不動産学の魅力 明海大学 不動産学部 第111回 投資不動産販売に求められる説明力 投資不動産販売員資格で課題解決を
住宅新報 2026年8月4日 号 7面
投資用マンションなどの個人向け投資不動産販売では、収益性の誤認を招く説明や強引な勧誘、サブリース契約の説明不足、住宅ローンの不適正利用などが問題となってきた。宅建業法に基づく重要事項説明は不可欠だが、投資判断では契約内容だけでなく、将来の賃料、空室リスク、金利上昇、売却時の価格、税務など、不確実な要素も十分に理解する必要がある。
筆者が投資不動産販売従事者を対象に独自に実施したアンケート調査(図1)では、顧客への説明が難しい事項で最も多いのは「相続・承継」「税金関連」、次いで「資金計画・融資条件」「収益・利回り」「特定賃貸借契約のリスク」「出口戦略・将来売却価格」が挙げられた。この結果は、販売現場では物件や契約の説明だけでなく、税務、相続、融資、賃貸管理まで幅広い知識が求められていることを示している。例えば利回りは表面利回りだけでなく、空室や修繕費、管理費などを考慮した実質的な収支を説明する必要がある。また、サブリース契約では賃料減額や契約解除の可能性にも触れなければならない。一方で、節税や相続対策について個別具体的な助言は税理士法や弁護士法との関係が生じるため、販売担当者には専門家との適切な役割分担も求められる。
こうした課題に対応するため、投資不動産販売員資格制度では、広告・勧誘規制、収益説明、サブリース契約、融資説明、住宅ローンの不適正利用防止に加え、税務・法務との業務範囲まで体系的に学ぶ。この資格は、宅地建物取引士など既存資格を補完し、投資不動産販売に必要な知識を実務で横断的に活用するための教育制度である。投資不動産市場の健全化には、法令遵守に加え、顧客の適切な投資判断のための利益だけでなくリスクも誠実に説明し、必要に応じて税理士や弁護士などの専門家につなぐ姿勢が重要である。そのような説明力とコンプライアンス意識を備えた人材を育成する投資不動産販売員資格の役割は、今後ますます重要になる。























