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プレミアム会員限定不動産取引現場での意外な誤解 売買編270 共有者多数の不明共有物件はどう売却する?

住宅新報 2026年7月28日 号 13面

連載: 不動産取引現場での意外な誤解

総合
不動産取引現場での意外な誤解 売買編270 共有者多数の不明共有物件はどう売却する?

Q.売買編では、このところ「遺産共有」の場合の共有関係解消のための特例措置の話が続いていますが、前回(第269回)に出た不明共有者のいる遺産を他の共有者が直接第三者に売却する方法について詳しく知りたいのですが。

A.前回は、2名共有の遺産について、そのうちの1名が所在不明となり、相続開始10年経過後に他の共有者がその共有物件を他に売却する事例ですが、そのための1つの方法は、他の共有者に資金があれば、その不明共有者の持分を取得するための「保証金」を供託し売却することができること(民法262条)、それ以外の方法としては、不明共有者の持分譲渡の権限を裁判所に付与してもらう方法があること(民法262条の3)を説明しました。

Q.その持分譲渡の権限付与のケースを詳しく知りたいのですが。

A.この方法というのは、最初の「持分取得」のケースと同じように、他の共有者が、その物件を管轄する地方裁判所にその不明共有者の持分を第三者に譲渡する権限を自己に付与してもらうという申立てをし、その決定を経て第三者に売却するという方法です(民法262条の3)。もちろん、この場合においても、申立人はそのための「保証金」を供託する必要がありますし(非訟事件手続法88条(2)による同法87条(5)の準用)、不明共有者が帰還した場合の保証金の不足額の返還請求訴訟の取り扱いについても同じです。

Q.その遺産が3名以上の多数の共有で、うち1名が所在不明というケースの場合はどうなりますか。

A.その場合には、その申立人以外の他の共有者の持分も申立人に譲渡されることが「停止条件」になりますので(民法262条の3(1))、いずれにしても、第三者に譲渡することができる権限をもつ者は申立人1人になります。この裁判制度が共有関係の解消を目的としているものですから、その共有物の売却権限も申立人に一本化することが条件になっているのです。

 なお、この不明共有者の持分譲渡の権限付与の裁判制度は、遺産共有などの「所有権」についての共有に限らず、土地の地上権や賃借権、あるいはそれらの土地上の建物や設備の利用権の共有(準共有)の場合にも適用があります(民法262条の3(4))。

渡邊不動産取引法実務研究所

     代表 渡邊 秀男

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