(22.31%)や戸畑区(19.50%)などでは引き続き拡大している一方で、市平均を下回る若松区(5.91%)や小倉南区(10.39%)などでは縮小に転じており、市内においてもマンション普及の度合いに差が生じている。
福岡市では2012年のストック戸数の増加分が3,695戸と前年の2倍以上まで増えたことで、縮小が続いていたマンション化率は前年から0.04ポイント拡大して28.99%となった。福岡市のマンション化率は、全国の政令指定都市および特別区の中で調査開始以来トップを維持してきたが、2012年は東京23区(29.36%)が上回って第2位となり、さらに第3位の横浜市・神戸市(27.40%)との差も縮まってきている。市内全域に万遍なくマンション開発が為されてきたことで高いマンション化率を維持してきたが、最近では供給先が中央区(51.84%)や博多区 (35.27%)などに集中し、上記2区とそれ以外の行政区のマンション普及度合いに明らかな違いが見られる。
表 -5 地方圏主要行政区 全マンションストックとマンション化率(続き)
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2012年4月1日に20番目の政令指定都市となった熊本市のマンション化率は、前年から0.09ポイント拡大して10.25%と新潟市や岡山市を上回る水準となっている。市内で最もマンション化率が高い行政区は中央区(28.75%)で、九州地方では福岡市中央区および博多区に次いで3番目にマンション化率が高い。熊本市内におけるマンションストックのうち、約2/3が中央区に集中しており、ストックの偏在は熊本市でも顕著である。


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さいごに
2012年のマンション化率は、全国平均で0.15ポイント拡大して11.80%となった。2010年には0.11ポイント、2011年には0.12ポイントと低調な伸びが続いていたが、マンションの竣工戸数は急減した2010年以降緩やかに増加しており、再びマンションの普及が加速しつつある。しかし、マンション化率の動向をエリア別に検証すると、普及度合いは一様ではなく、ミニバブル後に供給された新築マンションの立地偏在による影響が色濃く反映されている。
都道府県別では、マンション化率が縮小したのは新潟県や山梨県など4県のみであり、数字を見る限りでは全国的にマンションの普及が進んだと理解することができる。だが、マンション化率の算出根拠であるストック戸数と世帯数の動向を分析すると、マンション化率が拡大した要因が大都市圏と地方圏では全く異なっていることがわかる。首都圏や近畿圏などの大都市圏では、ミニバブル崩壊を契機に新築マンションの供給が急減した後も、いち早くマンション供給が再開され、その時期から数年経過し竣工したマンションがストック戸数に加算されて2012年にかけてのマンション化率拡大に寄与している。特に大都市圏中心部においてはマンション開発が集中したために、例えば首都圏平均では0.32ポイントの拡大に対して東京都平均では0.60ポイント拡大、さらに台東区では2.20ポイント拡大と中心部での伸びが際立っており、近畿圏や中部圏にもほぼ同様の特徴を見ることができる。一方、地方圏ではミニバブル後から直近にかけてマンション供給が低迷しており、当然マンションの竣工戸数自体も大都市圏に比べて少なかった。地方圏の中でも政令指定都市などの事業集積地を擁していない地域では、2012年におけるマンションの竣工戸数が前年比で10%以上も減少しているケースも珍しくなかったが、そのような地域における世帯数の伸びも急激に鈍化してきており、竣工戸数および世帯数の変動率が拮抗して結果的にマンション化率が横ばい~拡大となっている。
また、新築マンションの集中的な供給が為されている大都市圏でもエリアによっては普及度合いに明確な差が生じてきており、近郊~郊外では縮小傾向が続いている行政区も少なくない。特に竣工戸数が減少している大阪府でも大阪市の竣工戸数は増加しており、その集中度合いの違いを窺うことができる。 このように、大都市圏といえども中心部と近郊~郊外ではマンション化率の推移に明確な違いが生じている。
世帯数の推移は依然として全国的に増加傾向にあるが、ピークを迎えると言われている2015年を3年後に控えて増加傾向には既に陰りが出始めている。また、東北3県や千葉県など東日本大震災およびその後の原発事故に伴う人口移動によって世帯数が大きく変動する地域もあるため、今後マンションの普及度合いを見る上では表面上のマンション化率の変動とともに竣工戸数と世帯数の変化についても着目し、総合的に判断する必要がある。マンション化率の変化は人口集積と事業集積の変化を示すものとして、今後も注視していくことが求められる。


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