不動産クラファン・STの実務解剖 代表取締役 松井晴彦 なぜ失敗するのか? 不動産クラファンのマーケティング論 連載(3) 高利回り競争から脱却できるか グローシップ・パートナーズ
住宅新報 2026年7月28日 号 8面

不動産クラウドファンディング市場の拡大と共に、マーケティング競争も激化している。SNSやWEBでは、「年利10%超」「業界最高水準」といった、高利回りを前面に押し出した広告が並ぶ。利回りは投資家にとって重要な判断材料ではあるが、それだけで持続的なブランドは築けるのだろうか。
この問いを考える上で参考になるのが、一般消費財のマーケティングである。小売業界では「ハイ&ロー戦略」が広く用いられている。値引きによって来店を促す有効な手法だが、マーケティング担当者が最も警戒するのは、「バーゲンハンター」ばかりを集めてしまうことだ。
価格だけで集まった顧客は、更に安い店が現れれば、簡単に離れていく。ブランドは育たず、価格競争だけが残る。一方、エルメスは、ほとんど値引きを行わない。顧客は価格ではなく、ブランドへの信頼に価値を見出しているからである。金融商品の世界では、この「値引き」に相当するものが高利回り訴求である。






















