不動産協会が理事会 日建連と生産性向上へ協議 設備工事の供給制約を注視 政策要望も住宅、税制など5分野決定
住宅新報 2026年7月28日 号 3面

不動産協会(吉田淳一理事長=三菱地所取締役会長、写真中央)は7月23日の理事会で、「成長型経済に資する『持続可能なまちづくり』を促す政策要望」を決めた。
環境、都市、住宅、物流、税制の5分野を柱に、省エネルギー性能の高い建築物への支援や都市再生制度の改善、住宅の防災・長寿命化、物流拠点の整備などを政府に求める。税制改正要望は9月の理事会で正式決定する予定で、土地に係る固定資産税の負担軽減措置の延長を重点項目に位置付ける。
同日の記者会見では、建築費の高騰と建設現場の供給力不足に議論が集中した。吉田理事長は日本建設業連合会(日建連)との協議について「国土交通相にも同席いただき、非常に良いスタートを切れた」と述べた。協議では建設市場の供給力向上と、生産性向上や柔軟な働き方の実現を主要テーマに据える。
7月17日に開いた初の幹事会では、電気や空調など設備工事を担う専門工事会社の人手不足を取り上げた。建築工事では設備工事が後工程に位置するため、前段階の工事が遅れると施工期間が圧縮され、人員を増やさなければ工程を守れない場合がある。不動産協会は「サブコンの供給が非常に限られている」とし、設備工事の需給ひっ迫が建設全体の供給力を制約しているとの認識を示した。
建設業界に残る重層的な下請け構造も議題となったという。下請けの階層が増えることで工事費が押し上げられていないかを指摘したことに加え、元請けが計上した労務費が末端の技能労働者まで行き渡っているかについて意見を交わした。9月中下旬をめどに開く次回会合では、生産性を高める仕組みや、働き方の柔軟化に議論を広げる。
設備工事の業界団体との連携については、日建連側も関係者の意見をくみ取る必要性を認識しているとの見方を示した。電気・空調工事の実態を共有する場を設ける可能性があり、協議の枠組みが専門工事業者にも広がるかが焦点となる。
中東情勢や円安による事業環境への影響については、現時点で工事や資材調達に深刻な支障は出ていないとした。一方、従来使用していた資材が入手しにくくなり、マンションの内装部材やさび止め剤などの仕様を変更する事例があるという。完成後の性能や商品価値への影響はないものの、調達環境の先行きには不透明感が残る。
金利上昇の影響も「じわりじわりと出てくる」とした。不動産会社としては、低金利期に長期・固定金利で資金を調達してきたため、足元の影響は限定的だが、今後の借り換えでは負担が増す可能性があるとした。オフィス投資は利回り差(イールドギャップ)が縮小しているものの、東京都心5区では空室率の低下を背景に賃料を引き上げる余地があり、投資市場に大きな変調はみられないとした。
住宅市場では、変動金利型の住宅ローンを利用する購入者が多いことから、一段の金利上昇が需要を冷やす可能性を指摘した。建築費、資材価格、金利が同時に上昇すれば、住宅価格の押し上げと購買力の低下を通じて、開発事業の採算や供給量にも影響が及ぶとの懸念も示した。






















