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酒場遺産 ▶142 門前仲町 折原商店 参道で楽しむ日本酒との一期一会

住宅新報 2026年7月21日 号 11面

連載: 酒場遺産

総合
酒場遺産 ▶142 門前仲町 折原商店 参道で楽しむ日本酒との一期一会

 門前仲町「折原商店」は、この十年ほど、門前仲町を訪れると度々寄っている、お気に入りの立ち飲み屋だ。深川不動堂へと続く参道(人情深川ご利益通り)にあり、いつも昼間から日本酒好きで賑わっている。先日、久しぶりに日の高いうちにウォーキングの際に立ち寄り、伯楽星と玉蒟蒻をいただいた。普段、店は参道に向かって開放されており、右側には長さ5㍍はありそうな、大型冷蔵庫に無数の日本酒の四合瓶・一升瓶が並ぶ。酒問屋直営ならではの圧倒的な品ぞろえだ。

 正面奥にはレジがあり、冷蔵庫から自分で選んで持っていくセルフスタイルである。100円台から頼めるおでんや小皿料理も日本酒に合うものばかりで、価格もリーズナブルだ。奥の深いスペースには、空き瓶ケースを再利用したカウンターなどが上手く配置されている。酒は数えきれないほどあるが、雪の茅舎、赤武 AKABU」楯野川、伯楽星、聖、松の寿などをよく飲む。焼きするめ、干しほたるいか、えいひれ、紀州南高梅、梅水晶、いかの塩辛、ピリ辛らっきょう、玉こんにゃく、枝豆 、さきいか、酒盗 、醤油アーモンド、酒粕クリームチーズ、鴨ハム、ピーマン塩昆布など、小皿料理も酒を引きたてるものばかりだ。

 折原商店の歴史は古い。母体となったのは池袋で大正時代(1924年創業)から続く業務用酒問屋「株式会社 折原」である。そして、「一般の人にもっと気軽に日本酒を楽しんでほしい」と一念発起して立ち上げたのがこの店だ。2011年オープンと新しいが、酒問屋直営ならではの品揃え、「折原商店のシステム」と壁に書かれているセルフスタイルが、多くの人に支持されている。メディアでも取り上げられ、特に武田梨奈主演のドラマ「ワカコ酒」では、主人公のワカコがふらりと立ち寄り、「雪の茅舎」や「ぽたりぽたりきりんざん」などの日本酒を堪能したことで、知名度が上がったという。参道に張り出したカウンターで、心地よい風に吹かれながら、見知らぬ同好の士と言葉を交わす。そんな一期一会の交流も、この店で過ごす楽しみのひとつだ。(似内志朗)

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