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スタンダード会員限定コンサル業に脚光 大相続時代が背景 仲介業にも新たなチャンス

住宅新報 2026年7月28日 号 1面

総合
  • 被相続人数の推移(国税庁資料より)

    1 / 2被相続人数の推移(国税庁資料より)

  • 昨今は2軒続きの空き家も珍しくなくなった。大相続時代を映す光景か

    2 / 2昨今は2軒続きの空き家も珍しくなくなった。大相続時代を映す光景か

 国税庁が毎年発表している相続税申告実績によると、課税割合は19年(令和1)の8.3%から24年(同6)の10.4%まで右肩上がりを続けている。相続財産のうち現金・預金と共に不動産(土地・家屋)が多い日本では(24年はいずれも35%)不動産の専門家が相続コンサルを担うべきと言われて久しい。

主役は不動産業者

 不動産開発コンサルタントでオラガ総研社長の牧野知弘氏は大相続時代について、「課税割合は東京都区部の場合2割を超えている。ただ、大相続時代の本番は2次相続だ。1次相続よりも相続税対策が難しく、専門家のアドバイスが不可欠」と指摘する。

 牧野氏によると、夫婦のうちどちらかが亡くなる1次相続では配偶者控除として一律1億6000万円の控除が可能だが、残された配偶者も亡くなる2次相続では適用されない。更に、小規模宅地の特例も2次相続では相続人(子供など)が被相続人の自宅に同居していなければ受けられないなど、相続対策がますます厳しくなる。

 相続コンサルを担う不動産業者が増えれば不動産業界のイメージは大きく変わる。信頼産業へ踏み出す格好のチャンスともなる。しかもコンサル市場は相続を中心に確実に拡大していく。

個人の時代へ

 千葉県柏市でコンサル業を営むK-コンサルティング社長の大澤健司氏は、もとは不動産会社の営業マンだった。あることをきっかけに相続の勉強を始めてから4年ほどで自信がつき、現在の会社を設立した。

 大澤氏は「従来の不動産業は店舗(企業)のブランディングで勝負してきたが、コンサルティングは完全に担当者個人のブランディングが決め手となる」と指摘する。「コンサルティングは顧客との信頼関係がベースとなるので、コンサルタントとして〝何が出来るか〟が明確になっていなければならない」とも話す。

 本紙で「不動産ビジネス塾」を連載中の不動産コンサルタント(武蔵野不動産相談室社長)の畑中学氏はこう述べる。

 「確かに今後、相続コンサルに対する需要は増えるだろう。ただ、相続に限らずコンサルティングという仕事は結果(報酬)が得られるまでに長い時間を要することが多い。最初の相談から報酬を得るまで数年掛かるケースも珍しくない。その後のフォローも不可欠だ。従来の不動産業とはかなり本質を異にする。そうした長い時間軸を容認できるかがカギとなる」

 ちなみに、最近多いのは会社が所有している不動産の処分や活用の相談。「例えば、後継者がいないため会社を畳む際に所有している不動産をどうするか。会社分割や新会社での買い取り、代表者個人や親族への名義移転など状況に合わせて提案している」と話す。コンサルタントになる道は知識の面だけでも簡単ではなさそうだ。

誰のための仕事か

 では、大澤氏のように不動産仲介の営業担当者から不動産コンサルタントを志す人材が数多く出てくる可能性は今後どれぐらいあるのだろうか。神奈川県不動産コンサルティング協議会会長で徳増不動産(鎌倉市)社長の徳増源七氏は次のように話す。

 「いろいろな会社の人と仕事をしているが、コンサルのように長い時間軸を要する仕事は若い人も敬遠しがちだ。それを責めることはできない」。短期間で効率よく成果を出すことを求められる会社には合わないようだ。

 更に「コンサルという仕事は弁護士とも度々面談しなければならない。不動産を売る場合でも債権者と話したり、行うべきことが非常に多い。やはり独立するかもしくは会社がコンサル部門を設けるかのどちらかだろう」とも。

 不動産コンサルティングのやりがいについて、前出の大澤氏は、「相続で一番大切なことは〝もめない〟ことです。依頼者もそれを一番望んでいる。相続人同士でもめると、相続した不動産をうまく生かすことができず放置していると荒れてしまう。我々は〝もめない相続〟のために働いている」

 これからの不動産業が向かうべき方向が単に利益を上げるだけでなく、依頼者から感謝されることにあるとすれば、相続コンサルはその象徴でもある。

新たな成長の糸口に

 大相続時代には多くの不動産が市場に出されるため、取引件数の増加が見込まれる。当然、仲介業者も新たな売買(買取再販)や仲介の機会を得ることができる。ただし、相続案件ともなれば複雑な事情が伴う可能性もあり、依頼者(売主)の立場に寄り添う真のサービス精神が求められることになる。

 また、仲介会社がコンサルティング会社から売主を紹介されるケースが増えることも考えられる。そうなると、コンサルと仲介とは別の会社が担うという新秩序(慣習)が生まれてくる可能性もあり、コンサルの中立性だけでなく、不動産業界に対する国民の信頼度も高まりそうだ。

大手との差別化

 畑中氏がコンサル業務を始めたきっかけは、大手との差別化だ。

 「コンサル業務は、非効率な面もあるので本来、業務に効率化を求める大手には不向きな業務。逆に個人や中小こそができる業務と考えた。また、どの程度の付加価値をつくることができるかは、コンサルのレベルによって異なる。だから大きな成果を出せば感謝され、個人でも生き残ることはでき、その後の集客、利益化につながると考えた」

 〝大相続時代〟を控え、コンサルタントとして準備しておくべきことは、「コンサル全般に言えることだが、何を行い、何をしないか、守備範囲を決めておくと良いのではないか。顧客と自分双方にとってそのほうが良い結果を生む」とも話す。

増える空き家

 一方、複数の相続人がそれぞれ別の遠方にいる場合には相続人の間での意見調整に時間がかかる。その間は管理や一定期間賃貸物件として貸すなどの対策が必要になる。賃貸に出すためにはリノベーションなど専門的なサービスに対する需要が高まることにもなる。つまり、大相続時代はコンサルに限らず、不動産業のビジネスモデルを多角化し、同時に顧客から感謝されることが成功のカギとなっていく。

 少子高齢化や人口減少は不動産業にとって〝現状維持は衰退〟という危機の時代。一方、大相続時代という視点に立てば、新たな需要に対応し人材を育成しつつ、ビジネスモデルを確立していく新たな成長の糸口にもなる。

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