酒場遺産 ▶143 立川駅北口 弁慶 変貌する街で70年の老舗酒場
住宅新報 2026年7月28日 号 13面
連載: 酒場遺産

立川駅北口を出て中央線沿いに東へ数分歩くと、古風な店構えの「弁慶」がある。駅周辺にはチェーン店が多いが、ここは長く続いてきた老舗酒場である。女将に聞けば創業から70年近く経つという。
立川駅北口エリアは、かつては米軍立川基地の門前町であり、現在に至るまで激しい変貌を繰り返してきた。そうした中で、かつて「北の弁慶、南のだるま」と並び称されたように、「弁慶」は、北口の酒場文化を象徴する存在であった。
店内は広く、メニューが豊富だ。そして何より値段が安い。壁の短冊には、ハムカツ、魚肉ソーセージ天、アジフライ、厚揚げ焼き、シラスおろし、鮪揚げ出しといった200-300円程度のつまみが並ぶ。海鮮も、鮪刺身、しめ鯖、お刺身三点盛りなどが人気だ。やきとりは1本180円、たん、はつ、かしら、レバー、つくね、ねぎまなどが並ぶ。酒は、ビール大瓶、酎ハイ、ホッピー、日本酒は一ノ蔵や樽酒なども手頃な価格だ。
まだ日の高い時間、筆者が案内された大きな相席用のテーブルでは、近所の夫婦や友人同士で楽しそうに過ごしていた。その会話を聞いているだけで嬉しい気持ちになる。次から次へと、客が出ては入ってくる。料理は若干大雑把な感じもしたが、誰でも気兼ねなく受け入れる日常的な雰囲気が、地元の人たちに長く支えられている理由なのだろう。(似内志朗)






















