大言小語 持って稼げるか
住宅新報 2026年7月21日 号 1面
連載: 大言小語

追い風と向かい風が同時に吹くことがある。今の不動産市場がそうだ。株価上昇で企業や投資家の懐は潤い、不動産へ向かう資金を増やす。株価が史上最高値に達する一方で、長期金利の上昇は借金の重みが増して不動産の値札を冷静に見直させる。つまり、風は一方向から吹いているわけではなく、背中を押す追い風の反対側から、金利上昇という逆風が吹く。
▼日銀は物価と賃金の持続性を見極めながら金融正常化を進めており、市場では追加利上げへの警戒が消えていない。次回の金融政策決定会合は7月30、31日。長期金利は足元で振れが大きく、国債の需給や財政への思惑で低下する場面があっても、物価上昇が続けば基調的な上昇圧力は残ろう。海外金利や円相場も、日本の金利を揺らす材料となる。
▼不動産市場は、金利が少し上がっただけで一斉に冷え込むわけではない。まず起きるのは、売り手と買い手の値段が合わなくなることだ。商談は長引き入札者は減り、取引の選別が進む。そこで問われるのは、物件の値上がり期待ではなく、家賃を上げられる力である。都心の優良オフィス、供給の限られた住宅、訪日客を取り込むホテルには資金が向かう。半面、空室や修繕費を抱えて賃料を伸ばせない物件には厳しい。株高が生む余力と金利高が促す規律。その綱引きの先で不動産投資は「買えば上がる」市場から、「持って稼げる」物件を見極める市場へ変わる。






















