社説 マン管業界で談合など顕在化 危機意識持ち慣習見直しを
住宅新報 2026年8月4日 号 2面
連載: 社説「住宅新報の提言」

6月、マンション大規模修繕工事をめぐり、公正取引委員会が修繕工事会社など約40社の独占禁止法違反を認定したとの報が流れ、業界に衝撃が走った。マンション修繕業界では初とされる本格的な一斉立ち入り検査を経た認定で、改めて、業界に広く「談合」が浸透している実態が明らかとなった。
加えて、マンション管理業界においては、法令順守やセキュリティなど、加害者・被害者双方の面で課題が見られる。業界には、安易な慣習からの脱却や、社会の変化への対応が迫られている。マンション管理・修繕関連の団体も、危機管理の意識を持って業界に働き掛けるべきだろう。
談合を許す業界の構造は、一朝一夕で形成されるものとは考えにくく、背景に長年の慣習を感じさせる。過度な競争やダンピングの抑制という防衛的な意識で行っていたのかもしれないが、その場合は法令違反という感覚は薄れやすく、慣れも生じて自浄作用が働かなかったのではないか。
だが今回、そうした都合の良い認識は社会に通用しないことが業界に突き付けられた。老朽化物件の増加により、マンションの維持管理や大規模修繕への注目度が高まっている現状も、当局の対応を促した可能性がある。社会の変化を的確に受け止めていれば、改めて慣習を見直す機会を得られたかもしれない。
管理に関しては、4月に施行された改正マンション関連法への対応についても、一部事業者に好ましくない動きが見られるようだ。同法では管理業者管理者方式に一定の規制を設けたが、関係者によると、法の隙間を突いて規制を逃れようとするケースが散見されるという。事実ならば、新たな義務を回避し、従来通りの事業手法を維持せんがための脱法的行為と見られても仕方があるまい。
社会変化への対応という面では、管理会社に対する近年のサイバー攻撃も見逃せない。今年の初頭、複数の管理会社がランサムウェア等による被害発生を公表した。もちろん各社は被害者であり不正もないが、サイバー犯罪対策の隙を突かれた感は否めない。
そして、管理会社へのランサムウェア攻撃は、重要事項調査報告書の発行停止によるマンション売買の阻害等にもつながる。これは、サイバー攻撃の手口が、企業の持つデータだけでなく顧客の資産をも〝人質〟とするフェーズへと移行し、管理業界がその標的となっている実態を示す。そうした危機に対し、企業側は対策をアップデートできているのか。現状、どうも心もとない様子に見える。
ここで挙げた事例はいずれも、慣習への依存や変化の拒絶といった意識がうかがえる。慣習がもたらす社会への悪影響と業界自身のリスクについて、今一度真剣に考え直すと共に、業界団体も主体的に動いて自浄作用を働かせるべき時期が来ているのではないか。






















