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不動産ビジネス塾 売買仲介 初級編105 ~畑中学 取引実践ポイント~ 方位表記のズレが招く契約リスク 「不動産広告における方位」

住宅新報 2026年8月4日 号 16面

連載: ~畑中学 取引実践ポイント~ 不動産ビジネス塾

総合
不動産ビジネス塾 売買仲介 初級編105 ~畑中学 取引実践ポイント~ 方位表記のズレが招く契約リスク 「不動産広告における方位」

 マンションの場合、不動産広告における方位の記載には、慎重さが必要となる。角部屋でない限り、日照が得られるのがベランダ側からの一方向だけであり、それの方位がどこか、買主(検討客)もシビアに見がちだからだ。

 それに対して、筆者もそうだが、不動産会社の一担当者の立場だと、パンフレットを見ながら、「この程度かな」と感覚的に方位を入れるので、ズレが生じることが多い。多少のズレであれば問題はない。しかし、大きくズレていると、買主が契約の場面で他の図面を見たときに「あれっ、この方位は違っていないですか」と言われ兼ねない。契約締結に至らない可能性も出てくるので、やはり広告掲載の段階で気をつけておくのが無難と言える。

 方位は16分割で見る。4分割だと東西南北あり、各々の間は90度、8分割だと北東、北西、南東、南西があり、東西南北とは45度異なる。

 その間の22.5度で方位の表記の線引きがされることになり、16分割で考えることになる。例えば、実際の方位は南西を示しているのに、南側に22.5度を超し、30度近く触れて記載していれば、当然、買主は南向きと誤認し、かつ表記も南向きと書いてあれば、南西向きなのに南向きとしたとなり、それは異なるよね、という話になる。不動産公正取引協議会等もこのように説明をしているので、最低限頭に入れておきたい知識と言える。

 となると、できるだけ正確な方位を知る、ことが重要となる。1番は不動産広告で用いる真北(地球の北極点を示す方位)が記載されている法務局で取得した建物図面、パンフレットの間取図となる。しかし、万が一記載ミスも考えられる。そのため、念のために、現地で方位磁石、アプリで確認することになる。磁北なので真北とは若干方位が異なるが、建物図面等の方位と大きく異なることがなければOKと言える。

 パンフレットや建物図面の方位が異なることがあるのか?と思うのだが、パンフレットについてはママある。筆者も、買主と一緒にマンションを見たのだが、南向きというが、どうも方位が西向きのような気がした。そこで、売主側からパンフレットの間取図を見せてもらったところ、そこまで違いはなかった。気のせいかとなったのだが、当然、買主から詳細に調査してほしいと言われて建物図面を取得したところ、思いっきり西向き(やや南西向き)と分かり「やっぱりね……」と安堵した経験もある。しかし、購入されなかったのでガックリではある。

 買主が方位で決めての購入なら、契約不適合責任を問われるリスクすらあるのだから、念には念を押しての方位の記載を行いたい。

   ◇  ◆  ◇

【プロフィール】

 はたなか・おさむ 不動産コンサルタント/武蔵野不動産相談室(株)代表取締役。2008年より相続や債務に絡んだ不動産コンサルタントとして活動している。全宅連のキャリアパーソン講座、神奈川宅建ビジネススクール、宅建登録実務講習の講師などを務めた。著書には約8万部のロングセラーとなった『不動産の基本を学ぶ』(かんき出版)、『家を売る人買う人の手続きが分かる本』(同)、『不動産業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など7冊。テキストは『全宅連キャリアパーソン講座テキスト』(建築資料研究社)など。

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