彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇234 女性塾、新ステージへ 10年の節目に誓う 未來への思いを形に
住宅新報 2026年7月21日 号 11面
連載: 彼方の空
今年、発足10年を迎える「不動産女性塾」(北澤艶子塾長)は7月7日、東京・六本木の森タワー51階にある六本木ヒルズクラブで〝ミライ会議〟を開いた。女性塾をこよなく愛するファンと理事の計19名が参加し、これからの不動産業と女性塾のあり方について意見を交わした。
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10年を経てマンネリ化が進んでいるからというのではない。逆に盛会が続く今こそ現状に甘んじることなく、女性塾の社会的役割と業界における存在感の強化に挑む。
議論はこれまで実施してきたセミナー、オンライン会議、グループディスカッション、懇親旅行などの活動を踏まえたうえで、不動産業の未來を思うとき、女性塾として何をかたちに残していくべきかに集中した。
ある理事は「お金がなくても不動産の大事なところを共有できる人たちと社会課題を解決していく仕組みづくり」と言い、ある参加者は「不動産の枠を外れても世界的視野をもち、そこから不動産を考える力を身に着けたい」とも語る。「これまでの〝学ぶ会〟から業界を変革する力をもった会へ。そして若い女性たちが参加したくなるためには何が必要かを考え、一つ一つ実践していきたい」という意見もあった。
若い力
考えてみれば「塾」は本来、未熟な子供や若者を成長させる場所。主宰者側にしても未来に託したいものがあるのであれば、それは未来に活躍する人間に託すしかない。それが思いをかたちにするということだ。子供や若者が成長するためには知識を学ぶことも重要だが、それ以上に塾長や理事らの人間性が大きなインパクトをもつ。10年を経ても北澤塾長の求心力は健在であるどころか、今でも多くの会員が「塾長という大きな存在があればこそ」と塾の魅力を語る。
その塾長が言う。「現状は女性経営者が多いが、若い人たちにもっと入ってきてもらいたい。10年経ってこれまでとは違う女性塾のかたちを模索していきたい。例えば、女性塾という名前だけど若い男性社員を入れるようにしてもいいのではないか。そもそも女性塾は自由参加形式で、そのために入会金も年会費も徴収していないのだから」
不動産業界で働く若い女性と男性が不動産業の未來を真剣に考える――それこそがこれからの「女性塾」の新しいかたちなのかもしれない。
危うい日本
それにしても不動産業は今後どこへ向かうのか。不動産業の未來を担う人材にはどういう能力が求められるのだろうか。だが、筆者はその前に日本という国のかたちがなくなってしまうのではないかと心配だ。
国民にとって不動産といえば〝住宅〟だが、戦後の日本はその住宅についてあまり深く考えず、「所有する」ことだけにまい進してきたように思う。高額の住宅を所有することが「幸せ」と思い込んできたのである。生活の基盤である住まいについてさえ、物質的豊かさと幸福とを取り違えてきたこの国の未来が心もとない。
政府も住宅を景気対策としてばかり捉えてきた。それが住文化の育成を阻んできた元凶だ。住文化の底浅さが今でも不動産業を〝手っ取り早く儲ける〟ところと勘違いする人たちの存在を許してしまっている。東村山市で数年前にコンサル会社として独立した女性経営者は言う。
「相続や空き家に関する相談は面倒な作業が多く手間の掛かる大変な仕事だが、不動産はもともとそういうものだと思う。そこを避けていたらこれからの地域業者は生き残っては行けない」
面倒で手間ひま掛かる仕事だからこそ、うまく運んだときは依頼者から感謝されやりがいもある――そういう仕事に憧れて〝ミライの不動産業界〟に入ってくる若者たちを増やしていく、そこにこそ第二ステージを迎える「不動産女性塾」の大事な使命がある。
























