ニュースが分かる! Q&A 空き家を市場へつなぐには 制度整備後も残る壁
住宅新報 2026年7月28日 号 14面
連載: ニュースが分かる!Q&A

記者A 住宅新報7月7日号の1面では、制度改正を追い風に民間の空き家対策が広がり、「空き家を市場へつなぐ環境整備が進みつつある」とまとめていたけれども、まだ書き切れなかったところがあったんじゃないかい。
記者B はい。紙面では制度改正と、それに対応する民間企業の新たな取り組みを紹介しましたが、制度が整っただけでは空き家は動かないという現実が改めて見えました。市場の土台は整いつつありますが、相談や管理など実際の流通には、なお壁が残っています。追加取材では、その乗り越え方がより具体的に見えてきました。
A 制度改正が進んだから、所有者の危機感も高まっているんじゃないのかい。
B 必ずしもそうではありませんでした。管理不全空家制度や固定資産税の住宅用地特例が解除される可能性について、所有者の認知はまだ高いとは言えないそうです。営業担当者が相談を受けても、司法書士などへ事前相談していた人を除けば、新制度を知っている人は「ほぼゼロに等しい」そうです。一方で、自治体の危機感は非常に強く、空き家の増加に悩む声が数多く寄せられているそうです。制度を整えるだけでなく、所有者への周知も重要だと感じました。
A 「相談の入口」が重要だと書いていたよね。
B そんな言葉では足りませんよ。相続では、最初に司法書士や税理士など士業へ相談が持ち込まれるケースが多く、不動産会社へ相談が届くまでに時間がかかることも少なくありません。紙面で紹介した士業連携や、空き家活用が進める地域ネットワークは、空き家を「どう売るか」ではなく、「誰が最初に相談を受けるか」に着目した取り組みです。制度改正によって相談件数が増えることを見据え、その入口を整えようという発想が共通しています。
A 市場が変わるというより、市場へ入る「入口」が変わり始めていると。
B その通りです。これまで空き家対策といえば、売却や解体が注目されがちでしたが、今回の取材では、前段階の「相談できる環境」を整えることが、流通促進の第一歩だと痛感しました。所有者が適切な相談先へたどり着き、次の選択肢を知ることが、市場へつなぐ第一歩になっています。
A 相談先が見つかっても、管理費や改修費の負担が重ければ、結局は空き家のままになるんじゃないかい。
B その通りです。相談の次に立ちはだかるのが「維持管理」と「再流通」の壁です。今回取材した企業の多くは、その課題をどう下げるかに取り組んでいました。例えばマークスライフは、空き家に付随する駐車場の賃料を管理費に充て、所有者の負担軽減を図る仕組みを始めましたが、問い合わせ手見たところ、今後は地域事業者との連携も視野に入れるようです。
A それでも通常の仲介市場では、買い手が見つからない空き家は残るよね。
B そうした物件の「最後の出口」を担う役割も注目されています。不動産有料引取業協議会によるガイドラインの策定後、理事会社のランドイシューズでは、空き家相談件数が策定前の185%に増加したそうです。通常の売買では流通しなかった空き家を再活用につなげた事例も生まれており、「最後の出口」への期待が高まっています。
A 取材を終えて、一番考えが変わったことは?
B 主役は制度ではなく「人と人をつなぐ仕組み」だと感じるようになりました。士業、不動産会社、管理会社、リノベーション事業者、有料引取事業者など、それぞれ異なる役割を担いながら、所有者を次の選択肢へ導こうとしています。一社で全てを解決するのではなく、多様な事業者が連携して市場を形成していく流れがようやく見え始めたのではないでしょうか。
A これからの不動産会社は「売買や賃貸の仲介役」だけではなくなっていくということだね。
B はい。所有者の事情を聞き、管理や改修、利活用、有料引き取りなど最適な選択肢へつなぐコーディネーターとしての役割が、これまで以上に求められるでしょう。環境整備はまだ始まったばかりですが、制度改正で土台は整いました。今後は地域の不動産会社を含めた民間の連携が鍵になります。






















